オオカミ

 

 ひとつまえの記事で紹介した、こちらの作品。いちおう読み終わったので、感想など……。

 

 

Say Goodbye For Now by Catherine Ryan Hyde

 

<ストーリー概要>

 1959年の夏。女医ルーシーは、テキサス州の小さな町のはずれで、ひっそりと暮らしていた。辛い人生を歩んできた彼女は、傷ついた動物を保護し、世話をすることを生きがいにしていた。そこへ、ひとりの少年がやってくる。ピートと名乗る少年は、傷ついた一匹の犬―ハーフ・ウルフ―を連れていた。

 ピートは、家庭に恵まれない少年だった。プリンス(ハーフ・ウルフ)を介して、ピートとルーシーは心を通わせていく。ピートはまた、黒人の少年ジャスティンと知り合い、友情を育むが、時代がそれを許さなかった。ジャスティンが何者かに襲われ、ひどいけがを負ってしまう。一方、ジャスティンを治療したルーシーは、ジャスティンの父親カルヴィンと出会う。知的で思いやりのあるカルヴィンにひかれていくルーシー。妻を亡くしていたカルヴィンも、ルーシーの孤独とやさしさを理解し、ふたりは静かに愛を深めていくのだった。だがふたりの関係は、ピートとジャスティンの関係以上に、深刻な事態を引き起こしていく。

 ピートとルーシーに訪れる、プリンスとの、そしてジャスティン、カルヴィンとの別れ。だがそれは、ふたりにとって、長きにわたる爐靴个靴諒未譟goodbye for now)瓩世辰……。

 

<感想>

 半分くらいまではじっくりと、残りは走り気味に読んだのですが、残念ながら思ったより犬(プリンス)の存在感が薄かった……。メインの登場人(犬?)物ではあるのですが、プリンスを中心に話が進むことはなかったです。もちろん、ピートがプリンスの命を助け、プリンスがピートを守り、という、ピートとプリンスの関係には心温まるものがありました。プリンスはハーフウルフといってもほぼ野生なので、飼いならすことはできず、傷が癒えたら野生に帰っていきます。でも、それでピートとプリンスの関係が終わったわけではなく……という展開には、ぐっときました。

 

 王道のFeel-good storyで、読後感の良い作品だと感じました。数十冊のベストセラー(しかも、どの作品もレビューでひじょうに高い評価を獲得しています)を世に送り出している作家さんだけあります。

 ルーシーとピートが語り手の章が、交互に続く形で構成されています。どちらも心に傷を抱えるピートとルーシーが出会い、支え、癒し合い、本物の家族になっていく様子が、さまざまな出来事を通してさりげなく、かつ感動的に描かれています。ふたりが出会うきっかけがプリンスなので、やっぱりプリンスが物語の要、と言えるのかもしれません。

 そして、ピートはジャスティンと、ルーシーはカルヴィンと、それぞれかけがえのない関係を築き、最後は四人で幸せに……と話は進んでいくのですが、エンディングがちょっとあっけない気もしました。(最後はルーシーの語る章で締めくくられるので)わたしがピートのほうに感情移入していたことも、あっけないという印象に影響していると思います。

 作者がいちばん描きたかったのは、ルーシーとカルヴィンの犧絞未鮠茲蟇曚┐唇Ν瓩覆里もしれない、そう感じました。

 

 この作家さん、動物が登場する作品を多数発表しています。これもそのひとつ。

 

 

 犬がテーマの原書のなかから、日本の読者の心に響く作品を探す。このテーマで、しばらく読書をつづけてみようと思います。


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