波乗り犬

(このくらい、波に乗りたいもんです)

 

 はい、表紙のわんこにやられました。出版年は2013年と古いですが、Amazon.comでも評判の高い作品です。"Sweet" "Heartwarming" "Touched"と、レビューにも好意的なコメントが多いので、期待しながら読みました。

 

All That Ails You: The Adventures of a Canine Caregiver by Mark J. Asher

 

 捨て犬だったリグリーが見つけた家族&終の棲家は、介護施設。「ハウスドッグ」としてシニアたちと交流しながら、幸せな日々を過ごしていた。ある日、気難しく、怒りっぽいウォルターが入居してきて、施設の雰囲気は一変。ウォルターは何に対しても文句ばかりで、リグリーのことも毛嫌いし、近づけようとしない。でもある日、施設を揺るがす大事件が起こり、ウォルターのリグリーを見る目も変わっていく――。

 

 リグリーが語り手となり、リグリーの過去や、犬としての思い、ハウスドッグとしてのプライド、そして施設で暮らすシニアたちとの交流や、それぞれの人生が語られています。ホロリとさせられる場面がたくさんありました。とくに、気難しかったウォルターが、リグリーとのふれあいを通して、周りの人たちや家族に心を開いていく様子は、お約束な展開とはいえ、じわっときて……。"Heartwarming"な雰囲気が、大好きな作品『幸せなひとりぼっち(A man called Ove)』に似ているなと感じました。

 

 この作品を翻訳するなら、リグリーの一人称は何だろう、と考えてみました。たぶん、「ぼく」ですね。ペットの犬は、体は老いても、精神的には成熟しない(飼い主という親が一生そばにいるから)、と聞いたことがあります。食いしん坊で、散歩と遊びが大好きなリグリーは、スペンサー・クインの「チェット・シリーズ」のチェットっぽい感じ(チェットも、翻訳版での一人称は「ぼく」)。

 大人向けフィクションで、擬人化した動物が語り手の場合、やりすぎると子どもっぽくなってしまって、読みづらくなることもあるので、言葉遣いが難しいんじゃないでしょうか。語りのトーンは、気持ち抑えめにしたほうがよさそう。もちろん、語り手のキャラクター次第でしょうけど。


Profile

Archive

Search

Other

Mobile

qrcode

Dog & Animal Books

Murder, She Barked
Free Days With George: Learning Life's Little Lessons from One Very Big Dog
Not a Sound
Killing Trail
The Education of Will: A Mutual Memoir of a Woman and Her Dog
Wishtree
See You in the Cosmos
Stalking Ground
The Darkest Thread
The Lost Words
Not a Creature Was Purring
Dog Songs
Hunting Hour
Death by Chocolate Lab
The Snow Child
All That Ails You: The Adventures of a Canine Caregiver
The Feather Thief: Beauty, Obsession, and the Natural History Heist of the Century
The Wild Robot Escapes
  
The Poet's Dog