ビーグル

(ビーグル。元気ハツラツなイメージ。)

 

 著名な動物行動学者で、訓練士でもある著者の自伝を読みはじめました。

 

 

The Education of Will: A Mutual Memoir of A Woman and Her Dog

by Patricia B. McConnell

 

 こちらの本、Barkというアメリカの犬雑誌のサイトで出会いました。書評のコーナー(犬本を探すのに、とても便利です)で"artfully written"な本だと紹介されていて、読んでみたくなりました。(ちなみに、Barkをアメリカから取り寄せ購読することにしました! まだ届いてませんが、どんな雑誌なのかわくわくしています。)

 

 著者は動物学の博士号を持ち(博士論文のテーマは「牧羊犬とハンドラーのコミュニケーション」だったとか)、大学で教鞭をとる傍ら、攻撃的な態度や過剰な恐怖反応といった犬の問題行動を専門に扱う訓練士としても活動しています。Patriciaさんはこれまでに、犬の行動やしつけに関する多数の著作を発表していますが、本作は自分の過去と、問題を抱えた愛犬に向き合った日々を綴った自伝的ノンフィクションです。

 タイトルのWillは、Patriciaさんの愛犬、オスのボーダー・コリーです。Willは過剰なまでにほかの犬や物音におびえ、恐怖というスイッチが入ると、それこそ犖き瓩変わったように攻撃的な態度をとってしまう、難しい問題を抱えた犬でした。それは子犬のときから、というか生まれ持った性質だったようです。人間が大好きで、ふだんは本当に愛すべき犬であるWillの問題をなんとか改善しようと、Patriciaさんは奮闘します。

 一方で、Patriciaさん自身の過去のトラウマも明かされます。彼女自身、コントロールできないほどの強迫性観念(突然、見知らぬ誰かに襲われる、といった)に日常的に襲われていました。まだ途中までしか読んでいないのですが、どうやら子供の頃のつらい体験が関係しているようです。タイトルに"facing my fears"とありますが、Willを訓練することで、自分のなかの恐怖にも対峙していくというストーリーは、胸に迫るものがあります。

 

 Willのような、いわゆる問題行動を示す犬は、問題の程度こそあれ、決して少なくないと思います。そもそも猝簑雖瓩箸いδ蟲舛廊狄祐崑Ν瓩らの見方なので、問題行動のなかには犬(動物)としての自然な行動も含まれているのですが。

 いま受講しているCourseraのコース(The Truth About Cats and Dogs)では、受講生からの質問に講師が答えるというコーナーがあり、そこで先生が印象的なコメントをされていました。

 

「犬の(人間から見て)望ましくない行動(undesirable vehaviors)は、その犬にとって狢臉擇覆發劉瓠important resource)を失うことへの恐怖が原因になっていることが多い」

 

 犬にとっての狢臉擇覆發劉瓩蓮⊃べ物、お気に入りのおもちゃやお気に入りの場所といった物理的なものもあれば、安全や(飼い主の)愛情といった目に見えないものの場合もあります。どちらにせよ、それがなくなることへの恐怖が引き金となって犬が過剰反応を示したときは、一方的に叱るのではなく、「大丈夫だよ」と犬を落ち着かせることが第一に取るべき行動なんですね。

 といっても、そう簡単にできることではありません……。うちの子も、玄関チャイムが鳴ったりしたら、無駄吠え(犬からしたら、猝蟻稔瓩犬磴覆て理由があるわけですが)することが多く、ついつい静かにさせようと大きな声で叱ってしまい……。これじゃあだめですね。犬の気持ちになって考えて、なだめる、落ち着かせる、を心がけようと思います。Courseraの先生も、「ふだん、愛犬をどのくらい褒めてますか? しつけには、叱るよりも褒めるほうが大事です」とおっしゃってました。

 

 PatriciaさんがWillとどう向き合い、お互いに抱えている問題を解決していくのか。それを知るために、読み進めていきたいと思います。

勉強する犬

 

 犬や動物をテーマとした原書をたくさん読むようになって、普通の小説では見慣れない単語に出くわしたり、動物に対する概念の文化的違いに触れることも多くなりました。

 犬やコンパニオン・アニマルについての知識を深めつつ、関連する用語(英語)を学ぶことは、原書を読むだけでなく、出版翻訳の仕事をするうえでもプラスになりそうです(犬や動物がテーマの作品を翻訳したいという目標があるので)。 

 それで、犬のことを英語で勉強できないかなと、以前から利用していたオンラインコース(Courseraやedxなどの、無料で聴講できる海外のオンラインコース)を検索してみると、ありました! さっそくコース登録して、受講を始めました。

 

 わたしが受講しているのはこちらのコース。

 

◆The Truth About Cats and Dogs (Coursera)

 タイトルの通り、犬と猫について体系的に学べるコース。犬や猫の行動や認知能力を理解し、人間との関係やコミュニケーションをよりよいものにするにはどうすればよいかを考えていくことがテーマ。コンパニオン・アニマルに対して、人間が一方的に期待していることや、ペット観や動物観の文化的・地域的違いなど、興味深い内容がつまっています。

 イギリス・エジンバラ大学で狷以福祉瓩鮴賁腓箸垢覿擬陣が中心となり、5週間で修了するようカリキュラムが組まれています。学び方は、映像教材で知識を学び、ミニテストや課題で理解度を確認するという形式です。先生方だけでなく、そのペットも映像のなかにたびたび登場するので、観ていてとても楽しいです!

 ミニテストや課題の提出も含め、すべて無料で学べるところも素晴らしい(修了証の発行は有料)。犬や猫が好きで、英語のリスニング力を鍛えたいという人にはぴったりのコースじゃないかなと思います(わたしはイギリス英語が苦手なのですが、先生の英語は比較的聞き取りやすいです)。

 ◎コースはこちら→The Truth about Cats and Dogs

 

 Courseraであわせて聴講しているのが、こちらのコース。

 

◆Animal Behaviour and Welfare (Coursera)

 犬や猫にかぎらず、動物全般の福祉(Animal Welfare)にフォーカスしたコースです。コンパニオン・アニマル(ウサギやその他のペットも含む)、家畜、動物園で飼育されている動物と、さまざまな立場の生き物の福祉やよりよい狎賢瓩砲弔い童‘い靴泙后F以福祉とは何か、動物福祉について考えることが人間にとってなぜ重要なのか、世界の現状はどうなっているのか、といった、よりシリアスな問題を取り扱ったカリキュラムです。

 上記のコース同様、エジンバラ大学が作成・運営しています。こちらは7週間のコースで、同じく(基本的に)無料。内容は少し難しいかもしれませんが、頑張って聴講していきたいと思います。

 ◎コースはこちら→Animal Behaviour and Welfare

 

 もうひとつ、Courseraで受講できる犬関連のコースを発見。

 

◆Dog Emotion and Cognition (Coursera)

 こちらのコースは、認知科学、認知心理学的アプローチで、犬の行動や感情を読み解こうというもの。犬の能力を理解し、犬との生活や関係を、人間・犬(ペット)双方にとって望ましいものへと改善するヒントが学べます(といっても単にしつけの方法を学ぶのではなく、より学術的な内容になっています)。

 コースを担当するのは、アメリカ・デューク大学のBrian Hare先生(進化人類学が専門)。犬に関する著作もお持ちで(『あなたの犬は天才だ』早川書房)、Dognition瓠DogとCognition、つまり犖き瓩鉢倏知瓩鬚けた造語)というサイトも運営されています。サイトでは「あなたの犬の賢さを測定」できるとか!

 ◎コースはこちら→Dog Emotion and Cognition

 

 Couseraばっかりですが、オンラインスタディのポータルサイトはほかにもあるので(Future Learnなど)、探せば犬がらみのオンラインコースが見つかるかもしれません。日本でもこういったオンラインコースはあるんでしょうか? 

 わたしは学位を通信教育(通信制の大学と大学院)で取得していることもあり、オンラインで勉強するのは慣れているし、地方県に居住しているので、勉強のチャンスが増えて助かっています。留学しなくても、アメリカの大学で提供しているAnimal behaviorのコースが学べるんですから。

犬たち

(犬って、大きくても小さくても犬なんですよね……当たり前ですが。)

 

K9ユニット(警察犬チーム)もののミステリーを読了。

 

 

◆Killing Trail: A Timber Creek K9 Mystery by Margaret Mizushima

著者マーガレット・ミズシマさんのウェブサイト→Margaret Mizushima Official Site

 

 K9ユニットが活躍するミステリーといえば、ロバート・クレイスの爛好灰奪函マギー瓮轡蝓璽困頭に思い浮かぶのですが、こちらのシリーズもとてもおもしろく、愛読シリーズに仲間入りしました!

 

<ストーリー概要>

 コロラド州ティンバー・クリーク郡のK9ユニットとして活動する、保安官補でハンドラーのマッティと、警察犬(ジャーマン・シェパード)のロボ。ふたりは山中で少女の遺体を発見し、殺人事件として捜査が開始される。事件には、郡内に密かにはびこる麻薬取引が絡んでいることが判明するが、容疑者とおぼしき人物は、すでに殺害されていたのだった。

 2件の殺人事件と麻薬取引の陰にいるのは誰なのか? ロボの働きによって、追うべき線が次第に明らかになり、ついにマッティは犯人にたどり着く。だが、犯人と対峙したマッティとロボの身に、最大の危険が迫る……! 

 

<感想>

 女性がハンドラーのK9ユニットもの海外ミステリー。主人公マッティのキャラクターが、なんというか、気負いすぎない爐舛腓Δ匹いご兇賢瓩如△修譴読みやすさにつながっていると思います。

 マッティは競争を勝ち抜いてハンドラーに選抜されたこともあり(直属の上司がライバルだった)、いきおい肩に力が入っていますが、自分の弱いところは素直に認め、失敗を活かしつつ、まっすぐに任務に取り組んでいます。その姿に、すっと感情移入できました。マッティが相棒のロボと一緒に成長していく過程も、このシリーズを読む楽しみになりそうです。

 

 このシリーズでは、爛好灰奪函マギー瓮轡蝓璽困離泪ーのように、犬視点の章や描写はなく、あくまでマッティから見たロボ、というスタンスで描かれています。「マッティがロボをどこまで信頼できるか」が鍵になるのですが、ロボはそのマッティの信頼に応え、クライマックスでも大活躍します!

 

 マッティを取り巻くキャラクターも、いい味を出しています。ハンドラー選抜試験でライバルだった上司ブロディは、(マッティに負けたことが悔しくて)上司という地位を振りかざしてくる、いやな奴という印象だったのですが、実は仕事熱心で、何気にかわいい?一面もあったりして、後半は見直しました。

 事件にかかわる犬を治療し、ロボの担当医にもなる獣医のコールは、マッティの次に、内面や人間性が濃く描かれた登場人物です。ふたりの娘(ひとりはまだ幼い)を抱えて奮闘するシングルファーザーでもあり、マッティは彼のことが気になる様子。今後の作品で、マッティとコールの関係が深まっていく可能性がありそうです。

 コールが診察にあたるシーンの描写が妙に細かいと思ったら、著者マーガレットさんの配偶者は獣医なんだそう(お名前からして、日系の方でしょうか)。マーガレットさんも、夫のクリニックを手伝っているということなので、どうりで詳しいはずです。

 

 激しいアクションシーンや、度肝を抜くようなどんでん返しはないのですが、そのぶん落ち着いて読める、読後感の良い作品だと思います。マッティを取り巻く人間が、基本的に爐いた有瓩个りなので、ドロドロした陰湿なミステリー(笑)に少々嫌気がさしていた私には、ぴったりな一冊でした。

 続編が2冊刊行されているので、続いてそちらを読むつもり(翻訳書が出版されるといいのですが、原書はシリーズ三作目まで刊行されているのに出ていないということは……翻訳は出ないんでしょうね。残念です。自分が訳したい! とここは言ってしまおう!)。

 

 ずいぶん昔、コロラド州近隣に数年間住んでいたので、この作品に漂うロッキー山脈地帯の地方色が、読んでいて妙に心地よかったです。わたしが住んでいたのも山の近くで、自然に囲まれた町だったので(人間よりも羊の数が多い、なんてジョークも飛ばしていたほど)、なんだか懐かしい気分になりました。

 

 ロボやマギーのように、K9(警察犬)に選ばれる犬種は、アメリカではジャーマン・シェパードなど大型犬が主流です。シェパード以外だと、ビーグル、バセット・ハウンド、ブラッド・ハウンドといった犬種も活躍しています。小型犬種が警察犬になることは稀ですが、最近では日本でも、プードルやミニチュア・シュナウザー、パピヨンなどが警察犬に倏ぬ伸瓩気譟∀誕蠅砲覆蠅泙靴拭

 アメリカのオハイオ州でも、2006年、ミッジという、とても小さな犬(チワワとラット・テリアのミックスで、わずか3kgという小ささ!)が警察犬となり、その年のギネスブックに「世界最小の警察犬」として掲載されています。

 これがそのミッジちゃん。

 

サービス犬

 

「聴導犬」(Hearing Dog)が出てくるミステリー(原書)を読みました。

 

 

Not A Sound by Heather Gudenkauf

 

 主人公のアメリアは、優秀な看護師として活躍していましたが、事故で(事件の可能性あり)聴覚を失い、生活が一変。アルコールに溺れるようになり、家族(夫と夫の連れ子である娘)との関係もうまくいかなくなります。家を追い出されたアメリアは、小さなコテージで一人暮らしをしているのですが、そんな彼女の大きな支えとなっているのが、聴導犬のステッチ(Stitch)(爛好謄奪銑瓩浪我の傷跡からついた名前)。

 アルコール依存からなんとか立ち直ったアメリアが、社会復帰しようとしたその日、ある殺人事件の第一発見者となるところから話はスタートします。事件の裏にある秘密を知ってしまったアメリアは、特定の人物に疑いを抱き、独自に調査を開始します。それに気づいた犯人から、逆に追いつめられていきます。そしてついに犯人と直接対峙し、アメリアに身の危険が迫る……! 

 という、いわゆるスリラー作品。アメリアが元看護師、夫も医師、再就職した職場も病院、事件の謎も医療にからんでいて、「医療」や「医師の倫理」がテーマの話でもあります。

 

 聴導犬のステッチ、きりっとした「お仕事犬」を想像していたんですが、読んでみると、ちょっと違いました。アメリアの命令を聞かなかったり、落ち着きがなかったりと、半人(犬)前?なところも。

 でも、アメリアとの絆は深く、最後は大活躍します!

 

 すでに何作かサスペンス系の作品を発表している作家だけあって、ストーリーの展開がスムーズで、とても読みやすい作品でした。ややパンチというか、強烈なインパクトに欠ける印象もありますが、主人公が牴擦里覆だこΝ瓩暴擦鵑任い襪海箸癲∩澗療な雰囲気に影響しているのかもしれません(余談ですが、アメリアは、会話相手の唇の動きから話している内容を読み取るという、読唇術を身につけているという設定)。

 愛嬌のあるステッチのキャラクターが、いいアクセントになっていると思いました。やっぱり犬が出てくると、一気に引き込まれてしまいます。

 残念ながら、この作家の作品の翻訳書は刊行されていません。前作がどんな作品かは読んでいないのでわからないのですが、本作はGoodreadsやAmazon.comではそれなりにレビューがつき、評価も割と高めです。まあ、話題作というわけでもないので、出版社の編集者の目には留まりづらい作品かもしれません。

 

 ステッチのような聴導犬、そして盲導犬(Guide Dog)といった「補助犬(Service Dogs)」が出てくるミステリーは、初めて読みました。

 "Not A Sound"の舞台はアメリカのアイオワ州。アメリカでは、たくさんの補助犬が活躍しています。

 American Kennel Clubサイトで補助犬のことを調べてみると、興味深い記事を見つけました。

 

”Service Dogs Have Emotional and Psychological Benefits, Researchers Say”

 

補助犬は、身体機能面(視覚や聴覚)で使用者を助けるだけでなく、使用者の精神面にも良い効果を与える」ことが、アメリカのパデュー大学が行った調査により明らかになったという記事です。

 調査は4年間かけて実施されたもので、1500人以上の補助犬使用者・順番待ちの希望者に対するインタビューも含まれています。

 調査の結果、補助犬使用者は、順番待ちの希望者に比べて、より精神的に安定しており、社会適応性が高く、職場や学校でもうまくやっているということが判明したのだとか(使用者本人だけでなく、その家族にも良い影響が見られるそうです)。

 こうした補助犬の精神面での効果は大きく、アメリカでは実際に、退役軍人の方など、トラウマ症状に苦しむ人のための補助犬(精神科補助犬・Psychiatric Service Dog)も活動しています。

 

 補助犬についてまとめたページもありました。

 

”Service, Therapy, and Working Dogs”

 

 補助犬だけではなく、「使役犬(Working Dog)」の情報も。「トコジラミ探知犬(Bed bug-detector dog)」なんていう使役犬もいるとは知りませんでした!

本

 

 原書を探すときは、Amazon.comのベストセラーリストやGoodreadsのカテゴリーをチェックすることが多いですが、NPR (National Public Radio)のウェブサイトに「ジャケット買い」にぴったりなページを発見しました!

(NPRとは、アメリカの非営利・公共のラジオネットワークで、さまざまなプログラムが放送されています。)

 

NPR’s Book Concierge: Our Guide To 2016’s Great Reads

 

 ずらっと並んだジャケット写真が壮観! どの本を読むかは、結局は中身(あらすじ紹介やレビュー)で決めるわけですが、たまにはジャケット買いもありかも?

 ジャケットで目を引いた本、気になった本の中身を想像して、カーソルをOnしてみると(ジャケットの上にカーソルをもっていくと、簡単な紹介文が表示されます)、想像とまったく違っていたりして、おもしろいです。

 以前から気になっていた本もちらほら。こちらとか。

 

 

(NPRで紹介されているジャケットとは違うのですが、こちらも雰囲気があっていいなと。)

 表紙にも描かれていますが、「鳥」が出てくるお話(フィクション)です。紹介文を読んだ感じだと、「家族を失った悲しみからの再生」がテーマ?

 積読本が多すぎて、この本がいつ読めるかわかりませんが……。

 子供のころから、大きな犬を飼うのが夢でした。10代の頃に、ゴールデン・レトリバーを家族に迎えて、夢は叶ったのですが(うちの子はちょっと小ぶりでしたが)、とことん大きな犬を飼いたいという気持ちは今もあります。

 大型犬のなかでも、わたしの憧れは、アイリッシュ・ウルフハウンド(全犬種の中で、体高が最大の犬)、そしてなんといっても、ニューファンドランドです。あの"droopy"(垂れ下がった)目と、堂々たる体躯に、なんとも言えないやさしい雰囲気……最高です。

 このニューファンドランドが登場するノンフィクションを読みました。飼い主に捨てられたニューファンドランドを、シェルターから引き取った男性が綴った実話です。

 

 

Free Days with George by Colin Campell

 

 表紙のニューファンドランド・ランドシーア(白黒のニューファンドランド)が、主人公(?)のジョージ君。

 作者のコリンさんは、愛する奥さんに突然離婚を切り出され、人生のどん底を味わいます。広い家にひとり暮らしだったコリンさんを心配した友人が、犬を飼うことをすすめます。シェルターから引き取ってはというアドバイスにしたがって、見つけたのがこのジョージ君でした。

 ジョージ君も、飼い主に飼育放棄され(番犬にと飼ったけれど、番犬にならなかった、という理由で……ニューファンドランドは、性格的に、そもそも番犬向きではありません)、心に傷を負っていました。こうして、ひとりと一匹は一緒に暮らすことになりました。ともに立ち直るために。

 

 コリンさんはカナダ在住でしたが、仕事でアメリカはカリフォルニア州に栄転することになります。引っ越したのは、目の前が海岸!というロケーション。そこでジョージ君の血が騒ぎます。

 ニューファンドランドは、カナダのニューファンドランド島原産の犬種で、水の大好きな犬(足にはなんと、水かきがある!)。泳ぎが得意で、海難救助犬としても活躍しています。海に本能をかき立てられたジョージ君は、コリンさんとサーフィンを始めます(教えてもいないのに、ボードの上に乗ってきたとか)。たちまち、ジョージ君はビーチで大人気の犬になりました。

 

 ジョージ君のサーフィンの話がメインではなく(後半、カリフォルニアに移ってからの話なので)、ジョージ君がいかに傷ついた犬だったか、ふたりがどうやって信頼を築いていったかということが、大げさではない、誠実な言葉で綴られています。

 コリンさんは人生のなかで祖父(第二次世界大戦で、仲間を助けた功績により表彰されている、立派な方のようです)に大きな影響を受けたと語っています。タイトルの"Free Day"というのは、そのおじいちゃんの言葉で、「一日中、大好きな人と一緒に、何でも好きなことをする日」で、その日は「決して年を取らない」と。素敵な言葉だなと思いました。

 

 コリンさんの気取らない語り口がとても読みやすく、ノンフィクションですが小説のように楽しく読めました。犬好き、とくに大きな犬が好きという人や、保護犬に興味がある人に、ぜひ読んでいただきたい一冊です(翻訳書は出ていませんが)。

 

ニューファンドランド

(ニューファンドランド。かわいいです。)

 海外の犬情報を集めるのに、信頼できるサイトとしてよくチェックしているのが、American Kennel Clubのサイト。とてもおしゃれで、情報の見やすいサイトです。興味深い記事がたくさん掲載されていて、会報誌のデジタル版も閲覧できるので、見始めるとついつい長居してしまいます。

 そのAKCのサイトで、おもしろいクイズを見つけました。「わんことおうちのマッチングをしよう」というもの。家の写真が出てくるので、その家で暮らすのにぴったりなわんこを4択で選んでいきます。日本ではあまりなじみのない犬種も登場するので、答え合わせが楽しいです!

 クイズはこちらから→Quiz: Can You Match the Dog to His Home?

 トライしたら、8割がた正解でした。

 

 イギリスのとある宮殿に住む犬と言えば……?

 

コーギー

天使

 

 書評サイトGoodreadsの"Dog"カテゴリーで、つねに"Most Read This Week"に表示されている作品があり、ずっと気になっていたのですが、お盆に読了しました。

 

 

Faithful  by Alice Hoffman

 

 <概要>

 ロングアイランドに住む女子高生のシェルビーは、ある冬の日、車の事故を起こし、シェルビーも助手席に乗っていたヘレンもひどいけがを負う。ヘレネは昏睡状態となり、シェルビーは罪悪感にさいなまれ、心に深い傷を負う。

 事故のあと、シェルビーは家に引きこもるようになり、ドラッグにも手を出して、母親を悲しませていた。一方のヘレンは、意識が戻らないまま、猝しの力を持った奇跡の少女瓩箸靴董国中の注目を集めていた。

 あの事故のとき、シェルビーは狹兄鉢瓩了僂鮓た。わたしは天使に助けられた。でもどうして、ヘレンを助けてくれなかったの? シェルビーの心の叫びに答えるように、一通の絵葉書が届く。差出人不明の絵葉書には、たった一言、こう書かれていた。「気持ちを声に出すんだ(Say something)」

 思い切ってニューヨークに移り住み、ペットショップで働き始めたシェルビー。友達と呼べる人と出会い、辛い境遇から救い出した犬たちと暮らすなかで、温かい感情がよみがえってくる。学校に通い、将来の目標も見つかる。そんなシェルビーのもとに、あの天使からの絵葉書が、一枚、また一枚と舞い込む。求める、見る、信じる、愛する……絵葉書のメッセージに導かれるように、前へと進んでいくシェルビー。その先には、運命の再会――天使との再会――が待っていたのだった。

 

<感想>

 読んでみて、犖いテーマ瓩遼椶任呂覆い海箸傍い鼎ましたが、心に響くストーリーで、一気に読んでしまいました。

 Goodreadsで"Dog"カテゴリーに入っていたのは、シェルビーが犬(猫も)を助ける場面が何度か出てくるからでしょうか。ホームレスに犲囲の同情をひく道具瓩砲気譴討い晋い筺虐待されていた犬を救い出すのですが、助け方がちょっと(というかかなり)強引で、そこは読んでいてびっくりでした。助けた犬の世話をし、命に責任を持つということが、シェルビーを立ち直らせるきっかけになったのでしょう。ニューヨークでのアルバイト先がペットショップで、シェルビーは最終的に獣医を目指すようになるので、犬の存在が彼女の人生を変えたといってもいいかもしれません。

 ヘレンの犂饑廰瓩筺↓狹兄鉢瓩箸い辰拭▲好團螢船絅▲襪瞥彖任發△蠅泙垢、あくまで、シェルビーというひとりの少女の再生と成長がテーマです。ヤング・アダルトのカテゴリーに入れてもよさそう。文体も平易で読みやすく、ストーリーも安定したペースで進むので、少し長めの洋書にチャレンジしたい、一冊読み切ってみたい、という人におすすめしたい作品です。

セキレイ

(Wagtail:セキレイ)

 

 以前から気になっていた、犖ぁ猫もの瓩離魁璽検次Ε潺好謄蝓次Ε轡蝓璽困梁莪戝討鯑匹澆泙靴拭

 

 

Murder, She Barked by Krista Davis

 

<ストーリー概要>

 ワシントンD.C.で暮らす主人公ホリーは、愛するオーマ(オーマ(Oma)はドイツ語で爐ばあちゃん瓩琉嫐。オーマはドイツ出身で、アメリカに移住しているという設定)から急な電話で呼び出され、故郷のヴァージニア州ワグテイルまで車を飛ばす。その途中で、犬を拾ったり(メスのジャックラッセル・テリア。これが表紙の犬で、名前は爛肇螢シー瓠、炎上する車を目撃したりと、いろいろありつつも、ワグテイルに到着。

 ワグテイルは爛撻奪函Ε侫譽鵐疋蝓辞瓩癖殕榁呂僕擁僂錣蠅掘▲ーマの経営するホテルも、いまやペット・オーナーに大人気のホテルとなっていた。肝心のオーマは、元気そうに見えたが、様子がおかしい。オーマは誰かに命を狙われているようなのだ。オーマを守るため、ホリーはワグテイルに留まることにした。

 一方、車の炎上事件は、ホリーの恋人ベンの昔の彼女、キムが関係していることがわかる。そして、キムと、なぜかベンもワグテイルに現れる。そこに、次々と新たな事件が発生。ワグテイルの市長が殺され、トリクシーが行方不明になり、幼なじみのホームズが、市長殺しの容疑をかけられてしまうのだ。警察の捜査にしびれを切らしたホリーは、事件を独自に調べはじめるが、怪しい人物や謎は増えていくばかり。この平和そのものに見えたワグテイルで、いったい何が起こっているのか? 

 

<感想>

 登場人物が多く、事件が立て続けに起こるので、ちょっと話が掴みにくいところもありましたが、プロットはしっかりしていて、いろいろと張られた伏線も最後に回収され、「ドタバタしているうちに話が終わってしまった」ということもなかったです。

「今すぐ来て」と、一大事のように遠方に住む孫を呼びつけた割に、その訳をなかなか言わないオーマにやきもきしましたが、理由は……ありました(ちょっと苦しい?という気もしましたが……)。ホリーと、恋人ベンと、昔の彼女のキムとの三角関係があったり、再会した幼なじみのホームズのことが気になったりと、コージーお約束のロマンス要素もちゃんとあります。

 

 コージーといえば、牾┐呂きのような田舎の村瓩舞台になることも多いですが、本作の舞台のワグテイルも、自然あふれる美しい村です(ワグテイル(Wagtail)とは、爛札レイ瓩箸いΠ嫐)。爛撻奪鉢瓩把おこしをしているという設定で、ホテルもレストランもショップも、町中どこでもペットOKの、まさにペット・パラダイス。オーマのホテルの部屋も、ペットのおやつやおもちゃが用意され、至れり尽くせりです。レディースフロアならぬ、猫専用エリアみたいなのもあるんですよ! 宿泊ペットには、GPSつきの首輪をつけることになっていて、万一迷子になっても、探せるようになっているとか。そしてこのGPS首輪瓠∋件解決に一役買うことになります。なかなかに細かい!

 

 トリクシーと、トゥインクルトウ(表紙の三毛猫)が、いちおうメインの動物キャラクターで、そのほかにも、ジンジャースナップ(オーマの飼っている、ゴールデンレトリバー)などなど、犬や猫がたくさん登場します。本作はPaws and Claws Mystery瓠米球と爪、つまり犬と猫?)というシリーズの第1作で、5作目まで発表されているようなので、トリクシーたちも、だんだんと活躍の場が増えていくのかも? 

 書評サイトGoodreadsでは、5作ともそれなりの数のレビューがついていて、評価もすべて星4以上なので、完成度やおもしろさも安定しているシリーズなんじゃないかと思います。とりあえず、第2作のThe Ghost and Mrs. Mewer瓩鯑匹爐弔發蠅任后

 

 この作家さん、別のコージー・シリーズも発表していて、そちらは翻訳版が出版されています。主人公が牴隼アドバイザー瓩箸いΔ舛腓辰畔僂錣辰神瀋蠅如愛読していました。続きが出ないか楽しみにしているのですが、刊行される気配がない……

 

 

感謝祭は邪魔だらけ

クリスタ・デイヴィス:著、島村浩子:訳

 

 

 そうそう、犬本を探すのに、Goodreadsの"Dog"のカテゴリーをチェックしていたのですが、Amazon.comに"Cozy Animal Mysteries"というカテゴリーを発見。見ていると、「コージーじゃなさそう」「動物? 出てくるの?」というものもありますが、このカテゴリーを見ていけば、犬ものコージーも探しやすそうです。

シェパード

 

 世の中には犬好きが多く、犬が主人公の本・犬が登場する本には一定の需要がある気がします。ということで、海外のすばらしい犖に椨瓠覆修鵑淵献礇鵐襪覆い任垢韻鼻砲箸僚于颪い魍擇靴澆法読書に励んでいます。

 前に「名犬チェットシリーズ」のことを書きましたが、「犬ものミステリーといえば、こっちも忘れちゃいけない!」という作品があります。それがこちら。

 

 容疑者

 

容疑者』 

ロバート・クレイス:著 高橋恭美子:訳

 

 刑事スコット&シェパート犬・マギーのコンビのシリーズ第一作。警察もの(K9、つまり警察犬をパートナーとする部隊)で、語り口もストーリーも硬派ですが、犬の描写になると、なんだかぐっと柔らかくなるというか……作者の犬への愛情を感じてしまいます。

 マギーの視点で書かれた章は、犬派の人間には涙と笑いなくして読めません! マギーは軍用犬で、戦争でパートナーを失い、心身ともに大きな傷を負います。そのマギーが、同じように傷ついたスコットと出会い、一緒に再生していく様子が描かれていて、「マギー、がんばって!」(スコットは?)と、読みながら心の中で応援していました。マギーにとって、スコットは家族であり、ボスであり、生きる理由であり……とにかく、すべてなんです。そんなマギーのひたむきさが、シリアスでハードボイルドな内容に人間らしい(犬だけど)ぬくもりを添えてくれています。

 この作品、犬の行動、とくに獏務亅瓩良措未すばらしいです。この作品を読めば、犬がどんなふうに爐砲い瓩鰉未い任い襪里疑似体験できます。うちの子たちと散歩に出たときに、飽きもせずにおいをかぎまわる姿をしげしげ眺めてしまいました(人間が狃い瓩抜兇犬襪砲いが、この子たちには爐いてい瓩世辰燭蠅垢襪鵑任垢茲……)。うちには超シニア犬もいるのですが、においだけは敏感、というか健在です。床に落っこちたフード一粒、見逃し(利き逃し?)ませんし……。

 

 チェット・シリーズのチェットは、「ぼく」と一人称ですが、こちらのマギーは三人称で語られています。好みがわかれるところですが(動物が一人称だと、どうしてもファンタジーっぽくなってしまうので)、どちらの作品も、犬については猖楜いつ真面目瓩防舛い討い襪里如犬好きさんも納得・満足できると思います。個人的には、チェットの爐舛腓辰箸未韻討覺兇賢瓩好きなんですけどね。


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