See You in the Cosomsを読了しました。

 いわゆる少年の成長物語(ビルドゥンクスロマン)で、次々といろんなことが起こるのですが、ちゃんと最後はひとつのところに集約されていきます。細部まで作家の気持ちというか、心配りが行き届いている、そんな印象を受けました。

 

 主人公アレックスの話し方が、文体のなかににうまく表現されていて、それが読んでいて楽しかったです。子どもにとって、要点をまとめて話したり、話の途中で適度に間を取ったりするのは難しいことなので、アレックスも、「○○だったんだけど、△△になって、そしたら□□で、それで◎◎が××して……」と、話はじめるとノンストップ。本のなかから、アレックスのはずむ声、息づかいが聞こえてきそうでした。

 頭のいい子なので、ちゃんと順序立てて話してはいるのですが、とにかく全部言いたい!という感じ。アレックスは狄深足瓠扮海鬚弔ないこと、本当のことを話すこと)をとても大切にしている少年。だから、起こったこと、感じたことをすべて、彼なりの言葉で一生懸命表現しようとする。話し方にも、アレックスのキャラクターがちゃんと反映されています。

 

 終盤、アレックスには危機が訪れます。アレックスを守ろうと、彼を取りまく大人たち(兄ロニー、旅の途中で出会った異母姉テラ、ロケット仲間のゼッドとスティーブ)が奮闘します。ある事情で、家じゅうを掃除する場面があるのですが、「この掃除にアレックスの命運がかかっている」とみんな真剣そのもの。でもやっていることはただの掃除。それが妙におかしくて、久しぶりに本を読みながら声をあげて笑ってしまいました。

 

 この作品には、"You already have it."(「もうちゃんと持ってるじゃないか」)というフレーズが出てくるのですが、それがとても心に響きました。あるとき、ゼッドがアレックスに言った言葉で、最初は理解できなかったアレックスも、さまざまなことを経験し、言葉の本当の意味がわかるようになります(物語の最後も、この言葉で締めくくられます)。探しているもの、大切なものは、もうちゃんと持ってる。見えなくても、そこにある。そんな風にわたしは解釈しました。

 

 大人とアレックスのときに軽快な、ときに真剣なやりとりが、この作品にはたくさん出てきます。だから大人が読んでも味わい深く、心に感じるものがあるんだと思います。それなりにボリュームのある本ですが、文章は平易(たまに宇宙用語とか出てきますが)なので、すらすら読めますし、難しい本や、ドロドロミステリー?の合間に読むのにぴったりの作品です。

 

葉っぱ


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