スイレン

 

 朝からセミが鳴き続ける季節になりました。我が家はすぐ横が山で、昼間はセミ、夜はカエルの大合唱……いよいよ、夏本番ですね。

 そんななか、出版翻訳関連の本をまとめて入手しました!

 こちらと、こちらです。

 

翻訳ってなんだろう

◆『翻訳ってなんだろう?』

著:鴻巣友季子

(ここは、鴻巣先生が訳された『嵐が丘』もあわせ読みしたい!)

 

◆『翻訳地獄へようこそ』

著:宮脇孝雄

(帯に「地獄で仏の実践翻訳ゼミナール」とありますが、ぴったりの表紙ですね!)

 

 分納の納期が迫っている翻訳案件もあってばたばたしていますが、毎日少しずつ読んで、例文などは自分でも訳していければなと。

 翻訳作業をしていて、「この原文にぴったりの訳語・表現はこれじゃない」という感触はあるのですが、その「ぴったり」が自分の中から出てこなくて、毎日くやしいやら、悲しいやら。訳者が違和感を感じるくらいなら、読者はもっと読みづらいはずです。どうしたらこの状態から抜け出せるのか、もんもんとしていたのですが、鴻巣先生の本にヒントがありました。

 それは、訳すとき、「日本語力や文章のセンス」うんぬんで悩むまえに、「原文を読み、原文にコミットする」ことを意識しましょうということです。あたりまえのことなんですが、これがなかなかできない。いま訳しているパートには、抽象的な表現が結構出てきます。そんな表現に対して、こちらも抽象的というか、ひねった訳語をあてたくなってしまって、日本語のほうばかりに気をとられていました。でも、著者がどういう意味でその言葉を使っているのか、そこを落ち着いて、きちんと読み取ることに集中しようと思います。

 

*********

 ふと思いついて、途中放棄したThe Feather ThiefをAudibleでダウンロードしてみました。寝る前にちょっとずつ聴いていけば、読み切れるんじゃないかと(睡眠読書にならなければいいですが…)。

 

 

 鳥本(The Feather Thief)、ネットでフライフィッシングのルアーを検索したりして、気分も盛り上がっていたのですが、リーディングのお仕事が入り(苦手なジャンルを、あえて引き受けてみたら、案の定苦戦)、読書を一旦ストップ…している間に、なんの話だったかな、状態に(汗)

 Kindleのサンプルを数章読んだだけですが、もう一度最初から読む気分になれず、また一冊「とりあえず置いておく本」が増えてしまいました…

 

 積み上げた本

 

 そのリーディングは、なんとかレジュメを完成。うれしいことに、翻訳案件のお声がけもいただきました。アート関連の本で、同じジャンルに属する作品を、これまでに3冊(1冊は文字がほとんどない作品なので、カウントしていいのか?ですが)翻訳しているので、ご縁があるジャンルなのかなと、うれしくなりました。個人的にも関わりの深いジャンルなので、できれば得意分野にしたいものです。アートがテーマの作品となると、基本ノンフィクションになると思いますが、アーティストが主人公のお話とか、『ダ・ヴィンチ・コード』のように美術品が山盛り登場するミステリーとか、フィクションもなくはないですね。

 

 得意分野と胸を張って言うには、もちろんその分野の知識が必要です。専門分野の知識を身につける方法はいろいろありますが、自分のペースで、しかもお金をかけずに学ぼうと、アレを活用することにしました。そう、「海外の無料オンラインコース」です!

 犬関係のお勉強に利用している、Courseraをチェックしてみましたが、ぴったりのコースがない…たまに利用するFutureLearnにもない…そこで、前から気になっていたKhan Academyのサイトを見ると、ちょうどいいコースがありました!ということで、早速ユーザー登録しました。

 Khan Academy、コースがとてもたくさんあって、なかには日本語のコースもあるようです。オンライン上で、無料で勉強ができる機会が増えているのは喜ばしいことですね。

 All That Ails You: The Adventures of a Canine Caregiverを読了。期待通り、Heartwarmingなお話でした。

 ケアハウスのハウスドッグ、リグリーが語り手となり、リグリーの過去や、犬としての思い、ハウスドッグとしてのプライド、そして施設で暮らすシニアたちとの交流や、それぞれの人生が語られています。号泣とまではいきませんでしたが、ホロリとさせられる場面はたくさんありました。とくに、気難しかったウォルターが、リグリーとのふれあいを通して家族に心を開いていく様子は、お約束な展開とはいえ、じわっときました。

 

 この作品を翻訳するなら、リグリーの一人称は何だろう、と考えてみました。たぶん、「ぼく」ですね。ペットの犬は、体は老いても、精神的には成熟しない(飼い主という親が一生そばにいるから)、と聞いたことがあります。食いしん坊で、散歩と遊びが大好きなリグリーは、スペンサー・クインの「チェット・シリーズ」のチェットに似ているような気がします(チェットも、翻訳版での一人称は「ぼく」)。

 大人向けフィクションで、擬人化した動物が語り手の場合、やりすぎると子どもっぽくなってしまって、読みづらくなることもあるので、言葉遣いには注意が必要。語りのトーンは、気持ち抑えめにしたほうがよさそうです。もちろん、語り手のキャラクター次第でしょうけど。

 

 心温まる犬本のあとは、こういう作品をチョイスしてみました。

 

◆The Feather Thief by Kirk Wallace Johonson

 

『羽泥棒』というタイトル通り、博物館から鳥の羽や剥製を盗み出した人物とその事件を描いたノンフィクション。若きアメリカ人フルーティストの青年が、フライタイヤー(フライフィッシング用のルアー)に魅せられ、演奏活動で訪れたイギリスで、信じられない行動に出ます。ロンドン自然史博物館に侵入し、貴重な鳥の羽のコレクションを盗み出したのです(しかも大量に!スーツケースに入れて持ち出したらしい)。この事件を知った著者が、熱心な調査をもとにまとめたのがこの作品。まさに、事実は小説より奇なり、ですね。

 

 この事件を取りあげた、ナショナルジオグラフィックの記事

 →日本語版

 →英語版

(対訳を読み比べるのは、とても勉強になります。)

 

ルリイロコンゴウインコ

 

 さて、読み切れるかどうか…。

 子どものころの愛読書といえば、加古里子さんの『海』とか『地球』でした。あのびっしり描きこまれた絵本に、本当にわくわくしたものです(「ことばのべんきょう」シリーズも大好きでした)。いまでも本棚の一員で、ふとしたときにページをめくるのですが、あのときと同じ感覚が味わえるんですよね。わたしの一部は、確実に「加古先生が彩った世界」でできているんだな、とあらためて感じています(加古先生、ありがとうございました。心から、ご冥福をお祈りいたします)。

 

 そういうわけで、イラスト図鑑には目がありません。こちらは、最近手に入れた一冊。

 

Nature Anatomy by Julia Rothman

 

 この手のイラストは好みが分かれるところだと思いますが、わたしはほっこりしていて好きです。頭から順番に読んでいくのではなく、ぱらぱらめくって、気になったページを読むのが楽しい。地球の内部、鉱物、自然現象、昆虫、野草、生き物と、「自然」にまつわるいろいろなものが紹介されています。煮詰まったときの、気分転換にぴったりです。

 いつか、こういう図鑑の翻訳もしてみたい。そのためには、もっと動物や自然に興味をもって、語彙や知識も増やさないといけませんね。

 著者のJulia Rothmanさんのインタビュー映像がありました。

 

 

パターンデザイナーとして世に出た方のようです。バスや建物のような大きなスペースに、自分のイラストが展示されるのって、どんな気分なんでしょうね。

 

 最近は、動物ものが流行っていますし、図鑑や写真集の翻訳書もたくさん出版されています。書店やAmazonで見つけてしまうと、ついつい買ってしまいそうになります。気をつけないと。

 

ムース

(ヘラジカ。鼻に愛嬌があります)

波乗り犬

(このくらい、翻訳の波に乗りたいもんです)

 

 出版翻訳のお仕事(レジュメ)を無事納品し、読みかけだった本(A Good Man with a Dog: A Game Warden's 25 Years in the Maine Woods)を本腰いれて読むぞー!とうきうきしていたのですが、いまいち波に乗れず…やっぱり、本は読もうと思ったときに読まないと、寝かしておいたらだめですね。

 リーディングした作品のテーマが結構重めで、なんともいえない読後感だったので、硬派なノンフィクションよりも、軽めのフィクションのほうがいまの気分に合っているかもしれない。そう思い、別の本を読むことにしました。

 

<今月の犬本>

 

All That Ails You: The Adventures of a Canine Caregiver by Mark J. Asher

 

 はい、表紙のわんこにやられました。出版年は2013年と古いですが、Amazon.comでも評判の高い作品です。"Sweet" "Heartwarming" "Touched"と、レビューにも好意的なコメントが多いので、期待しています。

 

<概要>

 捨て犬だったWrigleyが見つけた家族&終の棲家は、介護施設。「ハウスドッグ」としてシニアたちと交流しながら、幸せな日々を過ごしていた。ある日、気難しく、怒りっぽいWalterが入居してきて、施設の雰囲気は一変。Walterは何に対しても文句ばかりで、Wringleyのことも毛嫌いし、近づけようとしない。でもある日、施設を揺るがす大事件が起こり、WalterのWrigleyを見る目も変わっていく――。

 

 概要を読んだだけでも、"Heartwarming"な雰囲気がただよってきます。『幸せなひとりぼっち(A man called Ove)』みたいな感じ? Kindleサンプルをダウンロードして読んでみましたが、なんとなく読み切れそうな感じです。

 

 Kindleのサンプルって、たまに短すぎて内容が全然わからないときもありますが、洋書は結構長めなものが多い気がします。やっぱり、最初の数章は大事ですね。そこで「この本を、買おうかどうか」決まるわけですから。これは翻訳書も同じで、出版翻訳のクラスでも、先生が「プロローグの訳はとても大事」とおっしゃっていたなぁ…。

 盆と正月が一緒に来たよう、と言っては大げさですが、出版翻訳(リーディング)のお仕事が重なって、あたふたしていました。

 一冊はすでに納品済みですが、ノンフィクションです。自分のなかでは縁が深いジャンルで、依頼があったときは即「やらせてください!」とお返事しました。原書のボリュームがかなりのものだったので、通常とは少し違うやり方でレジュメをまとめたのですが(それでも一般的なレジュメの倍くらいの長さになりました)、とても勉強になりました。

 もう一冊はフィクションで、重いテーマの作品です。いま後半に入ったところですが、主人公への共感(同情)と反感の間で、揺れ動いています。読み切った時点で感想がどうなるのか、自分でもまだわかりません。

 

 とりあえず、リーディングも一冊は手を離れたので、(仕事以外の)本を読む余裕が少し出てきました。

 ちょっと前に手をつけてストップしていた、こちらの読書を再開したいと思います。

 

A Good Man with a Dog: A Game Warden's 25 Years in the Maine Woods by Roger Guay

 

 アメリカ・メイン州で長年「猟区管理官(Game Warden)」を務めた著者による自伝です。表紙やタイトルからもわかりますが、K9ハンドラーとしても活躍された方です。猟区管理官と聞いても、日本ではあまりなじみがありませんが、アメリカではれっきとした公職(州や自治体の)で、法に則って様々な権利を行使できる立場なんだそう。管轄領内での密猟者の取り締まりや野生動物の保護だけでなく、行方不明者の捜索や事故・事件の調査など、警察官かCSIのような役目も担っています。犯罪者を相手にする仕事でもあるので、命の危険にさらされたりも。本書では、そんな猟区管理官の仕事に就いた経緯や、職務中の出来事がつづられています。しょっぱなから、結構ピンチに陥っていたりして、ハラハラしながら読んでいます。

 

 メイン州とはちょっと違うかもしれませんが、アニマルプラネットで番組を放送している模様。

 

 

テキサス州は広いので、パトロールだけでも大変そうです。

 

山岳救助犬

(こっちは山岳救助犬)

 

カタツムリ

(ナメクジは苦手なのに、カタツムリはかわいく見えるのは、背中にしょってる貝があるから?)

 

 いつだったか、原書ハンティングをしていたときに出会って以来、ずっと気になっていた作品を読み終えました。読んだのは翻訳書のほうですが、その翻訳が「こんな風に訳したい」と思う、まさに自分がめざす訳文で、心が震えました。

 

カタツムリが食べる音

『カタツムリが食べる音』

エリザベス・トーヴァ・ベイリー:著 高見浩:訳

 

 ある日突然、難病に侵された著者と、一匹のカタツムリとの不思議な絆を描いた自伝的ノンフィクションです。ほとんど体を動かすことができない著者は、ひょんなことからベッドサイドにやってきたカタツムリの観察を通して、この世に存在するということ、生きるということを見つめなおし、ふたたび前を向いて生きる勇気を取り戻していきます。

 カタツムリは「のんびりした生き物」というイメージでしたが、この本を読むと、なんて魅力的な生き物なんだろうと驚かされます。冒険心にあふれ、行動的で、食欲旺盛(ネットで「カタツムリの食べる音」を聞いてみましたが、なんともいえない音でした)。小さな体に生命力がみなぎっている感じ。もうじき梅雨入りですが、カタツムリたちに会えるのがなんだか楽しみになってきました。

 

 翻訳は、ヘミングウェイの新訳でも知られる高見浩さん。流れるような、語りかけるような、読んでいて心地よい、とても美しい訳文です。音読してみると、その美しさがよくわかります。これをお手本にしない手はないので、原書を取り寄せて、翻訳と読み比べてみるつもりです。

 伝記や回顧録って、ノンフィクションとフィクションの中間にあるジャンルじゃないかなと。どちらに寄せるかで、作品の印象がまったくちがってくる。もちろん、原文の雰囲気や文体次第ですが、あまり「読み物」っぽく訳してしまうと、実話の重みが感じられなくなるでしょうし。著者の「生の声」を壊すことなく読者に伝えられるような、そんな翻訳ができるようになりたいと強く思いました。

 やっぱりコージー・ミステリーは読みやすい! 4日ほどでDeath by Chocolate Lab を読了しました。

 

Death by Chocolate Lab (Lucky Paws Petsitting Mystery Series) by Bethany Blake

 

 読んでいて楽しかったし、犯人も意外性があって、なかなかよくできたコージー・ミステリーでした。

 主人公のダフネは、哲学の博士号を取得しているという設定のわりに、向こう見ずというか、考えるより先に行動するタイプ。いくら姉に容疑がかけられているにしても、犯人かもしれない人物の家にひとりで乗りこんだり、夜中に出歩いたり、大事な証拠品をうっかり持って帰ったりと、もう好き勝手してます。一般市民でなんの権限もない主人公が、事件の調査と称してあちこち鼻をつっこみ、あれこれ動き回るのは、コージー・ミステリーのお約束ですけどね。

 これまたコージー・ミステリーには欠かせない「主人公のロマンス」要素もしっかり入ってました。お相手は、見るからにハンサム、でもめったに笑わない(悲しい過去が関係している)堅物の刑事、ジョナサン。ダフネの自由奔放な行動に振り回されつつ、まんざらでもない様子。ピンチになると颯爽と現れるジョナサンに、ダフネの恋人未満の男友達ディランが、俄然ライバル心を燃やす、というのも、よくある展開。

 

 謎解きという点では、疑わしい人物がどんどん増えていき、そのぶん一人一人の「怪しさ」が薄まったかなという印象も受けました。とはいえ、それぞれの人物についての結末はきちんと語られていましたし、サイドストーリーとしておもしろく読めたので、よかったと思います。

 

 何よりも満足したのは、犬たちの描かれ方! これまで読んだコージーの中で、いちばん犬が出てくる作品かもしれません。犬好きには間違いなくおすすめ。総勢6匹の犬たちが、ストーリー上でも重要な立ち回りを見せてくれます。なかでもわたしのお気に入りは、ダフネの愛犬ソクラテス。ほかの犬たちとは別格というか、キャラクター描写がほぼ人間並みです。ソクラテスにまた会いたいから、次作を読もうという気になりました!

 

 個人的には、翻訳出版されてほしいシリーズです。理由は、バランスのよさでしょうか。登場人物や伏線、サイドストーリーが多めで、ややごちゃごちゃした感じがコージーの味だと思います。この作品は、その辺のさじ加減がほどよく感じました。4作目が刊行予定らしいので、完成度、安定感なんかも気にしながら(途中でしぼむシリーズもあるので…)フォローしていきたいなと。

 

 ちなみに、コージー・ミステリーといえば最後に「レシピ」が紹介されている作品が多いですが、こちらのシリーズも作中で登場するスナックやスイーツ、そして「わんこのおやつ」のレシピがついてます!

 

Dial Meow for Murder

 

 次作は、猫ちゃんが登場するようです。

 

バセットハウンド

(バセットハウンド。哲学者の風格が漂ってますが、なにも考えてないのかも?)

 先月、読みかけて途中でギブアップした犬本(Blood on the Tracks)のリベンジにと、軽めの作品を探してみました。

 犬本、軽め、ミステリーとくれば、コージー・ミステリーしかありません!Amazon.comでも、Cozy Mysteryのサブ・カテゴリーにAnimalがあるくらい、コージーと動物の組み合わせは鉄板です。

 

 ちょっと検索しただけでも、山ほど(動物がテーマのコージー・ミステリーは、犬ものより猫もののほうが多いみたいですけど)作品が出てきたので、どれを読むか迷います。例によって、Kindleがサンプルだらけになりました。

 

 今後の読書リストがてら、気になったものをまとめました。いずれも、シリーズの第一作です。

(調べていたら、すでに翻訳書が出版されている作品が結構ありました。原題と邦題がぜんぜん違うので、気づかなかったものも。)

 

The Plot Is Murder (Mystery Bookshop Series)  by V.M. Burns

 

 主人公のサマンサは、元英語教師。夫を亡くして半年、ようやく前向きに生きようという気持ちになり、書店を開くという夫の夢と、ミステリー作家になるという自分の夢の両方を追うことに。執筆中の小説の中で、殺人事件を描こうとしていたそのとき、現実の世界でも殺人事件が起こり、サマンサが犯人だと疑われてしまいます――。

 

 犬本というほど犬が活躍する気配は、あらすじを読んでもつかめませんが、表紙にいる2匹のプードルがサマンサの愛犬として登場する模様。主人公が作家(の卵)兼書店オーナー(の予定)というところに心ひかれました。

 

 

Death by Chocolate Lab (Lucky Paws Petsitting Mystery Series) by Bethany Blake

 

 ペットシッターのダフネが主人公のシリーズ。アジリティ大会の会場で、警察犬訓練所のオーナー、スティーブが遺体となって発見される。疑いの目が向けられたのは、スティーブの元恋人で、ダフネの姉のパイパーだった。ダフネは、スティーブご自慢のチャンピオン犬アクシスが、事件以来、行方不明になっていることに気づく。パイパーにかけられた疑いを晴らし、アクシスを見つけるべく、ダフネは愛犬のソクラテス、アーティーとともに奮闘する!

 

 主人公の職業柄、犬がたくさん登場するのは間違いなさそうです(序盤だけで6匹も!)。表紙のバセットハウンドがソクラテスです。名前がソクラテスなのは、いつもなにかを思案しているような顔つきだから?と思ったら、ダフネが哲学の博士号を持っているからという絡みも。ドクターの学位を持つペットシッターとは、かなり異色(パイパーも獣医なので、ドクター姉妹ですね)。

 

 

Plantation Shudders (Cajun Country Mystery Series) by Ellen Byron

 

 アメリカ南部のプランテーション・ホテルが舞台のミステリー。主人公マギーは、いろいろあってニューヨークから故郷ルイジアナに戻ってきた。町ではフードフェスティバルが開催されていて、ホテルも宿泊客で大賑わい。そんななか、老夫婦が相次いで亡くなるという事件が起こる。死の状況に不審な点があったため、マギーと宿泊客が容疑者として疑われるはめに。ホテルの命運を左右するスキャンダルに巻き込まれたマギーは、事件を解決しようと捜査に乗り出すのだが――。

 

 と、あらすじに犬のいの字も出てきませんが、表紙を見ると、どうやらバセットハウンドが出てくるようです(コージー・ミステリーのバセットハウンド率高し!)。著者のEllen Byronとこのシリーズは、2016年、2017年と、Agatha AwardのBest Contemporary Novel部門にノミネートされているので(Agatha Award常連のLouise Penny&ガマシュ警部シリーズが立ちはだかり、惜しくも受賞ならず)、ミステリー小説としても、完成度には定評のある作品といえますね。

 

 表紙に犬やら猫やらのイラストがあるからといって、動物が活躍する話とはかぎらないのが、コージー・ミステリーのにくいところ。何度だまされた(?)ことか……でもかわいいから、ついつい目が行っちゃうんですよね。

 とりあえず、三つの作品の中では、いちばん「犬度」が高そうなDeath by Chocolate Labから手をつけました。ミステリーとして期待できそうなのは、Plantation Shuddersでしょうか?

 

チョコラブの子犬

(チョコ・ラブの子犬。かわいい!)

 出版翻訳者として、成功率(自分の訳書として出版にこぎつける確率)は低いものの、積極的に取り組みたいこと、それが「出版社への持ち込み」です。この原書を持ち込むぞ!と決めたからには、「この作品ならではの魅力」や「翻訳書を出す意義」がしっかりと出版社に伝わるような、熱い企画書を完成させなければなりません。

 渾身の企画書(レジュメ)を作成するには、原書を読み込むのはもちろんですが、ジャンルや類書を調べ、作品を相対的に評価する視点も大事。「この本いい!」とどっぷり浸っていると、見えてこないものもあります。レジュメでは、熱く、かつ冷静に、作品を語らないといけない。一歩引くって、言うは易し、なんですよね。

 

 さらに、持ち込みには大きな問題が。そもそも、持ち込みをかけようとしている原書の版権(翻訳権)が空いているのかどうか? これを探るルートは、ゼロではなさそうですが、いち個人には難しいし、時間もかかりそう。版権がすでに動いているかもしれない原書のレジュメを書いても、レジュメを書く練習にはなりますが、出版社に売り込めない。

 そこで、新しい本だけでなく、古い本もターゲットにして原書ハンティングするのがいいわけです。さすがに、出版から5年、10年経っている作品で、まだ翻訳書が出ていないなら、版権が空いている可能性は大きいので(何らかの理由で翻訳書が出版できない、しづらい理由がある本なのかもしれませんが)。テーマが普遍的だったり、時代を感じさせないものだったりと、いま読んでもおもしろいと感じる原書はたくさんありそうです。

 

 それもあって、ここしばらく、出版年のやや古い作品にも注目して、翻訳書が出版されいないかどうかをチェックしていました(もちろん、犬や動物に関する本を中心に!)。そのおかげか、ジャンル全体の雰囲気や傾向みたいなものが少しわかってきたような気がします。

 すべての原書を最後まで読むのは厳しいので、Kindleのサンプルがあるものは読みつつ、著者や作品周辺の情報を収集する、という方法で当たりをつけていたのですが、「これは面白い」「ぜひ持ち込みたい」と感じた作品は、見事に翻訳書が刊行されていました!(単純に読書量が足りなくて、すでに翻訳書がある原書に目をつけてしまっただけかもしれませんけど。)とはいえ、「自分が良いと思う本」と「出版社が出版したいと思う本」にそうズレはないらしいとわかり、ほっとしました。

 1冊の本から、芋づる式にいろんな本が見つかるのは楽しいですが、無限に積読本が増えていくのは困りものです。

 

持ち込みの世界は奥が深い

(持ち込みの世界は、奥が深い)


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