カタツムリ

(ナメクジは苦手なのに、カタツムリはかわいく見えるのは、背中にしょってる貝があるから?)

 

 いつだったか、原書ハンティングをしていたときに出会って以来、ずっと気になっていた作品を読み終えました。読んだのは翻訳書のほうですが、その翻訳が「こんな風に訳したい」と思う、まさに自分がめざす訳文で、心が震えました。

 

カタツムリが食べる音

『カタツムリが食べる音』

エリザベス・トーヴァ・ベイリー:著 高見浩:訳

 

 ある日突然、難病に侵された著者と、一匹のカタツムリとの不思議な絆を描いた自伝的ノンフィクションです。ほとんど体を動かすことができない著者は、ひょんなことからベッドサイドにやってきたカタツムリの観察を通して、この世に存在するということ、生きるということを見つめなおし、ふたたび前を向いて生きる勇気を取り戻していきます。

 カタツムリは「のんびりした生き物」というイメージでしたが、この本を読むと、なんて魅力的な生き物なんだろうと驚かされます。冒険心にあふれ、行動的で、食欲旺盛(ネットで「カタツムリの食べる音」を聞いてみましたが、なんともいえない音でした)。小さな体に生命力がみなぎっている感じ。もうじき梅雨入りですが、カタツムリたちに会えるのがなんだか楽しみになってきました。

 

 翻訳は、ヘミングウェイの新訳でも知られる高見浩さん。流れるような、語りかけるような、読んでいて心地よい、とても美しい訳文です。音読してみると、その美しさがよくわかります。これをお手本にしない手はないので、原書を取り寄せて、翻訳と読み比べてみるつもりです。

 伝記や回顧録って、ノンフィクションとフィクションの中間にあるジャンルじゃないかなと。どちらに寄せるかで、作品の印象がまったくちがってくる。もちろん、原文の雰囲気や文体次第ですが、あまり「読み物」っぽく訳してしまうと、実話の重みが感じられなくなるでしょうし……。著者の「生の声」を壊すことなく読者に伝えられるような、そんな翻訳ができるようになりたいと強く思いました。

 今月は、仕事やらトークイベントやら、ミステリーの読書会やらで、犬本以外の本を久しぶりにまとめて読みました。積読本も(一部を残して)解消、ということで、ついつい新しい本に手が伸び……調子にのって、何冊かポチってしまいました。

 

The Snow Child  by Eowyn Ivey

 

 2013年ピューリッツァー賞フィクション部門の最終候補にもなっている作品で、以前から読みたいなと思っていたのですが、Kindleバージョンが破格の130円! 気がついたらポチってました。アラスカの厳しい自然が舞台になっていて、犬本ではないですが、動物はたくさん出てくるようです。まずはこちらから読もうかと。

 

I Could Chew on This : And Other Poems by Dogs  by Francesco Marciuliano

 

 これでもかというくらい、犬本な本です。愛犬家のみなさんなら、「なんでそこ、かじっちゃうかな」という思いをしたことは一度や二度ではないはず。うちの子が子犬のとき、買ったばかりの本とか、革のペンケースとか、もうかじられまくってました。タイトルに「犬によるポエム」とありますが、写真と詩(犬の「内なる声」だとか)がペアになった構成で、犬好き必笑、という紹介文にひかれてお取り寄せ。

 

 同じ著者の、こちらも合わせ買い。

 

You Need More Sleep: Advice from Cats by Francesco Marciuliano

 

 こっちは猫本です。わたしは人生で1匹しか猫を飼ったことがないのですが、ペットの猫の頭数がついに犬の頭数を上回り、猫人気に拍車がかかっているので、猫本も無視するわけにはいかないなと。「猫から人間へのアドバイス」ということで、単なる「かわいい猫ちゃんの写真集」を超えた、意外に深い内容?ではと期待に胸がふくらみます。

 

 と、このへんでポチッとは自粛。気になる本は山ほどありますが、ぐっと我慢です。新刊や未読の本に手を出すのもいいですが、これまでに読んだ本にも、すばらしい作品がたくさんあったので、読み返してレジュメを書く(原書なら)ことに力を入れようと思います。

 

犬と猫

(にゃんことわんこ)

 木が主人公の、心温まるお話を読み終えました。

 

Wishtree by Katharine Applegate◆

 

 Amazon.comなどでは児童書のカテゴリーに入っていますが、大人が読んでも楽しめる作品だと思います。

 

 *この作品の紹介動画を発見しました*

 

 

 木(Redという名前の、オークの古木)が語り手で主人公の物語。Redの親友であるカラスのBongoや、Redを住処にしているオポッサム、スカンク、フクロウ、アライグマといった動物たちが登場するので、動物好きにはたまらない一冊です。

 Wishtree(願い事を叶える木:お願い事を書いた布やリボンを枝に巻きつけて、願掛けをする)として愛され、何世代にもわたって、町を静かに見守ってきたRed。ある少女が引っ越してきたのをきっかけに、平穏な日々に変化が起こり、Redの狢限貝瓩鬚發罎襪す事態へと発展していきます。Redは古木ということもあり、語り口は淡々としているのですが、その言葉はやさしさに満ちていて、しみじみ、じんわり心にしみてきます。

 

 この本、文章もとてもよかったのですが、挿絵がまた素敵でした。オポッサムとかカラスとか、ちょっと強面(?)の動物も、愛嬌たっぷりに描かれているので、思わずほほが緩みます。最後のほうで動物勢ぞろいの場面が出てくるのですが(動画で見れます)、そのイラストが本当に素敵なんです。 

 挿絵を描いたのは、イラストレーターのCharles Santosoさん。この作品以外にも、たくさんの児童書の挿絵を担当されているので、動物ものの作品があったら、ぜひ読みたいと思います。

 

 木は動けないので、流れに自身の運命をゆだねるしかない(Redいわく、passiveな)存在ですが、目には見えない形で、生き物や人間に働きかけ、さまざまな影響を与えている。1本の木が、町のシンボルになったり、忘れられない思い出になったりする。自然ってそういうものなんでしょうね。読み終わって、そんなことを考えました。

 

冬の木

 

 動物がたくさん登場して、挿絵もツボ、という本に出会うとうれしくなります。手元にあるものだと、こちらもおすすめです。

 

The Illustrated Compendium of Amazing Animal Facts by Maja Saefstroem

 

 この本については、以前に一度アップしているのですが(過去記事)、Majaさんのほんわかした、ちょっと不思議なテイストのイラストがなんともいえません。

 シリーズ2冊目が出版されていました!

 

Animals of a Bygone Era: An Illustrated Compendium

雨降り

(ずーっと雨です。散歩に行けなくて、人間も犬もうんざりです……)

 

 Courseraでペット関連のコース(The Truth About Cats and DogsAnimal Welfare)を受講しています。第3週のカリキュラムまで進みましたが、どちらのコースも内容が充実していて、とても興味深いです。映像教材に登場する農場の風景や動物にも癒されています。

 動物に関する学問といえば、これまで獣医学や畜産学、生物学といった理系の分野(Animal Science)を連想していたのですが、社会学、哲学、文化、芸術の観点から動物を研究する分野(Animal Studies)もあるんですね。動物福祉学(Animal Welfare)や動物とヒトとの関係学(Anthrozoology)といった言葉は、コースを受講していて知りました。

 動物と文学やアート、映画の関係をテーマとする分野もあるんだとか。そういえば、古典の名作のなかにも、犬や動物は頻繁に登場しています。それで検索していると、「文学のなかの動物」を時系列にまとめたインフォグラフィックを見つけました。

 

画像をクリック(参照元:www.helpucover.co.uk/)

 

 やっぱり、動物文学の古典として一番に頭に思い浮かぶのは、メルヴィルの『白鯨』でしょうか。犬の小説といえば、ジャック・ロンドンですね。「ピーターラビット」のシリーズは、よくよく考えると、子供のころに初めて読んだ「海外の動物小説」かもしれません。そうか、「プーさん」も「動物小説」なのか……。などと考えていると、大学院でアメリカ文学を研究していたとき、このテーマに出会っていればよかったと思ったりしました(ちなみに、修士論文のテーマは、ホーソーンの『紐文字』でした)。

 

 こんなのも見つけました。

 ◆The 10 Most Beloved Dogs in Literature

 

 このなかでは、「クリフォード」が好きです!

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Murder, She Barked
Free Days With George: Learning Life's Little Lessons from One Very Big Dog
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The Education of Will: A Mutual Memoir of a Woman and Her Dog
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See You in the Cosmos
Stalking Ground
 
Not a Creature Was Purring
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The Darkest Thread
The Snow Child
I Could Chew on This: And Other Poems by Dogs
You Need More Sleep: Advice from Cats
Death by Chocolate Lab