ダックスフント

(以前、この写真の子と同じロングヘアーのダックスフントを2頭飼っていました。レッドと、ブルーダップルという、とても珍しい毛色の子でした。)

 

『おやすみ、リリー』のモニターに当選し、刊行に先駆けて読者になる機会をいただきました。ハーパーコリンズ・ジャパンさんに感謝いたします!

 

おやすみ、リリー

 

おやすみ、リリー』 

スティーヴン・ローリー:著 越前敏弥:訳

 

 ハーパーコリンズ・ジャパンより2017年4月刊行(画像はハーパーコリンズ・ジャパンの特設サイトからお借りしました。)

 本作を知ったのは、原書をGoodreadsで見て、読んでみたいなと思ったのがきっかけでした。

 

 

Lily and the Octopus by Steven Rowley

 

 Goodreadsの"Choice Awards 2016"のフィクション部門にノミネートされていて、表紙のダックスフントのイラストに(犬好きなら当然?)思わず目がいきました。そのときは、この作品が日本語で読めるなんて思いもしませんでした!「愛犬の死」というテーマと、Goodreadsで星5つつけていた方のレビューの「泣くってわかってた!」というコメントを見て、「読んだら泣く」予感はしていたのですが……。

 

 結局、まんまと泣いてしまいました。泣いたなんてものじゃない。号泣でした。本を読んで泣くことは結構(年々それが増えている気がします……)あるのですが、ここまで泣くことはめったにないです。わたしが愛犬家で、足元にはすやすやと寝息をたてているわんこがいて、いままでに何度も、身近な人や愛犬との悲しい別れを経験している、とくれば泣いて当然かもしれません。

 でも、これほどまでに泣いた理由はそれだけではありません。それは、この作品の、最初の一行から最後の一行にまで、愛がしみこんでいるからだと思います。心が温かく、元気になる愛もあれば、複雑で、素直に表現できない愛、悲しい愛……。さまざまな愛が、さまざまなエピソードのなかにこめられています。その愛に自分の心が反応し、共鳴して、感極まってしまったのでしょうね。

 

 悲しい場面でも涙しましたが、わたしが最初にじわっときたのは、主人公テッドがリリーと最初に出会った、幸せいっぱいの場面(そこはハーパーコリンズ・ジャパンの特設サイトで試し読みができます)でした。リリーがテッドにはじめて犖世辰伸畍斥佞法△△佞譴鵑个りの無垢な愛を感じ、もうそれだけでじーんと、温かいものがこみあげてきました。

 泣くのって、悲しいときだけじゃないんですよね。「出だしでこれだから、覚悟して読まないと、たいへんなことになる」と気合い(?)を入れたのですが、そのあとも心が刺激されっぱなしで、どうにもなりませんでした。

 読み終わったいまは、『おやすみ、リリー』というタイトルだけで、目がうるんでしまうほどです。このタイトルにも、大きな意味があるということを知ってしまったから。ここにも、悲しくも大きな愛がこめられていたんですね……。

 

 もちろん、ただの爐涙頂戴瓮好函璽蝓爾箸いΔ錣韻任發覆、ユーモアや、ファンタジーのテイストもふんだんに盛りこまれています。アメリカ・ロサンゼルスに住んでいる主人公テッドは、セラピーに通っているのですが(なんとなくアメリカのストレスフルな都会人、という雰囲気が漂います。テッドの場合、セラピーに通う理由は、都会のストレスだけではないのですが)、セラピストのジェニーに対するテッドの態度が滑稽なほど辛辣で、そこは毎回笑ってしまいました。

 タコ(リリーの頭にできた腫瘍)が妙に哲学的なのもユーモラス。状況からしてタコに共感はできませんが、とても魅力的なキャラクターでした。そのタコをリリーの頭から追い出すべくテッドが繰りだす作戦は、どれも突拍子がなく、非現実的で、それだけに、わらにもすがりたいテッドの気持ちが伝わってきて、おかしいやら、悲しいやら、せつないやら……。

 最後に『白鯨』よろしく海に出て、タコと死闘を繰り広げるくだりは、もう手に汗握る冒険物語といってもいいくらいです。こうした一風変わった趣向も、他にはない味わいだと思います。

 

 本作を読んで感じたことがもうひとつ。こんなふうに本を読んで(あるいは映画を観て)泣くという行為は、少なくともわたしの人生には必要なんだなと、妙に実感しました(毎回号泣というわけにはいきませんけど)。

 おかしな例えかもしれませんが、本や映画で泣くのは、狄科屬雖瓩澆燭い覆發里なと。寝ている間に寝返りを打つのは、無意識のうちに体のゆがみや疲れをほぐしている、と聞いたことがあります。『おやすみ、リリー』でさんざん泣いたあと、すっと心が軽くなった気がしました。

 泣くことがストレス発散、なんていう話もありますが、爐いの洵瓩鯲すことは、狄瓦離灰雖瓩鬚曚阿垢海箸任發△襪鵑任靴腓Δ諭わたしの好きなガンダルフもこう言っています。

「わしはいわぬ、泣くなとはな。 全ての涙が悪しきものではないからじゃ」

(『指輪物語 王の帰還』 J.R.R.トールキン:著 瀬田貞二・田中明子:訳 評論社)

 

 いろんな感情が呼び覚まされて、読書の醍醐味がたっぷり味わえ、そして心のコリもほぐれる。愛犬家に限らず、読書を愛するすべての方におすすめしたい作品です。


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