ホリデーシーズンにぴったりの読み物をと思い、読み始めたこちらの作品。なんとかクリスマスの日に読了しました。

 

Not a Creature was Purring by Krista Davis

 

 シリーズものの、最新作(第5作)で、第1作しか読んでいませんでしたが、話についていけない、ということはなかったです。むしろ、間に3作あるのか?というくらい、登場人物の関係や物語の背景に変化が見られず……。

 

 このシリーズは雰囲気の良さが好きなのですが、本作もピクチャレスクな町ワグテイル(アメリカのバージニア州)のリゾートホテルを舞台に、ペット(犬&猫)が山盛り登場するという、読んでいて楽しいお話でした。主人公ホリーは、第1作で都会での仕事を辞め、ワグテイルに戻り、実家のホテルの共同経営者(ホリーの祖母が経営しているホテル)になります。このホテルがペットに至れり尽くせりと、夢のようなホテル。ワグテイル自体、ペットで町おこしをしている、完全ペットフレンドリーな町です。

 そのクリスマスムード一色のワグテイルで、殺人事件が起こります。ホリーが思いを寄せる幼馴染のホームズが、婚約者とその家族を連れて、ワグテイルでクリスマスを過ごすことになり、ホリーもやりきれない感じだったのですが、殺人事件でそれどころじゃなくなり……と、事件×人間関係×ロマンスという、これぞコージーミステリーな展開。

 コージーの割に(?)、どたばたしすぎない、落ち着いた雰囲気があるシリーズですが、今回は少々読みづらかったです。とにかく、登場人物が多い&複雑すぎる!ホームズの婚約者の家族というのが「曾祖母、その息子(祖父)、その再婚した妻(祖母)、息子の娘(母)、その夫(父)、その娘(これが婚約者)、祖父が再婚した妻の息子(父)、その妻(母)、その息子&娘」という、書いていてもよくわからなくなる、4世代、実・義理家族入り乱れての構成。こんがらがって仕方ありませんでした。さらに、ホリーやホームズの家族、ホテルの従業員、町の人たちも登場し、サイドストーリー(本筋とちゃんとつながります)も進行していくので収集が……。

 

 とはいえ、こういう盛りだくさんなところがコージーミステリーの醍醐味ですし、そのぶん読み応えは抜群です。なにより、ホリーの愛犬トリクシーと愛猫ティンクルトゥが活躍する場面が多かったのが◎でした!

 

サンタクロース

 

 季節はクリスマス! ホリデーシーズンの読み物といえば、コージー・ミステリーで決まりです(?)。

 いろいろ魅力的なクリスマス・コージーがあって悩んでしまいますが、こちらを選びました。

 

Not a Creature was Purring by Krista Davis

 

 A Paws & Claws Mysteryシリーズの第5作。第1作を読んで、好きになったシリーズです。第2〜4作は読んでませんが、スタンドアローンとして読んでも大丈夫、というレビューがあったので、問題なさそうだと判断。表紙のトリクシー(犬)とティンクルトゥ(猫)のイラストに、やられてしまいました!

 

 こっちも気になったのですが……。

 

Rest Ye Murdered Gentlemen by Vicky Delany

 

 年中クリスマス一色、というニューヨークのルドルフという町が舞台の、こちらもシリーズもののコージー・ミステリーです。翻訳版が、なんと先月出版されていました!

 

『クリスマスも営業中?』

ヴィッキ・ディレイニー:著、‎ 寺尾 まち子:訳

 

 出版社はもちろんコージーブックスさん。さすが、このシーズンどんぴしゃなコージーを翻訳出版されています!

 

 気になる作品、まだまだあります……。

 

A Cajun Christmas Killing by Ellen Byron

 

 こちらのシリーズ、第1作のBody on the Bayouが2016年のアガサ賞のショートリストにノミネートされていました。Cajunというのは、「北米にあるフランスのアカディア植民地に居住していたフランス系カナダ人の人々のうち現在の米国ルイジアナ州に移住した人々とその子孫」(Wikipediaからの引用)を指す言葉で、シリーズの舞台もルイジアナ州。アメリカ南部の雰囲気が味わえる、個性的なコージーミステリーのようです。アガサ賞ノミネ作家だけあって、レビューサイトでの評価も高いので、ぜひ読みたいシリーズです。これまた、表紙の犬がなんとも……

 

 もうひとつ、日本でもかつて翻訳書が刊行されていたシリーズの1作。

 

◆Twelve Dogs of Christmas by David Rosenfelt

 

 アンディ・カーペンターという弁護士が主人公のシリーズで、全16作品というロングラン。著者が無類の犬好き(犬の救済団体を主催しているほど)で、主人公も「犬」がらみの事件を担当し、毎作「犬」が表紙になっています。こちらは15番目の作品ですが、翻訳書は10年以上前に出版された2作のみ。コージーミステリーじゃなくて、クライムサスペンスのジャンルに入るみたいなので(表紙の犬はいかにもコージーっぽいですが……)、ほっこりはしなさそう?

 

 クリスマスまで2週間くらいなので、全部読むのは明らかに無理……なので、とりあえず、大好きなKrista Davisの作品を読もうと思います。

 

クリスマス

 

 Courseraで、ぼちぼち受講しているDog Emotion and Cognition(このコースについては、以前の記事で書きました)。

 The Truth About Cats and DogsとAnimal Behaviour and Welfare(どちらもイギリス・エジンバラ大学が提供)のふたつのコースの受講が終わったところに、タイミングよく開講されていたので受講してみることにしました。

 

 このコース、犬の心理や認知について学ぶという内容で、より「犬の性質を学ぶ」ことに特化したコースです。デューク大学で教えていらっしゃるBrian Hare(ブライアン・ヘア)先生がインストラクターです。ヘア先生やほかの研究者たちが共同で運営しているサイト(Dognition)を利用すれば、自分の愛犬のCognitive ability(認知能力)を楽しいゲームを使って測定することもできます。

 犬の賢さを知る以上に、犬の認知能力とはなにか、それを理解することが犬との関係にどう役立つのか、といったことを学んでいきます。Dognitionで測定するのも賢さのレベルではなく、自分の愛犬がどういう傾向にあるのかを理解することが目的です。すべてのゲーム(20ゲーム)にトライし、結果を提出すると、自分の愛犬のプロファイルを判定してもらえるんだとか(そして研究者たちは、多くのデータを収集できるというわけです)。プロファイルのカテゴリーは9つ(サイト参照)。愛犬のタイプがわかれば、愛犬に最適なしつけやトレーニング方法を選択することができる、というメリットがあります。カテゴリーのネーミングも楽しい!

 

 ヘア先生の話し方は、結構ハイテンションで早口。でも、活舌がいい?ので、早くても聞き取りやすいと感じました。

 

犬とボール

(うちの子は「取ってこい」はできませんが、自分の口でおもちゃやボールを投げて、取りに行くことができます。いわゆる「ひとり遊び」?)

 

 American Kennel Clubのサイトで、またまたおもしろいクイズを発見!

 自分は「犬種には詳しいほうだ」と思っていましたが、全然だめでした……どの犬も同じに見えます……。

 クイズはこちら→Quiz: Which Dog Breed Is Which?

 第1作がおもしろかったので、同じシリーズの2作目を読みました。

 

Stalking Ground by Margaret Mizushima

 

 アメリカ・コロラド州ティンバー・クリークのK9ユニット、マッティ&ロボシリーズの第2弾です。本作は、冬の雪山が舞台です。被害者は、マッティの上司ブロディの恋人(前作にもちらっと登場してました)。行方不明になった彼女を、マッティたちは必死に捜索しますが、ときすでに遅し。険しい山の上で、遺体が発見されます。折り悪く天候は崩れ、辺りには雪が降りはじめ、マッティは現場保存のためにロボと山に残るのですが……。

 

 前作ではちょっと嫌な上司みたいな雰囲気だったブロディに、マッティも同情していろいろ気を回す場面もあり、人間関係が苦手だったマッティの成長もうかがえます。捜査面でマッティとコンビを組むのは、州警察の女性刑事ステラ。彼女がいい味出してました(第1作でも登場)。マッティの家族は一家離散状態で(父親は刑務所で死亡、母親は失踪。兄も音信不通)、そのつらい過去が前作以上に描かれているのですが、ステラとの友情が、今後の支えになっていきそうな感じでした。

 

 コロラドの厳しい冬と山の風景も、臨場感たっぷりに描かれています。隣州に住んでいたので想像がつきますが、雪の量は半端ない。10月に雪が降ることもしばしば。そして山は険しく、野生動物もいます。マッティとロボも、山でMountain Lion(クーガー)に遭遇したり。そこでロボが大活躍! クーガーとやりあい、終盤は本領発揮の追跡劇。プライベートでも、ロボはマッティのなくてはならない家族としてマッティを支えます。がんばれ、ロボ! と応援しながら読みました。

 

 本作では、捜査協力もしている獣医のコールが主人公に近い存在で、最初から最後まで出ずっぱりでした。離婚して自分も娘ふたりも精神的に落ち着かない状態になっているところに、患者(馬)がらみで事件に巻き込まれ、自身も命の危険にさらされます。獣医さんも大変……。

 

 

コロラドの山

(コロラドの山は、こんな感じ。ロッキー山脈の頂には、夏でも万年雪が見られます。)

天の川と少年

 

 宇宙と犬が大好きな、少年のお話を読みました。

 

See You in the Cosmos by Jack Cheng

 

 11歳のアレックスは、宇宙が大好きな男の子。愛犬にカール・セーガン(『コスモス(Cosmos)』というテレビ番組を監修したことでも知られる、アメリカの著名な天文学者)と名づけているほど。父親を亡くし、コロラド州で母親とふたり暮らしのアレックスは、11歳にしてはずいぶん大人びた少年。L.Aに暮らす年の離れた兄ロニーの仕送りを受けながら、気分のすぐれない(おそらく心の病を患っている)母親の世話を焼き、家事をこなし、アルバイトで稼いだお金を資金に、コツコツと自作のロケットを作っている。

 そのロケットを打ち上げるため、ニューメキシコで開催される宇宙ファンの一大イベントに参加しようと、アレックスはひとりで列車に乗る。それは、さまざまな人と出会い、自分の家族の秘密をも解き明かす、大冒険の始まりだった……。

 

 アレックスが本当にいい子なんです!家族環境のせいか(母親がほとんど何もできない・しない状態)とてもしっかり者なんですが、つらいことがあると大泣きしたり、ちょっと幼いところもあります。宇宙人がいると信じていて、自作のロケットに搭載して宇宙に打ち上げる予定のiPodに、せっせと「地球人のいろんな音声」を録音しています(物語は、アレックスがiPodを通して宇宙人に語りかける、という形で進む)。

 

 舞台はコロラド州からニューメキシコ州(UFOで有名)、ネバダ州、カリフォルニア州へと、めまぐるしく移動。最初はひとり旅だったアレックスですが、道中さまざまな人と出会い、交流し、助けられ、一緒に旅を続けることになります。その仲間のひとり、作家で僧侶みたいな雰囲気のゼッドという男性が、いい味だしてます。最初、ゼッドは「沈黙の行」をしていて、「小さな黒板にチョークで文字を書く」というなんともアナログな筆談でコミュニケーションをとっているのですが、その辺りのやりとりなんかも、絶妙に描かれています。彼とアレックスの凸凹コンビがほほえましくて、でも会話は深かったりして、ぐっときました。

 

 犬……がことさら取りあげられる話ではなかったのですが、愛犬カール・セーガンには一大事が起こります。カール・セーガンは、アレックスの親友で、大切な家族。この「家族」というのが、本作のメインテーマ。その家族をめぐって、アレックスの旅は思わぬ方向へ進んでいきます。

 

 主人公アレックスの話し方が、文体のなかににうまく表現されていて、それが読んでいて楽しかったです。子どもにとって、要点をまとめて話したり、話の途中で適度に間を取ったりするのは難しいことなので、アレックスも、「○○だったんだけど、△△になって、そしたら□□で、それで◎◎が××して……」と、話はじめるとノンストップ。本のなかから、アレックスのはずむ声、息づかいが聞こえてきそうでした。

 頭のいい子なので、ちゃんと順序立てて話してはいるのですが、とにかく全部言いたい!という感じ。アレックスは狄深足瓠扮海鬚弔ないこと、本当のことを話すこと)をとても大切にしている少年。だから、起こったこと、感じたことをすべて、彼なりの言葉で一生懸命表現しようとする。話し方にも、アレックスのキャラクターがちゃんと反映されています。

 

 終盤、アレックスには危機が訪れます。アレックスを守ろうと、彼を取りまく大人たちが奮闘します。ある事情で、家じゅうを掃除する場面があるのですが、「この掃除にアレックスの命運がかかっている」とみんな真剣そのもの。でもやっていることはただの掃除。それが妙におかしくて、久しぶりに本を読みながら声をあげて笑ってしまいました。

 

 この作品には、"You already have it."(「もうちゃんと持ってるじゃないか」)というフレーズが出てくるのですが、それがとても心に響きました。最初は理解できなかったアレックスも、さまざまなことを経験し、言葉の本当の意味がわかるようになります。探しているもの、大切なものは、もうちゃんと持ってる。見えなくても、そこにある。そんな風にわたしは解釈しました。

 

 大人とアレックスのときに軽快な、ときに真剣なやりとりが味わい深く、心に感じるものがありました。それなりにボリュームのある本ですが、文章は平易(たまに宇宙用語とか出てきますが)なので、すらすら読めますし、カテゴリーとしては児童書ですが、"Wishtree"と同じく、大人が読んでもじゅうぶん楽しめる作品です。

 木が主人公の、心温まるお話を読み終えました。

 

Wishtree by Katharine Applegate◆

 

 Amazon.comなどでは児童書のカテゴリーに入っていますが、大人が読んでも楽しめる作品だと思います。

 

 *この作品の紹介動画を発見しました*

 

 

 木(レッドという名前の、オークの古木)が語り手で主人公の物語です。親友であるカラスのボンゴや、レッドを住処にしているオポッサム、スカンク、フクロウ、アライグマといった動物たちが登場するので、動物好きにはたまらない一冊です。

 Wishtree(願い事を叶える木:お願い事を書いた布やリボンを枝に巻きつけて、願掛けをする)として愛され、何世代にもわたって、町を静かに見守ってきたレッド。ある少女が引っ越してきたのをきっかけに、平穏な日々に変化が起こり、レッドの木としての人生もゆるがす事態へと発展していきます。レッドは古木ということもあり、語り口は淡々としているのですが、その言葉はやさしさに満ちていて、しみじみ、じんわり心にしみてきます。

 

 この本、文章もとてもよかったのですが、挿絵がまた素敵でした。オポッサムとかカラスとか、ちょっと強面(?)の動物も、愛嬌たっぷりに描かれているので、思わずほほが緩みます。最後のほうで動物勢ぞろいの場面が出てくるのですが(動画で見れます)、そのイラストが本当に素敵なんです。 

 挿絵を描いたのは、イラストレーターのCharles Santosoさん。この作品以外にも、たくさんの児童書の挿絵を担当されているので、動物ものの作品があったら、ぜひ読みたいと思います。

 

 木は動けないので、流れに自身の運命をゆだねるしかない(レッドいわく、passiveな)存在ですが、目には見えない形で、生き物や人間に働きかけ、さまざまな影響を与えている。1本の木が、町のシンボルになったり、忘れられない思い出になったりする。自然ってそういうものなんでしょうね。読み終わって、そんなことを考えました。

 

 *期待通り、翻訳書が出版されました!

 

『願いごとの樹』

キャサリン・アップルゲイト:著 尾高 薫:訳

 

 タイトルにあるように、「木」じゃなくて「樹」としたほうがしっくりくるので、なぜだろうと調べてみました。どうやら「樹」という字は、「生きている木」にしか使わないようです。レッドは物語のなかで、しっかり生きている木ですからね。

 

冬の木

 

 動物がたくさん登場して、挿絵もツボ、という本に出会うとうれしくなります。手元にあるものだと、こちらもおすすめです。

 

The Illustrated Compendium of Amazing Animal Facts by Maja Saefstroem

 

 この本については、以前に一度アップしているのですが(過去記事)、Majaさんのほんわかした、ちょっと不思議なテイストのイラストがなんともいえません。

 シリーズ2冊目が出版されていました! ほしい!

 

Animals of a Bygone Era: An Illustrated Compendium

 Courseraで受講していた"The Truth About Cats and Dogs"(猫と犬の真実)、無事コースを修了しました(コースについてはこちら)。

 5週間という受講期限があり(修了証の発行を希望しないのであれば、期限オーバーしてもOKみたいです)、駆け足の受講となってしまったので、映像教材や提供資料などをもう一度最初から見直したいと思います。

 

 このコースを受講してみて、犬や猫を含め、ペットを飼うことの意味を強く感じるとともに、彼らにとってのWelfare(幸福)は何かということをあらためて考えさせられました。ペットに対する考え方は、国や文化、個人によって異なったとしても、飼い主の共通認識として、ペットは動物であり(狆さな人間瓩任呂覆ぁ法◆崙以には動物としての幸福がある」ことを忘れちゃいけないんですよね。

 

 イギリスでは、ペットオーナーに対し、ペットの"Five Welfare Needs"(ペットの幸福のための5つのニーズ)を満たすことが法律で義務付けられています。

 

  1. Need for a suitable environment(適切な環境で飼育し、運動・休息を与えること)
  2. Need for a suitable diet(適切な食事や水を与えること)
  3. Need to be able to exhibit normal behaviour patterns(動物として正常な行動を表現する自由を与えること)
  4. Need to be housed with, or apart from, other animals(その種に応じて、複数飼育/単独飼育を選択すること)
  5. Need to be protected from pain, suffering, injury and disease(痛みや怪我、病気からの自由を保証すること)

 

 この5つのニーズのうち、3と4はなかなか難しい……動物として正常な行動(吠える、走り回るなど)が、人間社会においては問題となることもあります。また、動物(犬種)によっては、単独飼育が望ましい種と、仲間の動物がいたほうがよい種がいますが、飼育事情により、そのニーズを満たせない場合もあるでしょう。

 

 飼い主として、人間側の都合や思いこみではなく、「動物にとっての幸福」を意識する。基本中の基本ですが、それが一番大事なことなのかなと思いました。

 

走る犬

 

*****

 思い立って、Courseraの"The Truth about Cats and Dogs"の修了証を申請しました。何かに使えるとは思えませんが、受講の記念にと。

Coursera修了証

(送ってもらえるのはデータだけなので、紙の形にしたければ自分で印刷しないといけません……)

ハロウィン 

(犬のハロウィーン。終わっちゃいましたが……)

 

 しばらく前から読みはじめた、動物行動学者でドッグトレーナーである著者の自伝(The Education of Will: A Mutual Memoir of A Woman and Her Dog by Patricia B. McConnell)、やっと8割程度まで読めました。内容が想像以上に重く、少し読みあぐねています。

 

 この自伝の半分は、自分の愛犬Willと、トレーナーとしてかかわっている犬たちの攻撃的行動(aggressive behavior problem)の改善という、ドッグ・トレーニングについて書かれています。Willを含め、登場する犬たちの問題はかなり深刻です。

 Patriciaさんは、飼い主として、プロのトレーナーとして犬たちに向きあうのですが、トレーニングがうまくいくこともあれば、一進一退、なかなか状況が改善しないこともあります。

 

 実際のトレーニングの様子も書かれていて、とても興味深いのですが、そのぶん読んでいてつらいところも。犬たちは何も好きで攻撃的になっているわけじゃない。恐怖やトラウマ(トラウマの原因が不明の場合もあるし、飼い主が思いこんでいる場合もある)が要因の反射的、自己防衛的な行動なので……。

 恐怖にうまく対処できない犬たちは、やむにやまれず、「こっちに来ないで!」という威嚇行動、つまり吠えたり、歯をむいたり(最終段階は「咬む(bite)」)という行動に出る。それを考えると、つらくなってきます。人間だって、そんなふうにしか生きられなかったとしたら、まちがいなくつらいはずです。

 

 Willくんは、内科的な問題も抱えていたうえ(食事とかもかなり気をつかう)、大きな怪我をして長期のリハビリが必要になるなど、「つらい」の一言では片づけられない、満身創痍の状態。愛犬家の読者としては、読んでいてつい力が入ってしまいます(そしてどんどん、読むスピードが遅くなる……)。

 

 本書のもう半分は、著者自身が抱える心的外傷後ストレス障害(PTSD)と、その原因となった過去の複数の体験について語られています。こうした自分の体験を、本という形でオープンにするというのは、勇気を総動員しなければできなかったはず。

 Patriciaさんは、自分自身が心に傷を負い、日常生活に支障が出るほどの症状(不安障害)と長年つきあってきたからこそ、恐怖に極端な形でしか対峙できない犬たちの気持ちが理解できるのでしょう。

 

 読みあぐねているのは、Patriciaさんの物語があまりに深刻で、あまりに個人的だから。1章1章、山を越えるように読んでいます。気楽に読める本でないことはたしかです。終盤になって、やっと光が見えてきたようなところもあります。

「新しいライフ・ストーリーを描くためには、今自分が生きているストーリーを知らなければならない」とPatriciaさんは言います。たとえそれがつらく、痛みを伴うものであっても、いままで目を背けてきた過去と向きあうことが、問題解決への一歩なんだと。この本に書かれていることをうまく消化できるかわかりませんが、時間がかかっても、最後まで読みきりたいと思います。

 

 犬の「恐怖を表現する行動」をまとめたポスターを見つけました。

Body Language of Fear in Dogs

 

 最近、Courseraのコースなどで、あらためて犬のことを勉強しているのですが、愛犬家と言いながら、犬たちのことをちゃんと理解できていないかもしれないな、と痛感しています。こんな飼い主を愛して(たぶん)くれる犬たちには、感謝しないと……。

雨降り

(ずーっと雨です。散歩に行けなくて、人間も犬もうんざりです……)

 

 Courseraでペット関連のコース(The Truth About Cats and DogsAnimal Welfare)を受講しています。第3週のカリキュラムまで進みましたが、どちらのコースも内容が充実していて、とても興味深いです。映像教材に登場する農場の風景や動物にも癒されています。

 動物に関する学問といえば、これまで獣医学や畜産学、生物学といった理系の分野(Animal Science)を連想していたのですが、社会学、哲学、文化、芸術の観点から動物を研究する分野(Animal Studies)もあるんですね。動物福祉学(Animal Welfare)や動物とヒトとの関係学(Anthrozoology)といった言葉は、コースを受講していて知りました。

 動物と文学やアート、映画の関係をテーマとする分野もあるんだとか。そういえば、古典の名作のなかにも、犬や動物は頻繁に登場しています。それで検索していると、「文学のなかの動物」を時系列にまとめたインフォグラフィックを見つけました。

 

画像をクリック(参照元:www.helpucover.co.uk/)

 

 やっぱり、動物文学の古典として一番に頭に思い浮かぶのは、メルヴィルの『白鯨』でしょうか。犬の小説といえば、ジャック・ロンドンですね。「ピーターラビット」のシリーズは、よくよく考えると、子供のころに初めて読んだ「海外の動物小説」かもしれません。そうか、「プーさん」も「動物小説」なのか? などと考えていると、大学院でアメリカ文学を研究していたとき、このテーマに出会っていればよかったと思ったりしました(ちなみに、修士論文のテーマは、ホーソーンの『紐文字』でした)。

 

 こんなのも見つけました。

 ◆The 10 Most Beloved Dogs in Literature

 

 このなかでは、「クリフォード」が好きです!

 

ビーグル

(ビーグル。元気ハツラツなイメージ。)

 

 著名な動物行動学者で、訓練士でもある著者の自伝を読みはじめました。

 

 

The Education of Will: A Mutual Memoir of A Woman and Her Dog

by Patricia B. McConnell

 

 こちらの本、Barkというアメリカの犬雑誌のサイトで出会いました。書評のコーナーがあるのですが、そこで"artfully written"な本だと紹介されていて、読んでみたくなりました。(ちなみに、Barkをアメリカから取り寄せ購読することにしました! まだ届いてませんが、どんな雑誌なのかわくわくしています。)

 

 著者は動物学の博士号を持ち(博士論文のテーマは「牧羊犬とハンドラーのコミュニケーション」だったとか)、大学で教鞭をとる傍ら、攻撃的な態度や過剰な恐怖反応といった犬の問題行動を専門に扱う訓練士としても活動しています。Patriciaさんはこれまでに、犬の行動やしつけに関する多数の著作を発表していますが、本作は自分の過去と、問題を抱えた愛犬に向き合った日々を綴った自伝的ノンフィクションです。

 タイトルのWillは、Patriciaさんの愛犬、オスのボーダー・コリーです。Willは過剰なまでにほかの犬や物音におびえ、恐怖というスイッチが入ると、それこそ「犬」が変わったように攻撃的な態度をとってしまう、難しい問題を抱えた犬でした。それは子犬のときから、というか生まれ持った性質だったようです。人間が大好きで、ふだんは本当に愛すべき犬であるWillの問題をなんとか改善しようと、Patriciaさんは奮闘します。

 一方で、Patriciaさん自身の過去のトラウマも明かされます。彼女自身、コントロールできないほどの強迫性観念(突然、見知らぬ誰かに襲われる、といった)に日常的に襲われていました。まだ途中までしか読んでいないのですが、どうやら子供の頃のつらい体験が関係しているようです。タイトルに"facing my fears"とありますが、Willを訓練することで、自分のなかの恐怖にも対峙していくという部分は、胸に迫るものがあります。

 

 Willのような、いわゆる問題行動を示す犬は、問題の程度こそあれ、決して少なくないと思います。そもそも「問題」という定義は人間側からの見方なので、問題行動のなかには犬(動物)としての自然な行動も含まれるわけです。

 いま受講しているCourseraのコース(The Truth About Cats and Dogs)に、受講生からの質問に講師が答えるというコーナーがあり、そこで先生が印象的なコメントをされていました。

 

「犬の(人間から見て)望ましくない行動(undesirable vehaviors)は、その犬にとって『大切なもの(important resource)』を失うことへの恐怖が原因になっていることが多い」

 

 犬にとっての「大切なもの」は、食べ物、お気に入りのおもちゃやお気に入りの場所といった物理的なものもあれば、安全や(飼い主の)愛情といった目に見えないものの場合もあります。どちらにせよ、それがなくなることへの恐怖が引き金となって犬が過剰反応を示したときは、一方的に叱るのではなく、「大丈夫だよ」と犬を落ち着かせることが第一に取るべき行動。

 とはいっても、簡単にできることではありません……。うちの子も、玄関チャイムが鳴ったりしたら、無駄吠えすることが多いのですが、犬からしたら、無駄じゃなくて理由があって吠えているんですよね。ついつい静かにさせようと大きな声で叱ってしまいますが、逆効果なんでしょうね、きっと……。頭ごなしに叱るのではなく、なだめる、落ち着かせる、を心がけようと思います。

 Courseraの先生も、「ふだん、愛犬をどのくらい褒めてますか? しつけには、叱るよりも褒めるほうが大事です」とおっしゃってました。

 

 PatriciaさんがWillとどう向き合い、お互いに抱えている問題を解決していくのか。それを知るために、読み進めていきたいと思います。


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