本棚

 

 第三回日本翻訳大賞の、推薦締め切りが迫っています(なんと今日の23:59まで!)。

 ウェブサイトに掲載されている推薦文を見て、わくわくしたり、積読本を増やしたり、とのんびり楽しんでいるうちに、締め切り日になっていました・・・

 自分の読書記録を見たら、去年はこの賞の推薦対象となる翻訳書(2015年12月1日〜2016年12月末)は結構読んでいると思っていたのですが、わりと刊行年が古めの本に手をのばしていたりで、意外に少ない。

 そのなかでも、全力で推薦したいと思える本が、こちらでした。

 

奇妙という名の五人兄妹

アンドリュー・カウフマン:著 田内志文:訳

 お正月に読んだのに、「今年一番読んでよかったと思える本」になりそうな勢いです。

 推薦文を考えていたら、思わぬ時間をとってしまい……先に仕事しよう。二冊まで推薦できるので、もう一冊はどうしようか思案中。夜までに決まるのか?

 

 いつも書影をお借りしている「版元ドットコム」さんに、『奇妙という名の五人兄妹』の書影がないので、同じ作者・訳者のこちらを……

 

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

 

(こちらはレモンイエローで、『奇妙と〜』のほうは、エメラルドグリーン一色。こういう潔い表紙も好きです。)

タイピング

 

 昨日が、本年の仕事始めでした(一日二日も、訳文を見たりはしていましたが……)。

 昨年末に思いがけずご依頼いただいた出版翻訳のお仕事、いまのところ、計画通りに訳せています。元旦、二日と休んだブランクがちょっときいているので・・・明日あたりからペースに乗りたいところです。

 出版翻訳の勉強を始めて3年、ようやく自分の翻訳スピードがわかってきたような? といっても、ジャンルにもよりますし、調べ物が増えるとそのぶんスピードも落ちます。

 今回のお仕事は、翻訳ものの「鬼門」ともいえる「なじみのない名前・地名」が頻出するので、そういうのが続くページは必然的に訳すスピードも落ちる。

「翻訳は半分が調べ物だ」というのもよく聞く話ですが……半分以上、調べ物になってる気がします。

 

 そんななか、お正月休みのお楽しみだった、奇妙という名の五人兄妹を読了。予想を裏切らない面白さで、一気読みしてしまいました!

 このお話では、五人の兄妹(両親の愛にあまり恵まれておらず、兄妹の仲もよいとはいえない)が祖母(これまた強烈なキャラクター)から、それぞれ「力」を授かるのですが、恩寵となるはずのその「力」によって、反対に苦しい人生を送るはめになり……

でも、この「力」から解放される方法がひとつだけある。それを知った五人が結集し、珍道中を繰り広げる、といったストーリーです。

 珍道中、という表現がふさわしいかどうかわかりませんが、わたしはかなり笑えました。作者のユーモアのセンス(そして、訳者・田内志文さんの絶妙な表現)と合うんでしょうか?

 

 テーマとしては、「苦しみからの解放」といった重くて暗いものなのですが、それを明るく表現していて、楽しく読める。でも、ちゃんと暗さも感じられる。作者の筆力でしょうし、すごいことだなと思います。

 あと、とにかく全編「普通じゃない」感じなのですが、それなのにすんなり読めてしまったのは、その奥に「ものすごく普遍的なこと」が書かれているからなんだと思います。親子、兄妹、夫婦と、いろんな家族の形が描かれているのですが、それがうまくいくのも、こじれてしまうのも、原因は同じ。平たく言えば、「愛」なんでしょう。

 愛があるか、ないか。愛がある(ありすぎる)せいで、うまくいかない場合もある。

 なんだか、物事ってとても逆説的だなと、この作品を読んで感じました。五人が授かった力にしても、祝福であるべきなのに、実際「呪い」になってしまっているし。

 

 この作品のいいところは、力から解放されたらそれで終わりじゃなく、そのあとも、ひと悶着あるところです。最後がなんともいえない。これでいいの? でも、これでいいんだ、と思わせてくれました。

 年の初めに、こんなに面白い作品が読めて、大満足です!

初日の出

 

 あけましておめでとうございます。

 2017年は、おだやかな年明けになりました。

 初詣のおみくじは「大吉」でした!

 

 2017年の「読み初め」は、通い猫アルフィーのはつ恋でした。

 前作、『通い猫アルフィーの奇跡』も素敵なお話でしたが、主人公猫アルフィーの「幸せ猫度」がさらにパワーアップしていて、ほっこり幸せな気持ちになりました。今年の読書生活のスタートに、ぴったりの一冊でした。

 

 今日までを「正月休み」としているので、午後はまた新しい本に手をつける予定です。

 それがこちらの作品。

 

奇妙という名の五人兄妹

アンドリュー・カウフマン:著 田内志文:訳

出版社の作品紹介ページ→東京創元社

 

 以前、同じ作者の作品(『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』)を読んだのですが、そちらも相当「奇妙」なお話でした。

 読み始めたときは、???という感じだったのですが、いつの間にか話に引きこまれていました。こういうシュールな作品はたぶん、いろいろな読み方があって、深読みしようと思えばいくらでもできるし、それはそれで面白いのですが、あまり難しく考えずに、ただ「不思議なお話だなぁ」と思って読むと、それだけで感じるものがある、そんな気がします。

『奇妙という名の五人兄妹』も、どんな不思議と出会えるのか、読むのが楽しみです。

 

 今年の目標というほどでもないですが、今年もたくさん本を読んで、月に一冊はリーディング作業(原書を読んでレジュメを書く)をしたいと思います。

 翻訳書ばかりではなく、和書をもっと読んで、「自然な日本語」の引き出しを増やしていかなければ……

 あとは、気になったこと、興味を持ったことにはチャレンジする。

 人生先は長いといっても、その「興味」はそのときのものというか、「興味を持ったとき」が、やるにはいちばんいいときなんだろうし、やってみて、合わないと思えばやめればいいだけなので。

 去年は、「あれこれ手をつけるのはよくない。どれも中途半端になる」と自分でもよく言っていたのですが、手をつけたいものには、つけてしまえばいいのかな、という気がしてきました。

 まあ、予算と時間(たいがい、地元ではできないことが多いので、移動の費用と時間も計算に入れねば・・・)の許す範囲で、でもタイミングを逃さずにやっていくつもりです。

 

 参加できなくて残念だった、「はじめての海外文学スペシャル」の動画が、ついに公開されました!

 こういう形でイベントの(ほぼ)すべてを動画で公開していただけるのは、ひじょうにありがたいことです(感涙)わたしのような地方在住の者にとっては、東京でのイベントはもろもろ(おもに交通費など)敷居が高いのです……

 

 ということで、動画ですが、仕事の前に観はじめたら・・・だめだ、仕事にならない。翻訳家の先生方が、自分の推薦する海外文学作品について語る(しかも時間制限ありで!)、なんて機会、まずないですから。

 あの先生やこの先生が、制限時間のプレッシャーに押されつつも、熱く語ってくださっています。

 全部で1時間半近くあるので、これは年明けにでも、ゆっくり観ないともったいない!

 

「はじめての海外文学vol.2」で紹介されていた本を、昨日から読んでいます。

 

通い猫アルフィーの奇跡

レイチェル・ウェルズ:著 中西和美:訳

出版社の作品紹介ページ→ハーパーコリンズ

 

 こちら、サラ・パレツキーの「ウォーショースキー・シリーズ」などの翻訳で知られる、山本やよい先生推薦の作品です。

 わたしは犬派ですが、この作品の主人公(猫)アルフィーには、ほんとうに癒されます。アルフィー、うちにも通ってきてほしい。

この作品のいちばん素敵なところは、「読みながら、幸せな気分になれる」ことだと思います。まだ途中までしか読んでいませんが、すでに「幸せな気分」になっていますから。

 続編の通い猫アルフィーのはつ恋も、続けて読むつもりです。

 おかげで、いい年越しになりそう・・・

 

猫と犬

 

 これまで家族に迎えた犬は、のべ10頭を超えました。猫のほうは、1匹だけ。もう、完全犬派ですね。

 このあいだ、久しぶりに猫をさわったのですが、なで方が間違っていたようで(わたしのは、犬をなでるやり方だったようです)、「シャー!」と怒られました……

クリスマスの星

 

 先日、勉強仲間に教えてもらった「クリスマスをテーマとする本」を読みました。

 

ベツレヘムの星

著:アガサ・クリスティ 訳:中村能三

出版社の作品紹介ページ→早川書房

 

 アガサ・クリスティといえばミステリーですが、クリスマスのお話も書いていたんですね。クリスティの作品はほとんど読んでいましたが、これは未読でした。

 物語と詩がまとめられた短編集です。ストーリーテラーとして名高いクリスティだけあって、短編でもしっかり読ませてくれます。

 本のタイトルにもなっている「ベツレヘムの星」が一番好きです。物語の最後に「ひねり」が効いていて、そこもさすがクリスティ。読者の心を、ひそやかに、でも確実についてきます。

 でも決してひねくれすぎているわけではなく、やさしさやユーモアも感じられて、読後感はむしろすっきりさわやかでした(詩については、キリスト教の知識がないと、深いところまで理解するのは難しい・・・という印象)。

 

 もう一冊、勉強仲間おすすめのクリスマス本(そちらはミステリー)を図書館で借りているので、クリスマスは終わってしまいましたが、お仕事の合間に、寝る前のお楽しみに、読んでいこうと思います。


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