カタツムリ

(ナメクジは苦手なのに、カタツムリはかわいく見えるのは、背中にしょってる貝があるから?)

 

 いつだったか、原書ハンティングをしていたときに出会って以来、ずっと気になっていた作品を読み終えました。読んだのは翻訳書のほうですが、その翻訳が「こんな風に訳したい」と思う、まさに自分がめざす訳文で、心が震えました。

 

カタツムリが食べる音

『カタツムリが食べる音』

エリザベス・トーヴァ・ベイリー:著 高見浩:訳

 

 ある日突然、難病に侵された著者と、一匹のカタツムリとの不思議な絆を描いた自伝的ノンフィクションです。ほとんど体を動かすことができない著者は、ひょんなことからベッドサイドにやってきたカタツムリの観察を通して、この世に存在するということ、生きるということを見つめなおし、ふたたび前を向いて生きる勇気を取り戻していきます。

 カタツムリは「のんびりした生き物」というイメージでしたが、この本を読むと、なんて魅力的な生き物なんだろうと驚かされます。冒険心にあふれ、行動的で、食欲旺盛(ネットで「カタツムリの食べる音」を聞いてみましたが、なんともいえない音でした)。小さな体に生命力がみなぎっている感じ。もうじき梅雨入りですが、カタツムリたちに会えるのがなんだか楽しみになってきました。

 

 翻訳は、ヘミングウェイの新訳でも知られる高見浩さん。流れるような、語りかけるような、読んでいて心地よい、とても美しい訳文です。音読してみると、その美しさがよくわかります。これをお手本にしない手はないので、原書を取り寄せて、翻訳と読み比べてみるつもりです。

 伝記や回顧録って、ノンフィクションとフィクションの中間にあるジャンルじゃないかなと。どちらに寄せるかで、作品の印象がまったくちがってくる。もちろん、原文の雰囲気や文体次第ですが、あまり「読み物」っぽく訳してしまうと、実話の重みが感じられなくなるでしょうし……。著者の「生の声」を壊すことなく読者に伝えられるような、そんな翻訳ができるようになりたいと強く思いました。

 やっぱりコージー・ミステリーは読みやすい! 4日ほどでDeath by Chocolate Lab を読了しました。

 

Death by Chocolate Lab (Lucky Paws Petsitting Mystery Series) by Bethany Blake

 

 読んでいて楽しかったし、犯人も意外性があって、なかなかよくできたコージー・ミステリーでした。

 主人公のダフネは、哲学の博士号を取得しているという設定のわりに、向こう見ずというか、考えるより先に行動するタイプ。いくら姉に容疑がかけられているにしても、犯人かもしれない人物の家にひとりで乗りこんだり、夜中に出歩いたり、大事な証拠品をうっかり持って帰ったりと、もう好き勝手してます。一般市民でなんの権限もない主人公が、事件の調査と称してあちこち鼻をつっこみ、あれこれ動き回るのは、コージー・ミステリーのお約束ですけどね。

 これまたコージー・ミステリーには欠かせない「主人公のロマンス」要素もしっかり入ってました。お相手は、見るからにハンサム、でもめったに笑わない(悲しい過去が関係している)堅物の刑事、ジョナサン。ダフネの自由奔放な行動に振り回されつつ、まんざらでもない様子。ピンチになると颯爽と現れるジョナサンに、ダフネの恋人未満の男友達ディランが、俄然ライバル心を燃やし……というのも、よくある展開。

 

 謎解きという点では、疑わしい人物がどんどん増えていき、そのぶん一人一人の「怪しさ」が薄まったかなという印象も受けました。とはいえ、それぞれの人物についての結末はきちんと語られていましたし、サイドストーリーとしておもしろく読めたので、よかったと思います。

 

 何よりも満足したのは、犬たちの描かれ方! これまで読んだコージーの中で、いちばん犬が出てくる作品かもしれません。犬好きには間違いなくおすすめ。総勢6匹の犬たちが、ストーリー上でも重要な立ち回りを見せてくれます。なかでもわたしのお気に入りは、ダフネの愛犬ソクラテス。ほかの犬たちとは別格というか、キャラクター描写がほぼ人間並みです。ソクラテスにまた会いたいから、次作を読もうという気になりました!

 

 個人的には、翻訳出版されてほしいシリーズです。理由は、バランスのよさでしょうか。登場人物や伏線、サイドストーリーが多めで、ややごちゃごちゃした感じがコージーの味だと思います。この作品は、その辺のさじ加減がほどよく感じました。4作目が刊行予定らしいので、完成度、安定感なんかも気にしながら(途中でしぼむシリーズもあるので……)フォローしていきたいなと。

 

 ちなみに、コージー・ミステリーといえば最後に「レシピ」が紹介されている作品が多いですが、こちらのシリーズも作中で登場するスナックやスイーツ、そして「わんこのおやつ」のレシピがついてます!

 

Dial Meow for Murder

 

 次作は、猫ちゃんが登場するようです。

 

バセットハウンド

(バセットハウンド。哲学者の風格が漂ってますが、なにも考えてないのかも……?)

 先月、読みかけて途中でギブアップした犬本(Blood on the Tracks)のリベンジにと、軽めの作品を探してみました。

 犬本、軽め、ミステリーとくれば、コージー・ミステリーしかありません!Amazon.comでも、Cozy Mysteryのサブ・カテゴリーにAnimalがあるくらい、コージーと動物の組み合わせは鉄板です。

 

 ちょっと検索しただけでも、山ほど(動物がテーマのコージー・ミステリーは、犬ものより猫もののほうが多いみたいですけど)作品が出てきたので、どれを読むか迷います。例によって、Kindleがサンプルだらけになりました。

 

 今後の読書リストがてら、気になったものをまとめました。いずれも、シリーズの第一作です。

(調べていたら、すでに翻訳書が出版されている作品が結構ありました。原題と邦題がぜんぜん違うので、気づかなかったものも……。)

 

The Plot Is Murder (Mystery Bookshop Series)  by V.M. Burns

 

 主人公のサマンサは、元英語教師。夫を亡くして半年、ようやく前向きに生きようという気持ちになり、書店を開くという夫の夢と、ミステリー作家になるという自分の夢の両方を追うことに。執筆中の小説の中で、殺人事件を描こうとしていたそのとき、現実の世界でも殺人事件が起こり、サマンサが犯人だと疑われてしまい……。

 犬本というほど犬が活躍する気配は、あらすじを読んでもつかめませんが、表紙にいる2匹のプードルがサマンサの愛犬として登場する模様。主人公が作家(の卵)兼書店オーナー(の予定)というところに心ひかれます。

 

 

Death by Chocolate Lab (Lucky Paws Petsitting Mystery Series) by Bethany Blake

 

 ペットシッターのダフネが主人公のシリーズ。アジリティ大会の会場で、警察犬訓練所のオーナー、スティーブが遺体となって発見される。疑いの目が向けられたのは、スティーブの元恋人で、ダフネの姉のパイパーだった。ダフネは、スティーブご自慢のチャンピオン犬アクシスが、事件以来、行方不明になっていることに気づく。パイパーにかけられた疑いを晴らし、アクシスを見つけるべく、ダフネは愛犬のソクラテス、アーティーとともに奮闘する!

 主人公の職業柄、犬がたくさん登場するのは間違いなさそうです(序盤だけで6匹も!)。表紙のバセットハウンドがソクラテスです。名前がソクラテスなのは、いつもなにかを思案しているような顔つきだから……と思ったら、ダフネが哲学の博士号を持っているからという絡みも。ドクターの学位を持つペットシッターとは、かなり異色(パイパーも獣医なので、ドクター姉妹ですね)。

 

 

Plantation Shudders (Cajun Country Mystery Series) by Ellen Byron

 

 アメリカ南部のプランテーション・ホテルが舞台のミステリー。主人公マギーは、いろいろあってニューヨークから故郷ルイジアナに戻ってきた。町ではフードフェスティバルが開催されていて、ホテルも宿泊客で大賑わい。そんななか、老夫婦が相次いで亡くなるという事件が起こる。死の状況に不審な点があったため、マギーと宿泊客が容疑者として疑われるはめに。ホテルの命運を左右するスキャンダルに巻き込まれたマギーは、事件を解決しようと捜査に乗り出すのだが……。

 と、あらすじに犬のいの字も出てきませんが、表紙を見ると、どうやらバセットハウンドが出てくるようです(コージー・ミステリーのバセットハウンド率高し!)。著者のEllen Byronとこのシリーズは、2016年、2017年と、Agatha AwardのBest Contemporary Novel部門にノミネートされているので(Agatha Award常連のLouise Penny&ガマシュ警部シリーズが立ちはだかり、惜しくも受賞ならず)、ミステリー小説としても、完成度には定評のある作品といえますね。

 

 表紙に犬やら猫やらのイラストがあるからといって、動物が活躍する話とはかぎらないのが、コージー・ミステリーのにくいところ。何度だまされた(?)ことか……でもかわいいから、ついつい目が行っちゃうんですよね。

 とりあえず、三つの作品の中では、いちばん「犬度」が高そうなDeath by Chocolate Labから手をつけました。ミステリーとして期待できそうなのは、Plantation Shuddersでしょうか……?

 

チョコラブの子犬

(チョコ・ラブの子犬。かわいい!)

 出版翻訳者として、成功率(自分の訳書として出版にこぎつける確率)は低いものの、積極的に取り組みたいこと、それが「出版社への持ち込み」です。この原書を持ち込むぞ!と決めたからには、「この作品ならではの魅力」や「翻訳書を出す意義」がしっかりと出版社に伝わるような、熱い企画書を完成させなければなりません。

 渾身の企画書(レジュメ)を作成するには、原書を読み込むのはもちろんですが、ジャンルや類書を調べ、作品を相対的に評価する視点も大事。「この本いい!」とどっぷり浸っていると、見えてこないものもあります。レジュメでは、熱く、かつ冷静に、作品を語らないといけない。一歩引くって、言うは易し……なんですよね。

 

 さらに、持ち込みには大きな問題が。そもそも、持ち込みをかけようとしている原書の版権(翻訳権)が空いているのかどうか? これを探るルートは、ゼロではなさそうですが、いち個人には難しいし、時間もかかりそう。版権がすでに動いているかもしれない原書のレジュメを書いても、レジュメを書く練習にはなりますが、出版社に売り込めない……。

 そこで、新しい本だけでなく、古い本もターゲットにして原書ハンティングすべし、というわけです。さすがに、出版から5年、10年経っている作品で、まだ翻訳書が出ていないなら、版権が空いている可能性は大きいので(何らかの理由で翻訳書が出版できない、しづらい理由がある本なのかもしれませんが)。テーマが普遍的だったり、時代を感じさせないものだったりと、いま読んでもおもしろいと感じる原書はたくさんありそうです。

 

 それもあって、ここしばらく、出版年のやや古い作品にも注目して、翻訳書が出版されいないかどうかをチェックしていました(もちろん、犬や動物に関する本を中心に!)。そのおかげか、ジャンル全体の雰囲気や傾向みたいなものが少しわかってきたような気がします。

 すべての原書を最後まで読むのは厳しいので、Kindleのサンプルがあるものは読みつつ、著者や作品周辺の情報を収集する、という方法で当たりをつけていたのですが、「これは面白い」「ぜひ持ち込みたい」と感じた作品は、見事に翻訳書が刊行されていました!(単純に読書量が足りなくて、すでに翻訳書がある原書に目をつけてしまっただけかもしれませんけど。)とはいえ、「自分が良いと思う本」と「出版社が出版したいと思う本」にそうズレはないらしいとわかり、ほっとしました。

 1冊の本から、芋づる式にいろんな本が見つかるのは楽しいですが、無限に積読本が増えていくのは困りものです……。

 

持ち込みの世界は奥が深い

(持ち込みの世界は、奥が深いです……)

 今月も、といってももう中旬ですが、犬本に手をつけました。

 Kindleのサンプルをダウンロードしてから、しばらく放置状態だったこのミステリー。

 

Blood on the Tracks by Barbara Nickless

 

 いかにもサスペンス感漂う表紙とタイトル(訳すと、「血の轍」)から想像はできたのですが、内容はかなりシリアスです。

 主人公は、鉄道警察官でK9ユニットのハンドラーであるシドニー・ローズ。彼女と相棒のクライド(シェパード)は、かつて軍に属し、駐留先のイラクで壮絶な体験をしたことから、帰国後はPTSDに苦しんでいます。同じ鉄道警察官のニック(シドニー・ローズの育ての親でもある)の姪が惨殺される事件が起こり、シドニー・ローズとクライド、そしてニックも捜査に加わることに。容疑者とされているのは、殺害された姪の恋人で、元軍人の男。任務中、顔や身体に大きなやけどを負い、爛弌璽鵐鼻Ε泪鶚瓩噺討个譴討い襪海涼砲肇轡疋法次Ε蹇璽困蓮偶然にもイラクで同じ極秘作戦にかかわっていました。

 忘れたい過去と、イラクで失った恋人や仲間たちの亡霊に悩まされながら、シドニー・ローズとクライドは事件の真相に迫っていく……というストーリー。1/3ほど読んだところで、読む手がストップしてしまいました。シドニー・ローズのイラクでの任務は、仲間の遺体の回収。それだけに、生々しい描写も多く、先に進むのが辛く……。文体そのものは読みやすいですし、テンポもいいので、クライドの活躍の場面が増えれば、なんとか読み切れるかも?と思ったのですが、K9の活躍よりも、主人公の心の闇と戦争体験がテーマのようなので、それもなさそうです……。

 ちなみに、著者のプロフィールを見ると、「日本で生まれて、グアムで育った」とあるので、ご家族が軍関係?と勝手に想像しています(それなら、軍関係の描写が細かいのも頷けます)。

 

 挑戦してみたものの、やっぱり、硬派でシリアスなミステリー(スパイもの、戦争もの、ハードボイルドなど)は苦手でした。「女性K9ハンドラー」が主人公の海外ミステリー(原書)は、これまでに2シリーズ読んでいますが、K9ものにもいろいろあるんですね。人も犬も、タフじゃなきゃやっていけない職業ですし、作品の雰囲気が硬くなるのは当たり前といえばそうなのですが。

 シドニー・ローズと同じ「女性で帰還兵でK9ハンドラー」が主人公の作品がもう1冊、積読リストに入っていますが、この調子だと、寝かしたままになりそうです……。

 

シェパード

(がんばれ、警察犬!)

花と犬

 

 去年から、アメリカの犬雑誌Barkを購読しています。最初に届いたときは、薄い雑誌だと思ったのですが、記事がとても充実していて、なかなか読み切れないほど。

 

Bark Spring 2018

 

 今月号は、なんと「戌年」記念号!紙面のいたるところに、中国や日本の「戌」にちなんだ絵画や工芸品の写真が掲載されています。さらに、日米合作のストップモーション・アニメーション映画『Isle of Dogs(犬ヶ島)』を特集。いつになく、日本色の濃い内容です!

 

(とってもシュールな、でも犬好きは泣けそうな映画。)

 

 日本人イラストレーターの木内達朗さんの作品も紹介されていました。

(アメリカでも、柴犬が人気だとか。)

http://tatsurokiuchi.com/a-shibainu-in-central-park

 

 Barkにはブックレビューのコーナーがあるのが、本好きにはたまりません。今月号で気になったのは、こちらの一冊。

 

Have Dog, Will Travel: A Poet's Journey by Stephen Kuusisto

 

 盲目の詩人による自伝。タイトルと表紙にもあるように、盲導犬の存在が、生活や行動範囲、そして創作に大きな変化や影響を与えたということが綴られているようです。

(この著者は以前にも自伝を出版していて、そちらは翻訳書が出ていました。翻訳書は『わたしは、目が見えない。』というタイトルで、出版は1999年とかなり古いです。)

 これ以上積読本を増やしても、と思いつつ、Kindleのサンプルをダウンロードしてしまいました……。

 

Snow Maiden

 

 The Snow Childを読了しました。50章以上という長さに読み切れるのか心配でしたが、読んでいくうちに先が気になって、気づいたら数日で読み切っていました。

 

 舞台は1920年代のアラスカ。子どものいない夫婦、JackとMabelは、アラスカの開拓地に移住します。Mabelはかつて死産を経験し、わが子を亡くした悲しみを乗り越えられないまま、長い年月を過ごしていました。そこで、新天地で心機一転、人生を再スタートするつもりでアラスカに移住したのですが、過酷な自然や開拓の厳しさのなかで、交わす言葉も少なくなり、夫婦の心はますます離れていきます。

 そんな重苦しい空気がただようアラスカでの生活でしたが、初雪が降ったある日、童心に返ったふたりは、Snow Childを作ります。この子は女の子だと、Snow Childに赤いミトンとマフラーを着せてやるMabel。すると、不思議なことが起こりました。森の中に、赤いミトンとマフラーをまとい、透き通るような肌と青い目をした、金髪の少女が現れたのです。少女は、おとぎ話に出てくるSnow Maiden(ゆきむすめ)のように冬の寒さを気にすることもなく、野生の生き物のようにしなやかに、風のように森の中を駆け巡ります。

 少女はFainaと名乗り、しだいにJackとMabelと一緒に過ごすようになります。ふたりは自分の娘のようにかわいがるのですが、春が来ると、雪の残る深い山奥へと、Fainaは姿を消します。悲しみとさみしさに包まれる夫婦でしたが、季節がめぐり、再び冬がやってきたとき、Fainaはまた、ふたりの元に戻ってきます……。

 

 白銀のアラスカが舞台ということもあり、幻想的な雰囲気ではあるのですが、ファンタジーというよりもヒューマンドラマとして読みました。Mabelの心境の変化や成長を軸に、過酷な環境で生きる人々の人生が丁寧に描かれています。また、Fainaがいったい何者なのか、どうして春になると姿を消してしまうのか、といったミステリーな部分もあります。自然描写も緻密で生き生きとしていて、とくにその野生動物の描写には心奪われました。キツネ、オコジョ、ライチョウ、グズリといった、アラスカならではの生き物たちも登場します。

 

 本作の翻訳書が見つからないので、日本で出版するとどうだろう……と考えてみました。とても美しい話ですが、それを日本語に翻訳して表現するのは難しいかなと(そのぶん、訳しがいはありそうですが)。家族や親子のあり方、生きるうえでの選択、何を大切にするかといった、根底にあるテーマはひじょうに普遍的なのですが、「アラスカの地」に日本の読者がなじめるかどうか……。ラストも、余韻を残す終わり方で、好みが分かれそうです。登場人物は少なく(ここはポイント!)、それぞれがしっかりと描きこまれています。そのなかでも、Mabelをどう訳すか、表現するかで、読者の共感、感情移入のしやすさが変わってきそうです。いろんな角度から読めるので、精読や読書会に向いている作品だと思いました。

 

(こちらの表紙も素敵です)

 

 もう一冊、洋書で読書会をやるならこれ!と思った作品があります。以前読んだ、こちらの作品です。

 

Faithful  by Alice Hoffman

(作品については、こちらの記事で書きました。)

 

 こちらも翻訳書が見当たらないのですが、日本の読者のとっつきやすさからいうと、Snow ChildよりはFaithfulかもしれません。

 今月は、仕事やらトークイベントやら、ミステリーの読書会やらで、犬本以外の本を久しぶりにまとめて読みました。積読本も(一部を残して)解消、ということで、ついつい新しい本に手が伸び……調子にのって、何冊かポチってしまいました。

 

The Snow Child  by Eowyn Ivey

 

 2013年ピューリッツァー賞フィクション部門の最終候補にもなっている作品で、以前から読みたいなと思っていたのですが、Kindleバージョンが破格の130円! 気がついたらポチってました。アラスカの厳しい自然が舞台になっていて、犬本ではないですが、動物はたくさん出てくるようです。まずはこちらから読もうかと。

 

I Could Chew on This : And Other Poems by Dogs  by Francesco Marciuliano

 

 これでもかというくらい、犬本な本です。愛犬家のみなさんなら、「なんでそこ、かじっちゃうかな」という思いをしたことは一度や二度ではないはず。うちの子が子犬のとき、買ったばかりの本とか、革のペンケースとか、もうかじられまくってました。タイトルに「犬によるポエム」とありますが、写真と詩(犬の「内なる声」だとか)がペアになった構成で、犬好き必笑、という紹介文にひかれてお取り寄せ。

 

 同じ著者の、こちらも合わせ買い。

 

You Need More Sleep: Advice from Cats by Francesco Marciuliano

 

 こっちは猫本です。わたしは人生で1匹しか猫を飼ったことがないのですが、ペットの猫の頭数がついに犬の頭数を上回り、猫人気に拍車がかかっているので、猫本も無視するわけにはいかないなと。「猫から人間へのアドバイス」ということで、単なる「かわいい猫ちゃんの写真集」を超えた、意外に深い内容?ではと期待に胸がふくらみます。

 

 と、このへんでポチッとは自粛。気になる本は山ほどありますが、ぐっと我慢です。新刊や未読の本に手を出すのもいいですが、これまでに読んだ本にも、すばらしい作品がたくさんあったので、読み返してレジュメを書く(原書なら)ことに力を入れようと思います。

 

犬と猫

(にゃんことわんこ)

本棚

 

 先週末は、出版翻訳者のトークイベント、大学院時代の恩師訪問と、なかなか盛りだくさんな週末でした。これぞと思った出版翻訳がらみのイベントには、できるだけ参加するつもりでいますが、なにぶん地方住まいでは、移動時間と費用を考えるとままなりません。なので、今回のトークイベント、参加できて本当によかったです。

 

 トークイベントでは、出版翻訳の仕事をするうえで大事なこと、参考になるお話をたくさん聞くことができました。お話しいただいた先生が実践されている、調べもののやり方や姿勢には、目から鱗がボロボロ落ちました……。結構調べている気になってましたが、全然追及が足りていないと反省しきり。調べたことは、後々自分の財産になる。そう考えると、とことん調べものに向き合っていける気がします。

 

 お話のなかで、先生が「自分は何が好きなのか見つめなおす」「好きな分野・テーマをとことん追求する」「ニッチな分野・マニアな分野でも、本当におもしろければ、読んでくれる人がいる」というようなことをおっしゃっていたのですが、去年くらいから自分でも意識していることなので、なんだか背中を押していただいた気持ちになりました。先生、わたし、犬本をとことん突き詰めます!

 

 お話を聞きながら、いますぐやらなきゃいけない、と強く思ったのは、つねに売り込める原書のストックを持っておくこと。バッグにレジュメを忍ばせておいて、ここぞというときにいつでも取り出せる、そんな状態にしておくこと。そして、チャンスがあればと考えるのではなく、チャンスを作ること。こんなことは、出版翻訳者を志すうえで当たり前なんでしょうけど、できていませんでした。"Chance favors the prepared mind"という言葉もありますが、自分から動かないと、何も始まらないんですよね。

 

 と、盛り上がった勢いで、先生の訳書やら、もともと買うつもりだった本やら、一気に4冊も本を買ってしまいました(それを持って次の目的地に移動したので、地獄を見ました……キャリーバッグにしとけばよかったと激しく後悔)。読みかけの本と、図書館から借りてきたばかりの本5冊で、計10冊の本が机に積みあがっています。移動中と昨日で2冊読了したものの、あと8冊……再来週、読書会をやるので、その課題書も読み返さないと……とはいえ、本にまみれることは幸せなことです。

 

 トークイベントの翌日には、友人たちと恩師を訪問。「訳書が出たら先生に読んでいただく」ことを目標にしていたので、ひとつ夢が叶いました。

(それにしても、学校って、どういうわけか、自分が卒業した後にきれいになるもんですね……ぴかぴかの校舎を見て、なんだか複雑な気分に……)

マスティフの子犬

(マスティフの子犬。貫禄じゅうぶんです。)

 

『愛犬ジゼルとの最後の約束』を読了しました。

 毎日少しずつ読んでいましたが、もう序盤から涙目で……でも、だからといって、本を閉じようという気持ちには一度もなりませんでした。結末はわかっていても、最後まで読書のモチベーションが下がることがないのは、ノンフィクション(実話)の力だと思います。著者のローレンさんの声を聞きながら、彼女の愛犬ジゼルが生きた日々をしっかりと見届けるんだ、という熱い思いを胸に、最後の1ページまで読み進めることができました。読み切ったいまは、心洗われるというか、すがすがしさが残っています。

 

 この本のすばらしいところは、ローレンさんの語り口です。20代前半という若さがあふれる文体ですが、全体的に、一歩引いたような、冷静に過去を振り返り、自分を見つめ直しているような視線も感じられました。悲しみを受け入れて、前に進んでいこうという強さ、この体験から学び、手にした成長が文章に表れていて、読んでいるこちらも救われた気持ちになりました。

 

 我が家にも17歳のシニア犬がいるので、「その日」が近づいていることを頭では理解しながら、ときに考えないようにしながら、毎日を過ごしています。別れの悲しみから逃げることがないよう、精一杯受け止められるよう、背中を押してもらいたくて、こういうテーマの本を読んでいるのかもしれません。

 

 じんわり心が温かくなる犬本(ノンフィクション)としては、去年読んだこちらの本と同じくらいよかったです。

 

Free Days with George by Colin Campell

(感想はこちら。)

 

 残念なことに、このジョージ君、昨年末に亡くなっています。癌だったそうです。イングリッシュ・マスティフのジゼルちゃんと、ニューファンドランド・ランドシーアのジョージ君、同じ"Gentle Giant"どうし、天国で出会って友達になっているかもしれませんね。

 

「犬と人との絆」がテーマの本を何冊かピックアップしているので、近いうちに読みたいと思います。

 

アティカス

 

『アティカス、冒険と人生をくれた犬』

トム ライアン:著 金原 瑞人、井上 里:訳

 

 一昨年くらいだったか、この本の原書を読み始めて、読み切れずに放置していたのでした。

 表紙のアティカス君(ミニチュア・シュナウザー)と、北米の冬山をチャリティ登山(なんと147峰!)する著者の実話です。厳しい自然の描写にやられてしまい、どうしても最後まで読めず……だったのですが、なんとこの作品が金原瑞人先生の訳で読めるとは! 

『おやすみ、リリー』も越前敏弥先生の訳で読めたし、気になっている犬本が翻訳書で出版されるというのが続いていて、とてもうれしいです。

 

◆Finding Gobi: The True Story of a Little Dog and an Incredible Journey 

by Dion Leonard

 

 こちらは、テレビや新聞記事でも取り上げられていた、砂漠のレース犬「ゴビ」の本です。

 日経新聞電子版の記事→NIKKEI STYLE

 こちらも、翻訳書が出るのではないかと楽しみにしています!(記事にもありましたが、今年は「戌年」ですから!)


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