イギリスの湿地帯が舞台の、ダークなクライム・サスペンス。一気読み&聴きしてしまいました。

 

Their Lost Daughters  by Joy Ellis

 

 イングランド東部リンカンシャーの人気のない湿地で、意識朦朧となった少女が保護され、少し離れた海岸では別の少女の遺体が見つかる。この地域では、10年前にも少女が行方不明になるという事件が起きていた。Jackman警部率いる犯罪捜査課が捜査を進めるうちに、背後に少女をターゲットにした違法パーティーの存在が浮かびあがってくる。Jackmanたち捜査官はおとり捜査なども試みるが、なかなかパーティーの首謀者を特定することができない。保護された少女の話では、ほかにも「連れていかれた」少女がいるという。その少女はどこにいるのか? 生きているのか? 焦るJackmanたちを待ち受けていたのは、目を疑うようなおぞましい光景と、暗い欲望、そして悲しい過去だった……。

 

 Audible版のナレーター、俳優のRichard Armitageの声がとにかく渋くて、聞きほれてしまいました(ひとりですべてのキャラクターを演じています。さすがに少女の声は、ちょっと厳しいものが…)。ほかにもいろんなAudible作品のナレーションを担当していて、そのなかにちょうど読みたいと思っていた作品もあったので、次はそれを聴きたいと思います。

 

 作品自体は、星4.5はつけたいくらい秀逸なサスペンスでした。主人公Jackmanと、Evansをはじめとする部下の刑事たちのキャラクターもしっかりしていて、このままドラマ化できそうな感じ。内容はかなりダークで、サイコ・サスペンス寄りでしょうか。凄惨な描写はほとんどないのですが、Evilという言葉がしっくりくるような、人間の心の闇や邪悪さがテーマになっています。ラストもそうきたか、という意外性があって(まさかこの人たちがそういう関係だったとは…という、けっこう力業?なもっていき方)、完成度の高い作品でした。

 著者のJoy Ellisは、この作品ではじめて知った作家なのですが、直接会って話をしたRichard Armitageいわく「アガサ・クリスティを彷彿とさせる、物静かでシャイな老婦人で、こんなダークなストーリーを想像したとは思えない」(Audibleのインタビューより)ような方だとか(あ、でも、アガサ・クリスティみたいな人なら、ダークな話を書いても不思議ではないですね)。Jackman&Evansシリーズは第4作まで出ていて、今後フォローが楽しみなシリーズです。

 

 読んで(聴いて)いて苦労したのは、イギリスのスラング。アメリカの刑事ミステリーなどではなじみのない表現が多くて、かなり戸惑いました。「Wilco(will comply = yes)」とか、いろんな略語とか。最後まで読んで気づいたのですが、巻の最後に「(アメリカの読者向け)用語集」がついてました! この作品だけじゃなく、イギリスもののサスペンスやミステリーを読むときに、とても参考になりそうです。

 

夕日


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