サービス犬

 

「聴導犬」(Hearing Dog)が出てくるミステリー(原書)を読みました。

 

 

Not A Sound by Heather Gudenkauf

 

 主人公のアメリアは、優秀な看護師として活躍していましたが、事故で(事件の可能性あり)聴覚を失い、生活が一変。アルコールに溺れるようになり、家族(夫と夫の連れ子である娘)との関係もうまくいかなくなります。家を追い出されたアメリアは、小さなコテージで一人暮らしをしているのですが、そんな彼女の大きな支えとなっているのが、聴導犬のステッチ(Stitch)(爛好謄奪銑瓩浪我の傷跡からついた名前)。

 アルコール依存からなんとか立ち直ったアメリアが、社会復帰しようとしたその日、ある殺人事件の第一発見者となるところから話はスタートします。事件の裏にある秘密を知ってしまったアメリアは、特定の人物に疑いを抱き、独自に調査を開始します。それに気づいた犯人から、逆に追いつめられていきます。そしてついに犯人と直接対峙し、アメリアに身の危険が迫る……! 

 という、いわゆるスリラー作品。アメリアが元看護師、夫も医師、再就職した職場も病院、事件の謎も医療にからんでいて、「医療」や「医師の倫理」がテーマの話でもあります。

 

 聴導犬のステッチ、きりっとした「お仕事犬」を想像していたんですが、読んでみると、ちょっと違いました。アメリアの命令を聞かなかったり、落ち着きがなかったりと、半人(犬)前?なところも。

 でも、アメリアとの絆は深く、最後は大活躍します!

 

 すでに何作かサスペンス系の作品を発表している作家だけあって、ストーリーの展開がスムーズで、とても読みやすい作品でした。ややパンチというか、強烈なインパクトに欠ける印象もありますが、主人公が牴擦里覆だこΝ瓩暴擦鵑任い襪海箸癲∩澗療な雰囲気に影響しているのかもしれません(余談ですが、アメリアは、会話相手の唇の動きから話している内容を読み取るという、読唇術を身につけているという設定)。

 愛嬌のあるステッチのキャラクターが、いいアクセントになっていると思いました。やっぱり犬が出てくると、一気に引き込まれてしまいます。

 残念ながら、この作家の作品の翻訳書は刊行されていません。前作がどんな作品かは読んでいないのでわからないのですが、本作はGoodreadsやAmazon.comではそれなりにレビューがつき、評価も割と高めです。まあ、話題作というわけでもないので、出版社の編集者の目には留まりづらい作品かもしれません。

 

 ステッチのような聴導犬、そして盲導犬(Guide Dog)といった「補助犬(Service Dogs)」が出てくるミステリーは、初めて読みました。

 "Not A Sound"の舞台はアメリカのアイオワ州。アメリカでは、たくさんの補助犬が活躍しています。

 American Kennel Clubサイトで補助犬のことを調べてみると、興味深い記事を見つけました。

 

”Service Dogs Have Emotional and Psychological Benefits, Researchers Say”

 

補助犬は、身体機能面(視覚や聴覚)で使用者を助けるだけでなく、使用者の精神面にも良い効果を与える」ことが、アメリカのパデュー大学が行った調査により明らかになったという記事です。

 調査は4年間かけて実施されたもので、1500人以上の補助犬使用者・順番待ちの希望者に対するインタビューも含まれています。

 調査の結果、補助犬使用者は、順番待ちの希望者に比べて、より精神的に安定しており、社会適応性が高く、職場や学校でもうまくやっているということが判明したのだとか(使用者本人だけでなく、その家族にも良い影響が見られるそうです)。

 こうした補助犬の精神面での効果は大きく、アメリカでは実際に、退役軍人の方など、トラウマ症状に苦しむ人のための補助犬(精神科補助犬・Psychiatric Service Dog)も活動しています。

 

 補助犬についてまとめたページもありました。

 

”Service, Therapy, and Working Dogs”

 

 補助犬だけではなく、「使役犬(Working Dog)」の情報も。「トコジラミ探知犬(Bed bug-detector dog)」なんていう使役犬もいるとは知りませんでした!

 子供のころから、大きな犬を飼うのが夢でした。10代の頃に、ゴールデン・レトリバーを家族に迎えて、夢は叶ったのですが(うちの子はちょっと小ぶりでしたが)、とことん大きな犬を飼いたいという気持ちは今もあります。

 大型犬のなかでも、わたしの憧れは、アイリッシュ・ウルフハウンド(全犬種の中で、体高が最大の犬)、そしてなんといっても、ニューファンドランドです。あの"droopy"(垂れ下がった)目と、堂々たる体躯に、なんとも言えないやさしい雰囲気……最高です。

 このニューファンドランドが登場するノンフィクションを読みました。飼い主に捨てられたニューファンドランドを、シェルターから引き取った男性が綴った実話です。

 

 

Free Days with George by Colin Campell

 

 表紙のニューファンドランド・ランドシーア(白黒のニューファンドランド)が、主人公(?)のジョージ君。

 作者のコリンさんは、愛する奥さんに突然離婚を切り出され、人生のどん底を味わいます。広い家にひとり暮らしだったコリンさんを心配した友人が、犬を飼うことをすすめます。シェルターから引き取ってはというアドバイスにしたがって、見つけたのがこのジョージ君でした。

 ジョージ君も、飼い主に飼育放棄され(番犬にと飼ったけれど、番犬にならなかった、という理由で……ニューファンドランドは、性格的に、そもそも番犬向きではありません)、心に傷を負っていました。こうして、ひとりと一匹は一緒に暮らすことになりました。ともに立ち直るために。

 

 コリンさんはカナダ在住でしたが、仕事でアメリカはカリフォルニア州に栄転することになります。引っ越したのは、目の前が海岸!というロケーション。そこでジョージ君の血が騒ぎます。

 ニューファンドランドは、カナダのニューファンドランド島原産の犬種で、水の大好きな犬(足にはなんと、水かきがある!)。泳ぎが得意で、海難救助犬としても活躍しています。海に本能をかき立てられたジョージ君は、コリンさんとサーフィンを始めます(教えてもいないのに、ボードの上に乗ってきたとか)。たちまち、ジョージ君はビーチで大人気の犬になりました。

 

 ジョージ君のサーフィンの話がメインではなく(後半、カリフォルニアに移ってからの話なので)、ジョージ君がいかに傷ついた犬だったか、ふたりがどうやって信頼を築いていったかということが、大げさではない、誠実な言葉で綴られています。

 コリンさんは人生のなかで祖父(第二次世界大戦で、仲間を助けた功績により表彰されている、立派な方のようです)に大きな影響を受けたと語っています。タイトルの"Free Day"というのは、そのおじいちゃんの言葉で、「一日中、大好きな人と一緒に、何でも好きなことをする日」で、その日は「決して年を取らない」と。素敵な言葉だなと思いました。

 

 コリンさんの気取らない語り口がとても読みやすく、ノンフィクションですが小説のように楽しく読めました。犬好き、とくに大きな犬が好きという人や、保護犬に興味がある人に、ぜひ読んでいただきたい一冊です(翻訳書は出ていませんが)。

 

ニューファンドランド

(ニューファンドランド。かわいいです。)

 海外の犬情報を集めるのに、信頼できるサイトとしてよくチェックしているのが、American Kennel Clubのサイト。とてもおしゃれで、情報の見やすいサイトです。興味深い記事がたくさん掲載されていて、会報誌のデジタル版も閲覧できるので、見始めるとついつい長居してしまいます。

 そのAKCのサイトで、おもしろいクイズを見つけました。「わんことおうちのマッチングをしよう」というもの。家の写真が出てくるので、その家で暮らすのにぴったりなわんこを4択で選んでいきます。日本ではあまりなじみのない犬種も登場するので、答え合わせが楽しいです!

 クイズはこちらから→Quiz: Can You Match the Dog to His Home?

 トライしたら、8割がた正解でした。

 

 イギリスのとある宮殿に住む犬と言えば……?

 

コーギー

セキレイ

(Wagtail:セキレイ)

 

 以前から気になっていた、犖ぁ猫もの瓩離魁璽検次Ε潺好謄蝓次Ε轡蝓璽困梁莪戝討鯑匹澆泙靴拭

 

 

Murder, She Barked by Krista Davis

 

<ストーリー概要>

 ワシントンD.C.で暮らす主人公ホリーは、愛するオーマ(オーマ(Oma)はドイツ語で爐ばあちゃん瓩琉嫐。オーマはドイツ出身で、アメリカに移住しているという設定)から急な電話で呼び出され、故郷のヴァージニア州ワグテイルまで車を飛ばす。その途中で、犬を拾ったり(メスのジャックラッセル・テリア。これが表紙の犬で、名前は爛肇螢シー瓠、炎上する車を目撃したりと、いろいろありつつも、ワグテイルに到着。

 ワグテイルは爛撻奪函Ε侫譽鵐疋蝓辞瓩癖殕榁呂僕擁僂錣蠅掘▲ーマの経営するホテルも、いまやペット・オーナーに大人気のホテルとなっていた。肝心のオーマは、元気そうに見えたが、様子がおかしい。オーマは誰かに命を狙われているようなのだ。オーマを守るため、ホリーはワグテイルに留まることにした。

 一方、車の炎上事件は、ホリーの恋人ベンの昔の彼女、キムが関係していることがわかる。そして、キムと、なぜかベンもワグテイルに現れる。そこに、次々と新たな事件が発生。ワグテイルの市長が殺され、トリクシーが行方不明になり、幼なじみのホームズが、市長殺しの容疑をかけられてしまうのだ。警察の捜査にしびれを切らしたホリーは、事件を独自に調べはじめるが、怪しい人物や謎は増えていくばかり。この平和そのものに見えたワグテイルで、いったい何が起こっているのか? 

 

<感想>

 登場人物が多く、事件が立て続けに起こるので、ちょっと話が掴みにくいところもありましたが、プロットはしっかりしていて、いろいろと張られた伏線も最後に回収され、「ドタバタしているうちに話が終わってしまった」ということもなかったです。

「今すぐ来て」と、一大事のように遠方に住む孫を呼びつけた割に、その訳をなかなか言わないオーマにやきもきしましたが、理由は……ありました(ちょっと苦しい?という気もしましたが……)。ホリーと、恋人ベンと、昔の彼女のキムとの三角関係があったり、再会した幼なじみのホームズのことが気になったりと、コージーお約束のロマンス要素もちゃんとあります。

 

 コージーといえば、牾┐呂きのような田舎の村瓩舞台になることも多いですが、本作の舞台のワグテイルも、自然あふれる美しい村です(ワグテイル(Wagtail)とは、爛札レイ瓩箸いΠ嫐)。爛撻奪鉢瓩把おこしをしているという設定で、ホテルもレストランもショップも、町中どこでもペットOKの、まさにペット・パラダイス。オーマのホテルの部屋も、ペットのおやつやおもちゃが用意され、至れり尽くせりです。レディースフロアならぬ、猫専用エリアみたいなのもあるんですよ! 宿泊ペットには、GPSつきの首輪をつけることになっていて、万一迷子になっても、探せるようになっているとか。そしてこのGPS首輪瓠∋件解決に一役買うことになります。なかなかに細かい!

 

 トリクシーと、トゥインクルトウ(表紙の三毛猫)が、いちおうメインの動物キャラクターで、そのほかにも、ジンジャースナップ(オーマの飼っている、ゴールデンレトリバー)などなど、犬や猫がたくさん登場します。本作はPaws and Claws Mystery瓠米球と爪、つまり犬と猫?)というシリーズの第1作で、5作目まで発表されているようなので、トリクシーたちも、だんだんと活躍の場が増えていくのかも? 

 書評サイトGoodreadsでは、5作ともそれなりの数のレビューがついていて、評価もすべて星4以上なので、完成度やおもしろさも安定しているシリーズなんじゃないかと思います。とりあえず、第2作のThe Ghost and Mrs. Mewer瓩鯑匹爐弔發蠅任后

 

 この作家さん、別のコージー・シリーズも発表していて、そちらは翻訳版が出版されています。主人公が牴隼アドバイザー瓩箸いΔ舛腓辰畔僂錣辰神瀋蠅如愛読していました。続きが出ないか楽しみにしているのですが、刊行される気配がない……

 

 

感謝祭は邪魔だらけ

クリスタ・デイヴィス:著、島村浩子:訳

 

 

 そうそう、犬本を探すのに、Goodreadsの"Dog"のカテゴリーをチェックしていたのですが、Amazon.comに"Cozy Animal Mysteries"というカテゴリーを発見。見ていると、「コージーじゃなさそう」「動物? 出てくるの?」というものもありますが、このカテゴリーを見ていけば、犬ものコージーも探しやすそうです。

シェパード

 

 世の中には犬好きが多く、犬が主人公の本・犬が登場する本には一定の需要がある気がします。ということで、海外のすばらしい犖に椨瓠覆修鵑淵献礇鵐襪覆い任垢韻鼻砲箸僚于颪い魍擇靴澆法読書に励んでいます。

 前に「名犬チェットシリーズ」のことを書きましたが、「犬ものミステリーといえば、こっちも忘れちゃいけない!」という作品があります。それがこちら。

 

 容疑者

 

容疑者』 

ロバート・クレイス:著 高橋恭美子:訳

 

 刑事スコット&シェパート犬・マギーのコンビのシリーズ第一作。警察もの(K9、つまり警察犬をパートナーとする部隊)で、語り口もストーリーも硬派ですが、犬の描写になると、なんだかぐっと柔らかくなるというか……作者の犬への愛情を感じてしまいます。

 マギーの視点で書かれた章は、犬派の人間には涙と笑いなくして読めません! マギーは軍用犬で、戦争でパートナーを失い、心身ともに大きな傷を負います。そのマギーが、同じように傷ついたスコットと出会い、一緒に再生していく様子が描かれていて、「マギー、がんばって!」(スコットは?)と、読みながら心の中で応援していました。マギーにとって、スコットは家族であり、ボスであり、生きる理由であり……とにかく、すべてなんです。そんなマギーのひたむきさが、シリアスでハードボイルドな内容に人間らしい(犬だけど)ぬくもりを添えてくれています。

 この作品、犬の行動、とくに獏務亅瓩良措未すばらしいです。この作品を読めば、犬がどんなふうに爐砲い瓩鰉未い任い襪里疑似体験できます。うちの子たちと散歩に出たときに、飽きもせずにおいをかぎまわる姿をしげしげ眺めてしまいました(人間が狃い瓩抜兇犬襪砲いが、この子たちには爐いてい瓩世辰燭蠅垢襪鵑任垢茲……)。うちには超シニア犬もいるのですが、においだけは敏感、というか健在です。床に落っこちたフード一粒、見逃し(利き逃し?)ませんし……。

 

 チェット・シリーズのチェットは、「ぼく」と一人称ですが、こちらのマギーは三人称で語られています。好みがわかれるところですが(動物が一人称だと、どうしてもファンタジーっぽくなってしまうので)、どちらの作品も、犬については猖楜いつ真面目瓩防舛い討い襪里如犬好きさんも納得・満足できると思います。個人的には、チェットの爐舛腓辰箸未韻討覺兇賢瓩好きなんですけどね。

馬

 

 ここのところ、犬とか猫とかが出てくる作品ばかり読んでいます。犬、猫、ときて、一昨日読み終わったのが、馬(&犬)が登場するミステリー。

 

 犬ミステリーはこちら。

 

その犬の歩むところ

 

その犬の歩むところ』 

ボストン・テラン:著、田口俊樹:訳

 

 「翻訳ミステリー大賞授賞式」の出版社対抗ビブリオバトルでこの作品を知ってから、ずっと気になっていましたが、やっと読めました。読んでいるあいだ、頭のなかに犁し瓩箸猝し瓩箸いΩ斥佞浮かんでいました。

 作品全体を通して、爛リスト教的な世界観瓩感じられました。テロや戦争のエピソードも出てくるので、「アメリカという国・アメリカの現実を象徴的に捉え、物語として表現している」という印象を受けました。といっても、難しく構えて読む必要はなく、どう読んでも、読んだ人間の心に何かが響く話だと思います。

 最後に神話が出てくるのですが、「犬は人間のそばにいることを選んだ」というくだりに(犬好きなら当然)ぐっときた!

 

 猫ミステリーはこれ。

 

書店猫ハムレットの休日

 

書店猫ハムレットの休日

アリ・ブランドン:著、越智睦:訳

 

 コージー・ミステリーはシリーズものが多いですが、読み続けていたシリーズでも、途中で読まなくなってしまうことも……。こちらの「書店猫シリーズ」は、この作品で三作目ですが、いまのところ第一作目から続けて読んでいます。

 主人公が経営しているのが書店というところもツボですし、120パーセント犬派のわたしも、クールな黒猫ハムレット(ハミー)にはやられっぱなしです。今回は狒簡謄ャット・ショー瓩縫魯爛譽奪箸ゲストとして参加する、というストーリーでした(以前、爛疋奪亜Ε轡隋辞瓩舞台のミステリーを読んだことがあるような……何だったかな……)。

 コージーお約束のドタバタ感がほどよいところがお気に入りのシリーズです。

 

 そして馬が出てくるミステリー。

 

とろとろチーズ工房の目撃者

 

とろとろチーズ工房の目撃者

ローラ・チャイルズ:著、東野さやか:訳

 

 こちらも、第1作目からシリーズ通しで読んでいるコージー・ミステリー(前作はこちらで紹介しています)。

 いつもながら、主人公(探偵役)スザンヌが経営するカフェ爛ックルベリー・クラブ瓩和臠棒后ハロウィンのイベントがあったり、猝啝綰笋蠅離肇薀奪瓩登場したり(読んで字の通り、トラックを店舗に移動販売をしている毛糸屋さん)と、ミステリー以外のカルチャー要素が満載です。そこがこのシリーズのいちばんの魅力かなと思っています。

 スザンヌは愛馬家(&愛犬家)なのですが、本作では馬がらみの事件が発生。あ、表紙にもいますが、牛も出てきます! スザンヌは前作で医師のサムと婚約し、結婚を控えているのに、殺人が起こったらその準備にも身が入らない……というのがらしくもあるのですが、ちょっと婚約者がかわいそう? と、ロマンスも入れつつ、ちょっとしたアクションもあって、でも全体的に落ち着いた雰囲気で、本作も安定感抜群の狢膺佑離魁璽検次Ε潺好謄蝓辞瓩任靴拭

 

 コージー・ミステリーも、いくつかのジャンルに分類できると思うのですが、わたしのなかでは、

 

・動物もの(犬や猫が登場する、あるいは主人公)

・職業もの(主人公が本屋、カフェ、スイーツのお店、チーズの専門店、スープの専門店(?)、アンティークショップ、ゲストハウス、ペットグッズのお店などを経営していたり、シェフやパティシェ、作家、芸術家だったりする)

・趣味、カルチャーもの(編み物やパッチワーク、お菓子作りなど、主人公の趣味がストーリーにからんでくる)

・歴史もの(貴族やメイドが登場するような、時代設定が古いもの)

 

といったジャンルが思い浮かびます。ミス・マープルのような、いわゆる猊當未里ばあちゃん瓩箸狎豢伴臧忰瓩主人公のコージーもありますが、最近の作品では、主人公(女性の場合がほとんど)が何らかの職業を持っている作品が大半を占めている気がします。 自分のやりたいことを職業にして奮闘している主人公に励まされることも多く、それがコージーを読む楽しみのひとつです。

 翻訳されてほしいシリーズや、続きが読みたいのに翻訳書が出なくなったシリーズもあるので、いちコージーファンとして、細々とでも、いろんなシリーズを読み続けることで、このジャンルを応援していきます!

オオカミ

 

 ひとつまえの記事で紹介した、こちらの作品。いちおう読み終わったので、感想など……。

 

 

Say Goodbye For Now by Catherine Ryan Hyde

 

<ストーリー概要>

 1959年の夏。女医ルーシーは、テキサス州の小さな町のはずれで、ひっそりと暮らしていた。辛い人生を歩んできた彼女は、傷ついた動物を保護し、世話をすることを生きがいにしていた。そこへ、ひとりの少年がやってくる。ピートと名乗る少年は、傷ついた一匹の犬―ハーフ・ウルフ―を連れていた。

 ピートは、家庭に恵まれない少年だった。プリンス(ハーフ・ウルフ)を介して、ピートとルーシーは心を通わせていく。ピートはまた、黒人の少年ジャスティンと知り合い、友情を育むが、時代がそれを許さなかった。ジャスティンが何者かに襲われ、ひどいけがを負ってしまう。一方、ジャスティンを治療したルーシーは、ジャスティンの父親カルヴィンと出会う。知的で思いやりのあるカルヴィンにひかれていくルーシー。妻を亡くしていたカルヴィンも、ルーシーの孤独とやさしさを理解し、ふたりは静かに愛を深めていくのだった。だがふたりの関係は、ピートとジャスティンの関係以上に、深刻な事態を引き起こしていく。

 ピートとルーシーに訪れる、プリンスとの、そしてジャスティン、カルヴィンとの別れ。だがそれは、ふたりにとって、長きにわたる爐靴个靴諒未譟goodbye for now)瓩世辰……。

 

<感想>

 半分くらいまではじっくりと、残りは走り気味に読んだのですが、残念ながら思ったより犬(プリンス)の存在感が薄かった……。メインの登場人(犬?)物ではあるのですが、プリンスを中心に話が進むことはなかったです。もちろん、ピートがプリンスの命を助け、プリンスがピートを守り、という、ピートとプリンスの関係には心温まるものがありました。プリンスはハーフウルフといってもほぼ野生なので、飼いならすことはできず、傷が癒えたら野生に帰っていきます。でも、それでピートとプリンスの関係が終わったわけではなく……という展開には、ぐっときました。

 

 王道のFeel-good storyで、読後感の良い作品だと感じました。数十冊のベストセラー(しかも、どの作品もレビューでひじょうに高い評価を獲得しています)を世に送り出している作家さんだけあります。

 ルーシーとピートが語り手の章が、交互に続く形で構成されています。どちらも心に傷を抱えるピートとルーシーが出会い、支え、癒し合い、本物の家族になっていく様子が、さまざまな出来事を通してさりげなく、かつ感動的に描かれています。ふたりが出会うきっかけがプリンスなので、やっぱりプリンスが物語の要、と言えるのかもしれません。

 そして、ピートはジャスティンと、ルーシーはカルヴィンと、それぞれかけがえのない関係を築き、最後は四人で幸せに……と話は進んでいくのですが、エンディングがちょっとあっけない気もしました。(最後はルーシーの語る章で締めくくられるので)わたしがピートのほうに感情移入していたことも、あっけないという印象に影響していると思います。

 作者がいちばん描きたかったのは、ルーシーとカルヴィンの犧絞未鮠茲蟇曚┐唇Ν瓩覆里もしれない、そう感じました。

 

 この作家さん、動物が登場する作品を多数発表しています。これもそのひとつ。

 

 

 犬がテーマの原書のなかから、日本の読者の心に響く作品を探す。このテーマで、しばらく読書をつづけてみようと思います。

犬の目

 

 楽しみにしていた作品が刊行されました!

 

その犬の歩むところ

 

その犬の歩むところ

ボストン・テラン:著 田口俊樹:訳

 

 翻訳ミステリー大賞シンジケート授賞式&コンベンションの、出版社対抗「イチオシ本バトル」で見事1位を獲得した作品です。(サイトでも紹介されています!)犬が主人公で、面白くて、しかもいい話で……ときたら、読まない理由はありません! 本屋に走らねば!

 

 と、わんこが主人公のミステリーが読みたくなって、文庫本になっていたこちらを読み始めました。

 

誘拐された犬

 

誘拐された犬

スペンサー・クイン:著 古草秀子:訳

 

 「犬もの」のミステリーというと、最近はこれを思い出してしまいます。名犬(迷犬?)チェットと飼い主の探偵バーニーのシリーズで、本国では八作ほど発表されているようです。本書は、以前別のタイトルで刊行されていたのですが、いつのまにか文庫本になってました! ストーリーはチェットの一人称で進むのですが、犬が言葉をしゃべれたら、ぜったいこんな風にしゃべるだろうな、という絶妙な語り口。犬好きなら「あるある」と声を出してしまうような、チェットのしぐさにはやられっぱなし! まさに「犬好きのためのミステリー」です。ジャンルとしては、コージーよりの、ほのぼの系でしょうか。痛い・暗い描写はほとんどないし、面白くて読みやすいので、犬好きさんへのプレゼントにもいいかもしれません。

 

 ここのところ、まったく読めずにいた原書も、これではいかんと思い、手がつけやすそうなものから読んでいこうかと思っています。読みたい本は山盛りあるのですが、ここは犬がらみの本でいってみようかな……。気になっているのは、この作家さん。

 

 

Say Goodbye For Now  by Catherine Ryan Hyde

 

 映画「ペイフォワード」の原作を書いた作家さんです。この作品以外にも、犬ものの作品を発表している模様。

 

 こっちも気になってます。

 

 

Hello Love  by Karen McQuestion

 

 ネットで犬ものの作品をリサーチしていると、表紙にやられてしまいますね……。どれも気になってしかたないです。とりあえず、手あたり次第にサンプルをKindleにダウンロードしたので、フィーリングがあったものを読んでみようかな。

犬の写真

 

 ここのところ、細切れ読書が続いていて、なかなか長編一冊が読み切れません……。そんな仕事の合間に読むのにぴったりなのが狄浚姚瓩任后

 いま手元に置いてあるのが、こちらの図鑑。

 

 

世界の美しい犬101

写真:レイチェル・ヘイル・マッケナ

出版社の作品紹介ページ→パイ・インターナショナル

 

 マイナーな犬種の写真も多く(キャブードル、スプードル、ゴールデンドゥードルといった、混血種も取りあげられているし)、写真のポーズもちょっと変わっていて、個性的な写真集です。どの写真も絶妙なシャッターチャンスをとらえているので、眺めるだけでほっこり。

 ずいぶん前、ゴールデンレトリバーを飼っていたのですが、あの優し気な表情と立派な毛並みは、ほかの犬種にはない魅力だと、いまでも思います。犬、といえばゴールデンレトリバーを思い浮かべてしまうので。もちろん、雑種だろうが純血種だろうが、犬はみんなかわいい!

 こうした写真集や図鑑など、犬に関係した書籍の翻訳をすることは、わたしにとって大きな目標です。

ダックスフント

(以前、この写真の子と同じロングヘアーのダックスフントを2頭飼っていました。レッドと、ブルーダップルという、とても珍しい毛色の子でした。)

 

『おやすみ、リリー』のモニターに当選し、刊行に先駆けて読者になる機会をいただきました。ハーパーコリンズ・ジャパンさんに感謝いたします!

 

おやすみ、リリー

 

おやすみ、リリー』 

スティーヴン・ローリー:著 越前敏弥:訳

 

 ハーパーコリンズ・ジャパンより2017年4月刊行(画像はハーパーコリンズ・ジャパンの特設サイトからお借りしました。)

 本作を知ったのは、原書をGoodreadsで見て、読んでみたいなと思ったのがきっかけでした。

 

 

Lily and the Octopus by Steven Rowley

 

 Goodreadsの"Choice Awards 2016"のフィクション部門にノミネートされていて、表紙のダックスフントのイラストに(犬好きなら当然?)思わず目がいきました。そのときは、この作品が日本語で読めるなんて思いもしませんでした!「愛犬の死」というテーマと、Goodreadsで星5つつけていた方のレビューの「泣くってわかってた!」というコメントを見て、「読んだら泣く」予感はしていたのですが……。

 

 結局、まんまと泣いてしまいました。泣いたなんてものじゃない。号泣でした。本を読んで泣くことは結構(年々それが増えている気がします……)あるのですが、ここまで泣くことはめったにないです。わたしが愛犬家で、足元にはすやすやと寝息をたてているわんこがいて、いままでに何度も、身近な人や愛犬との悲しい別れを経験している、とくれば泣いて当然かもしれません。

 でも、これほどまでに泣いた理由はそれだけではありません。それは、この作品の、最初の一行から最後の一行にまで、愛がしみこんでいるからだと思います。心が温かく、元気になる愛もあれば、複雑で、素直に表現できない愛、悲しい愛……。さまざまな愛が、さまざまなエピソードのなかにこめられています。その愛に自分の心が反応し、共鳴して、感極まってしまったのでしょうね。

 

 悲しい場面でも涙しましたが、わたしが最初にじわっときたのは、主人公テッドがリリーと最初に出会った、幸せいっぱいの場面(そこはハーパーコリンズ・ジャパンの特設サイトで試し読みができます)でした。リリーがテッドにはじめて犖世辰伸畍斥佞法△△佞譴鵑个りの無垢な愛を感じ、もうそれだけでじーんと、温かいものがこみあげてきました。

 泣くのって、悲しいときだけじゃないんですよね。「出だしでこれだから、覚悟して読まないと、たいへんなことになる」と気合い(?)を入れたのですが、そのあとも心が刺激されっぱなしで、どうにもなりませんでした。

 読み終わったいまは、『おやすみ、リリー』というタイトルだけで、目がうるんでしまうほどです。このタイトルにも、大きな意味があるということを知ってしまったから。ここにも、悲しくも大きな愛がこめられていたんですね……。

 

 もちろん、ただの爐涙頂戴瓮好函璽蝓爾箸いΔ錣韻任發覆、ユーモアや、ファンタジーのテイストもふんだんに盛りこまれています。アメリカ・ロサンゼルスに住んでいる主人公テッドは、セラピーに通っているのですが(なんとなくアメリカのストレスフルな都会人、という雰囲気が漂います。テッドの場合、セラピーに通う理由は、都会のストレスだけではないのですが)、セラピストのジェニーに対するテッドの態度が滑稽なほど辛辣で、そこは毎回笑ってしまいました。

 タコ(リリーの頭にできた腫瘍)が妙に哲学的なのもユーモラス。状況からしてタコに共感はできませんが、とても魅力的なキャラクターでした。そのタコをリリーの頭から追い出すべくテッドが繰りだす作戦は、どれも突拍子がなく、非現実的で、それだけに、わらにもすがりたいテッドの気持ちが伝わってきて、おかしいやら、悲しいやら、せつないやら……。

 最後に『白鯨』よろしく海に出て、タコと死闘を繰り広げるくだりは、もう手に汗握る冒険物語といってもいいくらいです。こうした一風変わった趣向も、他にはない味わいだと思います。

 

 本作を読んで感じたことがもうひとつ。こんなふうに本を読んで(あるいは映画を観て)泣くという行為は、少なくともわたしの人生には必要なんだなと、妙に実感しました(毎回号泣というわけにはいきませんけど)。

 おかしな例えかもしれませんが、本や映画で泣くのは、狄科屬雖瓩澆燭い覆發里なと。寝ている間に寝返りを打つのは、無意識のうちに体のゆがみや疲れをほぐしている、と聞いたことがあります。『おやすみ、リリー』でさんざん泣いたあと、すっと心が軽くなった気がしました。

 泣くことがストレス発散、なんていう話もありますが、爐いの洵瓩鯲すことは、狄瓦離灰雖瓩鬚曚阿垢海箸任發△襪鵑任靴腓Δ諭わたしの好きなガンダルフもこう言っています。

「わしはいわぬ、泣くなとはな。 全ての涙が悪しきものではないからじゃ」

(『指輪物語 王の帰還』 J.R.R.トールキン:著 瀬田貞二・田中明子:訳 評論社)

 

 いろんな感情が呼び覚まされて、読書の醍醐味がたっぷり味わえ、そして心のコリもほぐれる。愛犬家に限らず、読書を愛するすべての方におすすめしたい作品です。


Profile

Archive

Search

Other

Mobile

qrcode

Bookshelf

Murder, She Barked
Free Days With George: Learning Life's Little Lessons from One Very Big Dog
Not a Sound
Killing Trail
The Education of Will: A Mutual Memoir of a Woman and Her Dog
Wishtree
See You in the Cosmos
Stalking Ground
 
Not a Creature Was Purring
Dog Songs
The Lost Words
The Darkest Thread
The Snow Child
I Could Chew on This: And Other Poems by Dogs
You Need More Sleep: Advice from Cats
Death by Chocolate Lab