読書をする少女と犬

 

 購読していたアメリカの犬雑誌Bark Magazine、購読期間が終了してしまったのですが、ウェブサイトはときどきチェックしています。犬のアートにまつわる興味深い記事がアップされていました。

 

 ”Japan’s Artful Dogs”

 

 ワシントンD.Cのナショナル・アート・ギャラリーで開催中の展覧会「日本美術に見る動物の姿(The Life of Animals in Japanese Art)」の作品のなかでも、犬をモチーフにした作品について考察している記事です。絵画や工芸品はもちろん、埴輪があったとは! 表情がシュールで、ほんわかします。「はにわいぬ」って、響きもかわいい。グッズとかアクセサリーがあればほしいくらい。

 美術館ナビさんのサイトで、この展覧会が紹介されていました。→2019年 米国で「日本美術に見る動物の姿」展

 ぜひ日本でも巡回展を開催してほしいものです。「はにわいぬ」には、東京国立博物館やMIHO MUSEUMでも会えるみたいですが。

 

 アメリカには、犬専門の博物館もあります!

 

 American Kennel Club Museum of the Dog

 

 American Kennel Clubが所蔵する、絵画や彫刻などのアート作品や遺物、映画のポスターや写真が展示されています。以前は別の場所で運営されていたものが、2019年にニューヨークでリニューアルオープン。館内には、犬関連の本を集めた図書館もあるとか! いつか絶対に行くぞ!

 

 

 

(自分の顔とマッチ?する犬種を選んでくれるサービスがあるようですが、どんな犬種になるのかものすごく知りたい……。)

 8月8日は「世界猫の日」でした。ということで、遅まきながら、猫本(短編)を読みました。

 

◆"For He Can Creep" by Siobhan Carroll

 

 舞台は精神科の病院で、時代は古めのイメージ。病院を住まいにしている猫のJeoffryとその仲間が、悪魔に立ち向かうというお話。読もうと思ったのは、カバーイラストにひかれたから。悪魔の表情と、猫のポーズを見て、どんな話なんだろうと思って読みはじめました。ちなみに、悪魔が読んでいるのは犹蹲瓠Jeoffryお気に入り(?)の患者である詩人が、ある日、悪魔に自分を賛美する詩を書くよう強要されます。魂ともいえる詩を悪魔に捧げるという、まさに「悪魔の契約」をした詩人を救う(単純に、自分のシマで大きな顔をする悪魔が気に入らないという理由もある)ために、Jeoffyたちは悪魔とバトルを繰り広げるわけです。

 カバーイラストは、Red Nose Studioという3Dイラスト作家さんの作品。椅子の作り込んだところとか(ひじ掛けがドクロっていうのがまたいい)、悪魔の衣装とか、全部ツボにはまりました。ストップ・モーションのアニメ作品も制作されています。どの作品も独特の雰囲気があって、すごく素敵。

 

 この短編、18世紀イギリスの詩人Christopher Smartの詩'Jeoffry'がモチーフになっているんだとか(最後に、その詩が引用されています)。JeoffryはSmartの愛猫で、詩を書いちゃうくらいかわいがっていたようです。調べてみると、Smartは精神に異常をきたして精神科病院に入院していた時期がありました。なので、犹躾有瓩箸いΔ里Smartがモデルなのかも。Jeoffryをはじめとする猫たちにもそれぞれ個性があって、悪魔もどこかユーモラスで、小粒だけど読み応えのある作品でした。著者は続きを書いているらしいので、期待したいところ。

 

 そしてなんと、この短編、無料で読めます!(スクリーン上では読みづらかったので、わたしはkindle版を購入しました。)SFやファンタジー専門の出版社TOR BOOKSのウェブサイトで公開中。Tor.comではいろんな作家のオリジナル短編が掲載されていて、洋書の多読をしたい人にはお宝の山です!(ジャンル限定ですが)検索したところ、犬がテーマの作品もかなりあったので、これは読むのが楽しみ(もとい大変)だ……。

 

猫の目

(積読が増えたにゃー)

 

 最近、翻訳ものの短編集をよく読むようになったのですが、原文で短編を読んでみて、翻訳するのはかなり大変だと感じました。短編は、言葉ひとつひとつの密度が濃いというか、長編よりむしろ意味が取りづらいんじゃないかと。でも短編集、訳してみたい。

本と花とお茶

 

 基本的に、犬とか動物が出てくる本がいちばん好きなのですが、同じくらい好きなのが、本がテーマの本です。この秋公開の『ガーンジー島の読書会の秘密』のチケットが当たった(!)ので(地元の映画館で上映されるのか?なのですが)、読書会とか、書店とか、図書館とか、本にまつわる本が読みたい気分が一気に高まりました。

 

 こんな読書リストも見つけてしまったので、もう読むしかない!

★The Most Popular Books About Books for Avid Readers(Bookdepository)→本の本リスト

 

 

 まずは、映画の原作のこちらから読みました。

 

The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society

by Mary Ann Shaffer, Annie Barrows

 

 読み終わった瞬間、本当に読んでよかった! と思いました。もう、一生の宝物になりそうな作品です。全編が書簡体で書かれているのですが、登場人物の声が聞こえてきそう(Audibleで聴き読みしたので、よけいに。すばらしいキャスティング&パフォーマンスでした)なくらい、それぞれの手紙から人物像が立ちのぼってきて、物語の世界にぐっとひきこまれました。

 

 第二次世界大戦後の混乱の時期を、軽やかに、誠実に生きる人たちの日々が描かれています。ガーンジー島は、戦時中、ナチス・ドイツ軍に占領されていたという過去があり(ガーンジー島は自治権のあるイギリス王室属領なので、イギリスには含まれていないというのも、この作品を読んで知りました)、手紙にも悲しい出来事がたくさんつづられています。そんな時期に、人々の心の支えになったのが読書会だったというわけです。どの登場人物にも愛着がわきましたが、とりわけ、主人公のジュリエットがチャーミング。最後のジュリエットの決断というか行動には、「そうきたか! でも、ジュリエットらしい!」と驚きつつも納得。ジュリエットと一緒に泣いて、笑って、読み終わったときは、すっかり友達になったような気分でした(読書でここまで感情移入したのは、『あしながおじさん』とか『若草物語』以来というくらい、久しぶりのことです)。

 残念ながら翻訳書は絶版のようで、図書館で借りて読みました。映画のほうは、原作とはまったく同じ筋書きでは進まないようですが、動くジュリエットやドーシーをスクリーンで観る日が楽しみです。

 

 この流れで、猖椶遼椨疇表颪鯊海韻討い泙后F韻犬書簡体で書かれていて、第二次世界大戦後の話で、映画化されているこちらの作品も読みました。

 

◆『チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本』

ヘレーン・ハンフ:編集、江藤 淳:翻訳

 

 説明不要なくらい有名な作品ですが、きちんと読んだのは初めてでした。アメリカ人の本好き女性ヘレーンと、彼女の海を越えた注文をきっかけに交流を続けることになる、イギリスの古書店員フランク。ヘレーンの辛辣かつ愛のこもった物言いに、なんど吹きだしたことか。当時のアメリカやイギリスの文化に触れることもできます。物資不足のイギリスに、アメリカからせっせと食べ物を送る……というくだりは、とても興味深かったです。乾燥卵なるものがあるとは知りませんでした。続編もあるようなので、次はそちらを(原書で読めるといいのですが……)。夏の間に、映画は絶対観るぞ!

 

 

 そして、今読んでいるのはこちらの作品。

 

『図書館司書と不死の猫』 

リン・トラス:著、玉木 亨:訳

 

 これって、倏本瓩砲覆襪鵑世蹐Δ?

 

 気づいたら、6月は記事を一度もアップしないまま、7月も後半へ……。いろいろと同時進行で、あっという間に時間が過ぎていきます。お盆まで、少々綱渡りなスケジュールで進めないといけないので、まったく気が抜けません。仕事の合間と、寝る前に本を読むのが、ここのところ唯一の楽しみです。オーディオブックなら電気消しても本が読める!と思い、寝る前読書にAudible、をやってみたのですが、寝落ちしてしまってダメでした……。

 

 そうこうしている間にも、積読本の山がちゃくちゃくと築かれていきます。ほんとうに、毎日膨大な数の本が出版されているので、まともにフォローしていると、おかしくなりそうです。出版翻訳という仕事をするうえで、本をたくさん読むことはもちろん大切なのですが、最近読書が(夏だけに?)サーフィンみたいになってる気がします。波がきたら乗って、おりて、また次の波がきたら、乗って……という感じ。それでも、心に残る作品はずっと残りますが、1冊の本をじっくり読むことで得られる何かを、逃してしまっている気がします。波の向こうにある、穏やかな海をゆっくり漂う、そんな読書が好きなんですよね、本当は。

 

 新刊の波にもまれて消えていく作品が多いなか、何年もコンスタントに売れ続け、時間をかけて重版になる作品もあります(最近、そういう話をよく聞きます)。一度読んで終わりではなく、繰り返し読みたくなる作品、そういう作品と出会えれば、5冊、10冊分の価値があるでしょうし、そんな作品を訳せたらいいなあ。

 

 もっと意識して、古い作品に目を向けてみよう。

 

波に立ち向かう犬

(波に乗るのもいいですが、越えればその向こうに新たな世界が待っている……かも?)

 いろいろ重なって、なかなか進まなかった作品をようやく読みおわりました(Audible×Kindleで読了)。

 

Daughters of the Lake  by Wendy Webb

 

<概要>

 ケイトは、夫の浮気が原因で離婚を決意し、実家に身を寄せていた。傷ついた心を癒し、前に進むために、仕事も辞め、しばらくのんびりするつもりだった。ケイトはしばらく前から、不思議な夢を見るようになっていた。夢の中では、ケイトはアディという名の女性で、その体を通して体験するアディの感情や人生は、夢とは思えないほど生々しいものだった。

 そんなある日、実家の前の湖で、女性の遺体が発見される。様子を見に行ったケイトは、思わず目を疑った。なんとそれは、あの夢の女性、アディそのものだったのだ。ケイトが調べていくうちに、アディとケイトは過去でつながっていることがわかる。実業家であったケイトの曾祖父の邸宅で、アディの写真が見つかったのだ。アディの遺体は、100年という時を経て、湖岸に打ち寄せられたことになる。そんなことが、現実にあり得るだろうか? 

 ケイトの夢の世界では、アディが最期の日を迎えようとしていた。なぜ、アディは命を落としたのか? 夢を通して過去へとタイムスリップするケイトが解き明かしたのは、遠い昔に隠された、驚くべき秘密と悲劇だった……。

 

<感想>

 夢の世界、過去の亡霊など、ゴシックロマンスな雰囲気のフィクション。タイトルの犖个量次daughter of the lake)瓩蓮△つて湖の精に愛され、妻となった人間の女性から生まれた娘のことで、この神話のような話もストーリーに深く関係しています。アディの時代が18世紀初頭で、歴史小説の雰囲気も味わえますし、謎解きもあるので、ミステリーとしても読めます。ということで、いろんな読み方ができる作品なのですが、それだけに、ちょっとパンチが弱いかなという印象を受けました。

 Amazon.comではかなりの数のレビューがついていて、星平均4.5という高評価。全体的にはよくまとまっていて、とても読みやすく、作品としての完成度は高いと思います。ただ、表紙のインパクトのせいか、もっとおどろおどろしいストーリーを想像していたので、そこまでじゃなかった爐っかり感瓩ぬぐえない。ミステリーとしても、謎にからんだ割と重要なポイントに途中でピンときてしまいましたし、スリラーとしても、背筋が凍るほどでもなかったので……。もっとダークなものが読みたかった気分のときに読んでしまったのが、よくなかったのかもしれません。

 

 あと、Audibleのナレーター、キャラクターの演じ分けもとてもスムーズで、声の感じもこの作品の雰囲気に合っていたのですが、ちょっと芝居がかりすぎ?というのか、間の取り方とか抑揚とかが、ときどき気になりました。こうなると、好みの問題ですね。Audibleを聴けば聴くほど、もっといろんなナレーターの、いろんな作品を聴いてみたくなります(すっかりはまっています)。

 

スペリオル湖

(舞台となる、五大湖最大の湖、スペリオル湖。ここまで大きいと、もう海ですね……)

 勉強仲間と一緒に、著作権が切れた大昔の(だいたい100年くらい前の)作品を訳して冊子を作る、という企画を進めています。あくまで内輪で楽しむための同人誌ですが、訳文を形にするという体験をするのも勉強かなと。なんでも好きな短編を選んで訳すというコンセプトにしたのですが、集まった作品は、絵本あり児童書ありゴシックロマンスありの、バラエティに富んだラインアップになりました。この作品たちが1冊の本になった姿を見るのが、いまから楽しみです(しかし、同人誌のタイトルをどうするか……)。

 

 わたしは、『砂の妖精』で知られるイーディス・ネズビットの作品をチョイス。「猫と犬」のお話をまとめた短篇集から2篇と、怪綺談の短編集から1篇訳しています。児童文学×ホラーというのは、ヴィクトリア朝の女性作家によくある組み合わせのようです。でも昔の児童文学って妙に残酷だったりするので(これでもかと不幸がおそってきたり、結構バイオレンスなシーンがさらっと描かれていたり)、よくよく考えると自然な組み合わせなのかも? いっときエドガー・アラン・ポーとか好きでよく読んでいたのですが、またゴシック熱が再発しそうです。

(『砂の妖精』に登場する妖精のサミアドも、たいがい怖い……子どもが泣きそうなレベル→サミアド

 

 だいたい訳し終わって、お互いの原稿にチェックを入れている段階なのですが、自分ではまったく気づかなかったミスの指摘や、この表現だとわかりづらい、曖昧に感じるといった読者目線のコメントなど、とても勉強になります。完全に第三者の目で訳文を読んでもらい、フィードバックを受ける機会というのは、そうそうありませんしね。他人の訳文をチェックするのも、自分だったらこう訳すかな、とか、この表現は自分の引き出しになかったな、とか、気づきが満載です。

 

 なにより楽しいのは、自分の選んだ作品を訳すということ。実際の出版翻訳では、ご依頼あっての仕事なので、基本的に好きな作品を選べるわけではありません。自分がこれぞと思った作品が訳せるなら、訳者冥利につきます。原書ハンティングと企画の持ち込みをもっと頑張ろうと、気持ちを新たにしました。

 

creepy

(怖い話を怖く訳すのは、本当に難しいです……)

 イギリスの湿地帯が舞台の、ダークなクライム・サスペンス。一気読み&聴きしてしまいました。

 

Their Lost Daughters  by Joy Ellis

 

 イングランド東部リンカンシャーの人気のない湿地で、意識朦朧となった少女が保護され、少し離れた海岸では別の少女の遺体が見つかる。この地域では、10年前にも少女が行方不明になるという事件が起きていた。Jackman警部率いる犯罪捜査課が捜査を進めるうちに、背後に少女をターゲットにした違法パーティーの存在が浮かびあがってくる。Jackmanたち捜査官はおとり捜査なども試みるが、なかなかパーティーの首謀者を特定することができない。保護された少女の話では、ほかにも「連れていかれた」少女がいるという。その少女はどこにいるのか? 生きているのか? 焦るJackmanたちを待ち受けていたのは、目を疑うようなおぞましい光景と、暗い欲望、そして悲しい過去だった……。

 

 Audible版のナレーター、俳優のRichard Armitageの声がとにかく渋くて、聞きほれてしまいました(ひとりですべてのキャラクターを演じています。さすがに少女の声は、ちょっと厳しいものが…)。ほかにもいろんなAudible作品のナレーションを担当していて、そのなかにちょうど読みたいと思っていた作品もあったので、次はそれを聴きたいと思います。

 

 作品自体は、星4.5はつけたいくらい秀逸なサスペンスでした。主人公Jackmanと、Evansをはじめとする部下の刑事たちのキャラクターもしっかりしていて、このままドラマ化できそうな感じ。内容はかなりダークで、サイコ・サスペンス寄りでしょうか。凄惨な描写はほとんどないのですが、Evilという言葉がしっくりくるような、人間の心の闇や邪悪さがテーマになっています。ラストもそうきたか、という意外性があって(まさかこの人たちがそういう関係だったとは…という、けっこう力業?なもっていき方)、完成度の高い作品でした。

 著者のJoy Ellisは、この作品ではじめて知った作家なのですが、直接会って話をしたRichard Armitageいわく「アガサ・クリスティを彷彿とさせる、物静かでシャイな老婦人で、こんなダークなストーリーを想像したとは思えない」(Audibleのインタビューより)ような方だとか(あ、でも、アガサ・クリスティみたいな人なら、ダークな話を書いても不思議ではないですね)。Jackman&Evansシリーズは第4作まで出ていて、今後フォローが楽しみなシリーズです。

 

 読んで(聴いて)いて苦労したのは、イギリスのスラング。アメリカの刑事ミステリーなどではなじみのない表現が多くて、かなり戸惑いました。「Wilco(will comply = yes)」とか、いろんな略語とか。最後まで読んで気づいたのですが、巻の最後に「(アメリカの読者向け)用語集」がついてました! この作品だけじゃなく、イギリスもののサスペンスやミステリーを読むときに、とても参考になりそうです。

 

夕日

イギリスの町

 

 海外のミステリードラマ、とくにイギリスや北欧などヨーロッパが舞台のものが好きで(『CSI』とか、コテコテのアメリカドラマも結構好きですが)、最近はドラマといったらそっち系しか観ていないほど。個人的にツボな設定があって、「ヨーロッパの小さな町で次々と事件が起こり、住民の誰かが犯人だと思われるのだが、みんな怪しい行動をはじめて、全員が容疑者に見えてくる……」みたいな設定。まあ、よくある設定ですね。探偵役の主人公が中高年、登場人物も平均年齢高めであれば、さらにツボです。

 要は、落ち着いて観られるミステリー(サスペンス)ドラマが好き、ということなんですが、アメリカのドラマにありがちな「ガラス張りのオフィス」で「最先端のテクノロジー」を駆使して事件を解決、とかよりも、「足を運んで地道に聞き込み」してピースをはめていくような展開のほうが、わたしはしっくりきます。古いものが好きなので、舞台背景も石畳とか教会とか、古びた雰囲気の街並みにひかれるのかもしれません(時代設定はあくまで現代、というところがポイント)。

 

 映画と同じく、ドラマにも原作があったりしますが、海外ドラマの原作(原書・翻訳書を問わず)でまともに読んだことがあるものといえば、ホームズとかポアロ、ミス・マープルくらいでしょうか。あの『BONES』とか『リゾーリ&アイルズ』にも原作があったとは、最近まで知りませんでした。

 リーディングのお仕事でも、映像化に向いていそうな作品(実際、映像化が決まっている作品)の依頼が来ることもあります。映像化されると原作も話題になる(話題にできる)ので、出版社としても売りやすいのは間違いありません。ネット配信など、ドラマの放映チャンスが増えている時代ですから、フィクションのレジュメを作成するときは、そういう映像化の部分を意識するのも大事になってきそうです。もちろんノンフィクションでも、いま流行のジャンルとなっているTrue Crime(犯罪ドキュメンタリー)などは、ドラマの原作・原案になることもあるようです。

 

 こちらはTVドラマからいわゆるノベライズした作品。ドラマ→小説と逆パターンですが、読みたくなりました。主演のひとり、オリビア・コールマンはいまや堂々たるオスカー女優。

 

Broadchurch  by Erin kelly

 

(このドラマの音楽を担当したのが、アイスランドのポストクラシカルの作曲家、オーラヴル・アルナルズ。サウンド・トラックは秀逸の一言につきます。)

 

 ↑も気になるのですが、この連休中に読みたい&聴きたいと思っているのがこちら。

 

Their Lost Daughters  by Joy Ellis

 

 イングランド東部リンカンシャーの人里離れた湿地帯で、朦朧状態でさまよっていた少女が保護され、そこから少し離れた海岸で、今度は少女の遺体が見つかる。過去の少女行方不明事件との関連も疑われ、ジャックマンとエヴァンスという警部&刑事コンビが事件の謎に迫る……という、クライム・ミステリー。シリーズもので、オーディブル版のナレーションをつとめているのが俳優のRichard Armitage。オフィシャル・トレーラーを観ると、読むまえから「ドラマ化してほしい」と思わせてくれる雰囲気です。

 

 

 この連休は読書三昧の予定なので、まずはこちらから楽しみたいと思います。

猫と犬

 

 アメリカのミステリー雑誌『Mystery Scene』の159号(最新号)で、「犯罪小説に登場する犬」の特集が組まれていたので、思わずデジタル版を購読してしまいました。記事は数ページでしたが、なかなか読みごたえがありました。なかには既読の作品も。

 

◆Killing Trail: A Timber Creek K9 Mystery by Margaret Mizushima

感想はこちら→K9ユニットもの海外ミステリー "Killing Trail"

 

 コロラド州ティンバークリークを舞台に繰り広げられる、マッティ&ロボのK9ユニット・シリーズ。こちらのシリーズは、派手なツイストや血も凍るようなスリリングな展開はないけれども、安定感があって読みやすいです。マッティの相棒ロボ(ジャーマン・シェパード)以外にも、わんこがいっぱい登場します。準主役のコールが獣医なのですが、著者マーガレットさんのご主人が獣医のせいか、コールの診察のシーンなどは描写がとてもリアルです。

 第3作まで読んでみて、各キャラクターの人物像がだいぶ定着してきました(現在、シリーズは第4作まで刊行)。マッティの職場(警察署というか、保安官事務所?)が、あの『ツイン・ピークス』に出てくる保安官事務所に似ているような? 受け付けに「ルーシー」みたいなキャラもいたりします。

 

***

 

 この特集で、ほかに紹介されていた作品も、やっぱりK9ものとか、主人公が警察関連の作品がほとんどでした。ミステリー専門雑誌で犬が登場する作品となると、どうしてもそうなるんでしょうか? もうちょっと変わり種の作品も紹介してほしかった気もします。ミステリー×動物、といえばコージー・ミステリーですが、そっち系はあまり取りあげられていませんでした。

 

 ちなみに『Mystery Scene』、デジタル版が1冊700円くらいだったのですが、記事が盛りだくさんで、読み切れるのか?というほど内容が詰まっています。最初、年間購読しようかと思ったのですが、この1冊でとうぶん楽しめそう。とにかくミステリー小説だらけの雑誌なので、積読本がエンドレスに増えてしまいますね……。

 クロスジャンルなコンテンポラリー・フィクションを読了。犬もちょこっとだけ出てきます。

 

Where the Forest Meets the Stars  by Glendy Vanderah

 

 主人公のジョアナは、博士課程で鳥類学を研究する、20代半ばの大学院生。幼い頃に父親を、そして最近母親をガンで亡くし、自身も同じ病で数年間、闘病していた。大きな手術を乗り越えたジョアナは、研究の遅れと、自身の人生を取り戻そうと、夏の間、大学が管理する田舎のコテージでひとり暮らしをはじめる。早朝から夕方まで鳥たちを観察し、データを集める日々を送っていたある日、ひとりの少女が姿を現す。「アーサ・メジャー」(Ursa Major=おおぐま座)と名乗った少女は、自分は遠い星からやってきたエイリアンで、「5つの奇跡」を見るまでは星に帰らないという。こうして、ジョアナと不思議な少女は出会い、ひと夏を共に過ごすことになるのだが……。

 

 宇宙からやってきた少女という、SFかファンタジーのような設定で、この物語はいったいどこに行くのだろうと、奇妙な感覚をおぼえながら読み進めました。心身ともに傷ついたジョアナの内面が中心に描かれているのですが、そこにアーサの謎と、同じくアーサと深くかかわることになる、コテージの隣人ゲイブのエピソードが絡んできます。ジョアナの人生に突然現れた「エイリアン」、アーサとは何者なのか? 終盤は完全にサスペンスな展開で、ミステリー、マジックリアリズム、ロマンスと、クロスジャンルな味わいのある作品でした。

 以前、似た雰囲気の作品を読んだことを思い出しました。

 

The Snow Child  by Eowyn Ivey

以前の記事→白銀のアラスカに現れた少女 "The Snow Child"

 

 こちらも、ある日不思議な少女が姿を現す、というストーリー。主人公が夫婦ですし、時代設定など背景はまったく異なりますが、少女の謎が明らかになっていくところや、主人公とのかかわり方などに共通点を感じました。

 

 コンテンポラリー・フィクションは、作品によってはあまりに「現実的」すぎて、読書で非日常体験をしたい気分のときは敬遠してしまうのですが、この作品はかなりファンタジックなので、最後までぐいぐいページが進みました。オーディオブック併用だったのですが、わりと淡々とした声の女性ナレーターで、抑えた語り口が作品にマッチしていてよかったです。あまり仰々しい演技だと、この作品の世界に入っていけなかったと思います。ただ、低い男性の声色にやや違和感が……こればっかりは仕方がないのかもしれません(男性ナレーターが女性を演じるほうが、違和感が少ない気もします)。

 

森と星


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