2016年のアガサ賞のノミネートが発表されました。

(主催団体Malice Domesticのサイト→Agatha Award Nominees

(それにしても、アガサ賞のサイトって、シンプルというか、そっけないというか・・・結構大きな賞なのに、賞関連の記事が見つけ辛い・・・)

 

 愛読している、ルイーズ・ペニーの「ガマシュ警部シリーズ」、今年も「長編賞」にノミネートされました。

 

A Great Reckoning by Louise Penny

 アガサ賞には、過去に4、5回、毎年のようにノミネートされていて、ほぼすべて最優秀に選ばれています。2016年も、受賞なるか? 4月の発表が楽しみです。

 それにしても、このシリーズ、日本で翻訳が止まってしまったのが残念でなりません。日本で受けない理由はよくわかりませんが、ちょっと暗いのかも・・・? イヤミス、っていうのでもないと思うのですが。

 

 アガサ賞の基準は「あからさまな性描写や、過剰な流血シーン、不必要に暴力的な描写」のない「伝統的なミステリ」であることなので、基本「コージー路線」ということになります(たぶん)。

 といっても、「小さな村のカフェが舞台」みたいな設定だけではなくて、もっと社会派で硬派な作品も選ばれています。

 同じく2016年長編賞にノミネートされている、Hank Phillippi Ryan(こちらもノミネート・受賞の常連)の作品は、社会派スリラーといった感じです。

 どの作品だったか、1冊だけ途中まで読んだのですが、どうも合わなかった……。テレビ局のレポーターが主人公のシリーズ?で、作者自身もレポーターだったらしいので、描写はとても臨場感がありました。

 

 わたしは「小さな村のカフェ」系が好きなので、どうしてもそっち寄りになってしまいます。ということで、2016年のほかのノミネート作品は、ジャケ買いできそうな雰囲気・・・

Fogged Inn by Barbara Ross 

Body on the Bayou by Ellen Byron(この表紙の犬が気になって仕方がない! 積読本確定しました・・・)

 

(ガマシュ警部シリーズにも出てくる、「小さな村のカフェ」は、わたしのなかではこういうイメージです。)

村のカフェ

 2017年もはや2月。

 ノンフィクション翻訳のお仕事がひとつ終わり(まだチェック等もろもろありますが)、次はうれしいことに、フィクションの翻訳依頼がありました。

 そんなこんなで、ゆっくり読書する時間がなく、昨年からの積読本の山がほとんど小さくなっていません。

 しかも、息抜きにと、こんな記事を見てしまい、ますます積読本が増える事態に・・・

 

2017年 東京創元社 翻訳ミステリラインナップ◆

 

 気になる本が多すぎる・・・

 

ケイト・モートン『水辺の館』(訳:青木純子)

 ケイト・モートンの作品は、"The Forgotten Garden"(邦題『忘れられた花園』)を読んではまり、"The Secret Keeper"(邦題『秘密』)も読了。

 どちらもとにかく長いのですが、長さがむしろ魅力になるほど、読ませてくれる作品でした(原書で読みましたが、文体も比較的シンプルで読みやすかった。そうじゃないと、あの長さを読むのは心が折れます・・・)。とくに"The Secret Keeper"は、ラストですとんと腑に落ちたというか、収まるところに収まったというか、納得できる読後感が味わえました。

 別々の時間軸が交錯しながら進み、エピソードや登場人物が最後の最後につながることで謎が解ける、つまり「物語の構成」でミステリーを成立させるというスタイルが、この作家の特徴ですね。派手なトリックやアクションはなく、ヒストリカル・ロマンス・ミステリーという感じ?

 刊行されたら、じっくり時間をかけて読みたいと思います。

 

アリ・ブランドン『書店猫ハムレットの休日」(訳:越智睦)

 書店猫ハムレット・シリーズ第3弾! 

 コージー・ミステリーはシリーズで読むことが多いですが、こちらも1作目から通しで読んでいます。コージーのなかでは、比較的落ち着いて読める(舞台が「書店」だから?)シリーズです。あくまで個人的印象ですが。

 それにしても、わたしは120%犬派なのに、ここのところ読むのは「猫もの」が多い気がする・・・(犬ものコージーで思いつくのは、スペンサー・クインのチェット・シリーズくらいですが、探せばほかにもあるのか?)

 

アンドレアス・グルーバー『Racheherbst』(訳:酒寄進一)

 オーストリアの作家、アンドレアス・グルーバーの新作、待ってました!

 グルーバーは東京創元社から3作刊行されていて、すべて読みましたが、やはり最初に出た夏を殺す少女が一番おもしろかった。新作は、その『夏を殺す少女』の続編というので、期待大です。もちろん訳者は、ドイツ・ミステリ翻訳の第一人者で、グルーバー作品をすべて手がけていらっしゃる、酒寄進一先生。

 いつ刊行されるのかわかりませんが、楽しみにしています。

 

 このほかにも、いろいろ気になる新刊がありますが、まずは積読本・・・

 

(かわいいキツネの画像を発見。ホッキョクギツネだそうです。)

ホッキョクギツネ

ティーポット

 

 今年一冊目のコージーはこちら。

 

幽霊はお見通し

 

幽霊はお見通し

著:エミリー・ブライトウェル 訳:田辺千幸

出版社の作品紹介ページ→東京創元社

 

 19世紀後半のイギリスを舞台に、家政婦が事件を解決するシリーズの第3弾。いわゆる「時代物コージー」です。家政婦といっても、この時代の家政婦は女主人に近い存在で、当然教養やマナーが身についている女性でなければつとまらないお仕事。

 このシリーズの主人公、ジェフリーズ夫人も、思慮深く、なおかつ行動力もある、年配の女性です。ご主人様が、有能と評判のロンドン警視庁の警部補なのですが、実は事件を解決しているのはこのジェフリーズ夫人と、屋敷の使用人たちだという設定。

 なんだか「家政婦は見た」的な雰囲気も漂ってきますが、ジェフリーズ夫人は使用人たちを「密偵」に送り出すだけでなく、自分もあちこちと捜査に出ます。

 

 ここのところ、現代のアメリカが舞台のコージーばかり読んでいる気がしますが、コージーの古典、王道はやっぱりミス・マープル、そしてイギリス!

 この「家政婦は名探偵」シリーズ、第1作から読んでいますが、当時の時代背景や慣習、文化なども描かれていて、文芸翻訳の勉強にもなります。

 まだ読み始めたばかりですが、ジェフリーズ夫人がどう事件を解決するのかが楽しみです。

 

スープ

 

 今月読んだコージーはこちら。

 

soupmystery

 

謎解きはスープが冷めるまえに

著:コニー・アーチャー 訳:羽田詩津子

出版社コージー・ブックスの紹介ページ→Cozy Books

 

 コージー・ミステリーの主人公は、カフェやレストランなど、お店を営んでいることが多いのですが、「スープ専門店」はなかなか異色です。

 両親が事故で亡くなり、都会から故郷である小さな村に帰ってきた主人公が、お店を継ぐかどうか悩んでいるところに、殺人事件が発生。よりにもよって、お店のシェフが逮捕されてしまい、ただでさえ経営不振のお店は存続の危機に……こうなったら、自分で事件を調べてシェフの無実を証明するしかない!

 ……という、なんだこれでもかというくらい大変な状況に置かれている、コージーお約束(?)な設定の主人公。

 お医者さんとのロマンスがあるのですが、お気に入りシリーズの『卵料理のカフェ』と似ているなと思いました(あちらの主人公も、絶品料理を提供するカフェを経営しているし)。

 主人公のラッキーが、やや「空回り」な感じもしますが(それは無茶……と思う行動をしたり)、最後にわかる犯人が結構意外で、ミステリーとしても楽しめました。

 次作も邦訳が出版されることが決まっているとか(訳者さんは大人気コージーの『アガサ・レーズン』シリーズの翻訳も担当されていますね)。

 

 作品に出てくる食材に「シャロット(shallot)」という玉ねぎのような香味野菜があるのですが、これっていわゆる「生で食べられるらっきょう」(商品名は「エシャレット」)とは別物なんですね。

 こういう翻訳もののコージーを読んでいると、日本ではなじみのない食材と出会うこともあり、それも楽しみのひとつです。

ティーポット

(おもしろいティーポット)

 

 積読本リストから、コージーミステリーを一冊ピックアップ。

(『ゴールドフィンチ』の第2巻も図書館で借りられたので、そちらも読みつつ・・・)

 

真夜中の女子会で事件発生!

 

真夜中の女子会で事件発生! 死ぬまでにやりたいことリスト

著:エリザベス・ペローナ 訳:子安亜弥 
出版社コージー・ブックスの紹介ページ→Cozy Books

 

 なんともかわいらしいイラストの表紙に、「死ぬまでに・・・」となかなか衝撃的なタイトルがついています。

 いっとき流行った(?)Bucket Listですね。アメリカの5人のおばあちゃんたちが、自分たちの「やりたいことリスト」にチャレンジしようとして、事件に巻きこまれる・・・というストーリー。

 おばあちゃんが主人公のコージーは結構ありますが(一番有名なのは、アガサ・クリスティの「ミス・マープル」ですね!)、5人そろい踏み、というのはあまり見たことがないです。リストのなかに「殺人事件を解決する」という項目が入ってるおばあちゃんなんて、そうそういない?

 登場人物は平均年齢高めのわりに、展開はなかなかスピーディーです。おばあちゃんのアクが強すぎて(無茶ぶりがすごすぎて)、読んでいてたまに「……」となることもありましたが、楽しく読めました。

 カーレースが盛んな町という、コージーにしてはちょっと珍しい設定(おばあちゃんたちも、やたらクルマのことに詳しい)も興味深かったです。

 

 翻訳もののコージーミステリーを読んでいて、このジャンルを訳すのって楽しそうと思ったのですが、実際はどうなんでしょうか。

 コージーって、主人公や登場人物が「えっ?」「おいおい」と言いたくなるような、突拍子もない行動をすることが多いので、訳していてイラっとくることもあるのかも?

 知り合いの翻訳家さんのなかに、コテコテのコージーを訳した方がいらっしゃらないので、その辺知りたいなぁと常々思っています。

book cafe

 

 月に1冊はコージー・ミステリーを読んでいるのですが(1冊以上かも?)、なかでも一番好きなシリーズが、ローラ・チャイルズの「卵料理のカフェ」シリーズです。邦訳が刊行されると、必ず読んでいます。

 そして最近読んだのはこちら。

 

幸せケーキは事件の火種

 

幸せケーキは事件の火種

著:ローラ・チャイルズ 訳:東野さやか

出版社コージー・ブックスの紹介ページ→Cozy Books

 

 このシリーズは、アメリカ中西部の小さな田舎町を舞台に、カフェを経営するミドルエイジの女性3人(スザンナ・トニ・ペトラ)が、なぜかいつも事件に巻きこまれ・・・という、コージー・ミステリー王道の設定です。

 わたしのツボにはまっているのは、主人公たちが経営するカフェ。絶品の卵料理やデザートといった料理の提供はもちろん、お店の一角がブック・ショップになっていて、本の目利きのスザンナがそろえた本が並び、たびたび読書会も開催されています。

 さらに、お料理担当のペトラがすばらしいニッターでもあるので、ニット用品のコーナー(毛糸や編み針を販売)まであるんです!

 こんなカフェが近くにあったら、毎日のように通ってるだろうなぁ・・・

 

 主人公たちがほどよく大人で、コージーにありがちなドタバタ感(といえばいいんでしょうか?)があまりないのも、わたしの好きなところです。とはいえ、スザンナの恋愛や、トニと別れた夫のくされ縁など、お約束のロマンス要素もしっかり入っていて、「これぞコージー!」と思えるおすすめのシリーズです。


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