アイリッシュウフルハウンド

(左がアイリッシュ・ウルフハウンド)

 

 児童書の「犬本」を読みました。

 

The Poet's Dog  by Patricia MacLachlan

 

 吹雪にあい、迷子になってしまった少年ニッケルと、その妹のフローラ。そんなふたりを助けてくれたのが、人間の言葉を話す犬、テディでした。テディは、ふたりを森の一軒家へと連れていきます。その家で、テディはひとりで暮らしていました。雪に閉ざされた家の中で、助けが来るまでをのりきろうと、ふたりと一匹は力をあわせ、心も通わせていきます。

 なぜテディは人間の言葉を話せるのか。テディの飼い主は詩人というのですが、どうしていまはひとりぼっちなのか。少しずつ語られるテディの過去は、あたたかくも、悲しい物語でした。

 

  原書で100ページほどの短いお話ですが、言葉づかいがとても美しく、心にしみじみと響いてきます。子どもと犬という小さな存在が、身を寄せあい、厳しい状況のなかでもユーモアを忘れずにいる姿にじーんときました。テディという犬の言葉で語られるストーリーは、大人や人間が語り手の作品にはない、不思議な魅力があります(犬好きなら、ますます)。物語のなかでは、テディの言葉は「詩人」と「子ども」にしかわからない、とあるのですが、子どもは誰もが詩人で、子どもの心を持っているのが詩人。ふと、そんなことが頭に浮かびました。

 

 本作の翻訳書が刊行されています。

 

テディが宝石を見つけるまで

『テディが宝石を見つけるまで』

パトリシア・マクラクラン:著 こだまともこ:訳

 

 タイトルの「宝石(Jewel)」という言葉には、実はテディ自身も知らなかったような、大きな意味が隠されています。それがわかったときは、涙がこぼれそうになりました。

 

 テディは「アイリッシュ・ウルフハウンド」。体高が100センチ近くもある、ひじょうに大きな犬です。でも性格は穏やかで、家庭でもじゅうぶん飼える犬だそうです(運動量や食事の量を考えると、そう簡単に飼えないでしょうけど)。大きな犬は大好きで、なかでもアイリッシュ・ウルフハウンドはあこがれの犬。日本ではほとんど飼われていないようですが、いつかどこかで会ってみたい……。

雁の群れ

 

 大好きな作品の続編を読みました。

 

"The Wild Robot Escapes" by Peter Brown

 

 第1作はこちら。翻訳書も刊行されています)。

 

"The Wild Robot" by Peter Brown

 

野生のロボット

『野生のロボット』 

ピーター・ブラウン:著 前沢明枝:訳

 

 無人島に流れ着いたロボットが、生存本能を発揮(発動?)して、自然のなかで生き抜くため、「野生のロボット」へと成長していくという、とても風変わりな、でもとても心温まるお話です。ロボットのロズは、ひょんなことで赤ちゃんガンのママになるのですが、それをきっかけに、ロズを警戒していた野生動物たちも心を開き、互いに助け合うように。そうしてなかよく楽しく暮らしていたロズたちですが、1作目の最後で、思わぬ事態が発生し……。

 ロズやロズの息子(りっぱなガンに成長)、動物たちがどうなったのか、それがどうしても知りたくて、次作を手にとりました。オーディオブックと併読したのですが、オーディオブックがもう最高で、聴き終わるのがおしいくらいでした。ナレーションはもちろんですが、効果音やテーマ曲もすばらしく、子どもが聴いたらわくわくすること間違いなし。一度聴いただけではもったいないので、もういっぺん通り、寝る前に少しずつ聴いていこうと思います。

 

 ロボットが主人公の話は、ともすれば、テクノロジーvs自然、みたいな構図になりがちですが、ロズと動物たちはお互いを認めあい、一緒に生きる道を選びます。"The Wild Robot Escapes"では、ロズと人間、社会とのかかわりが多く語られているのですが、ロズは持ち前の「学習能力」と「適応力」で、新しい環境でも奮闘します。でもロズは、人間のために働くことを目的に作られはいても、本当の自分は「野生のロボット」。自分らしく生きるには、といったロズの心(ロボットではありますが)の葛藤も描かれています。いろんなテーマに通じる、なにげに深い作品です。子どもだけでなく、大人も読むべき本じゃないかと強く感じました。

 

 とにかく、ロズがチャーミング。こんな素敵でやさしいキャラクターを生み出せるなんて、著者のお人柄なんでしょうか。洋書で読書会をする機会があったら、いちばんに選びたい作品です。

 首・腰が痛くなったバックストラップ織を断念して、いつものインクレットルームで(いつもの)しおり制作。グレーの地の糸に、紺&紫のパターン糸を使いました。織り方はバルティック・スタイルです。

 

紫の花模様

 

 ↓のいちばん右は、すみれ?あやめ?とにかく、紫色の花のつもりだったのですが、どうでしょう?

せっかく2色使いにしたのに、あまり色味の差が出てませんね……。

 

紫の花模様

 

 真ん中は、とあるバンド織りの本に載っていたパターンで、「壺」っぽくておもしろい模様だなと思い、織ってみました。ほかにも、「うちでの小づち」みたいな模様もありました(エストニアの本なので、うちでの小づちではないでしょうけど)。

 

紫の花模様

 

 横から見ると、模様が凸になって、ふっくらして見えます。

 

 インクレットルームは小さい機ですが、ペグ(糸を掛ける杭)をすべて使ってジグザグに糸を掛けると、結構長いバンドも織れます。といっても、いろんな模様が織ってみたいと、短いしおり(サンプラー)ばっかり織ってしまうのですが。

 

 次は春らしく、明るい色の糸を使ってみましょうかね。

 思い立って、かなり久しぶりにバックストラップ織りでバンドを織りました。

 

バックストラップ織り

 

 左が表側、右が裏側なのですが、裏側のほうがかわいく見えます。パターン糸13本のバルティック・スタイルで、STOORSTÅLKAさんのSunnaへドルを使いました。で、仕上がりなのですが、思い通りには織れませんでした……。

 

 バックストラップ織りは、経糸の端をどこかに固定し、もう一方の端を自分とつなげる(腰にひもか何かを回し、そこに経糸を結びつける)ことになります。腰で引っ張るようにして経糸をピンと張り、テンションを調整。片手でへドルを上下させて経糸を開き、シャトル(杼)を差し込み、自分に向かって打ちつけるようにしてバンドを織っていきます。背筋を立てつつ、目線は下向きになるという、首痛・腰痛もちにはかなりきつい姿勢です。なんだか気分が悪くなり、途中でギブアップしました。

 

 仕上がったバンドは、幅が均一にならず、どんどん太くなってしまいました(わたしの場合、インクルルームで織ると、織るにつれて幅が細くなっていく傾向があるのですが)。バックストラップ織りの場合、ヘドルのバランス取りや、経糸のテンションかけなど、すべて経糸をと結んだ自分の体で行うことになるので、きれいに織るためには、何度も織って練習して、自分なりの力加減とリズムをつかまないといけません。が、そこまで到達できそうにない……痛くて(涙)。

 経糸を固定する場所や高さにも問題がありそうです。部屋の中にちょうどいい場所って、案外ないもんですね(机にGクランプを装着して、そこに結びつけました)。手近なのは、ドアノブとかテーブルの脚ですが、それも部屋のレイアウト次第では使えませんし。インクルルームは机の上に置けばOKなので、織る前にセッティングや場所探しで悩むこともありません。

 バックストラップ織りも、インクルルーム織りも、途中で手を止めて休憩することはもちろんできるのですが、個人的にはインクルルームのほうが中断→再開がぱぱっとできて便利な気がします(席を立つだけでいいので)。

 

 今回、どうしてもへドルを使いたかったのでバックストラップ織りにしたのですが、どうもわたしはバックストラップ織りに向いてないみたいです。インクルルームにへドルをかけるというやり方もあるので、今度試してみようと思います。

 鳥の羽がテーマのノンフィクション。

 

The Feather Thief by Kirk Wallace Johnson

 

 "The Feather Thief(羽泥棒)"というタイトルに、「羽を盗むってどういうこと?」と興味をひかれて読み始めました。エドウィン・リストという将来有望なアメリカ人の若きフルート奏者が、子どものころから趣味でやっていたフライタイヤー(フライフィッシング用のルアー)作りに取りつかれてしまい、信じられない行動に出ます。アーティスティックなフライタイヤーを作るため、美しい鳥の羽をどうしても手に入れたいと、ロンドン自然史博物館に侵入し、貴重なコレクションを盗み出したのです。300羽近くもの、大量の剥製をです! この事件を知った著者が、熱心な調査をもとにまとめたのがこの作品。まさに、事実は小説より奇なり、ですね。

 

 盗んだのが博物館の所蔵品ですから、当然、歴史的・科学的価値があります。コレクションがいかにして集められたかを明らかにするため、鳥の羽がいかに人々を魅了してきたか、文化や歴史、博物学者やコレクターの生涯といった「鳥の羽」にまつわるエピソードも紹介されています。極楽鳥(フウチョウ)やカザリドリなど、南国の美しい鳥の羽は、古くは女性用の帽子飾りとして、ヨーロッパで熱狂的な人気があったそうです。高値で取引されるため、危険を冒してでも標本を採りにジャングルへと旅立つ冒険家も多く、乱獲のせいで、絶滅の危機に瀕した鳥も……。

 

 著者はふとしたきっかけで事件のことを知り、それこそ取りつかれたように何年も調査と取材を続け、ついにはリスト本人にインタビューするところまでこぎつけます。犯行の様子や犯行後の行動、後日談など、リストの視点で臨場感たっぷりに描かれているのも、著者がリスト本人と直接(何時間も)話をしたからこそ。警察の捜査や博物館員の思い、フライタイヤ―界の反応などもサイトストーリー的に盛り込みつつ、事件はその後、意外な結末を迎えるのですが……と、クライム・ノベルを読んでいるようなドキドキ感もありました。読み物としてもじゅうぶん楽しめる一冊です。

 

 この事件を取りあげた、ナショナルジオグラフィックの記事がありました。

 →日本語版

 →英語版

 

 鳥の名前や学名など、専門用語もたくさん出てくるので苦労しますが、オーディオブック併用でなんとか読み進めています。なじみのない単語も、発音を聞くととっつきやすくなりますね。

 

ルリイロコンゴウインコ

(フライタイヤ―には、こういうきれいな鳥の羽を使うんでしょうか?)

 

 寒い場所が舞台の本を読んだので、インクルルームで本に合わせたしおりを織りました。

 

雪の結晶

 

 雪の結晶をイメージして、図面を考案してみました。バルティック・スタイル、パターン糸は11本です。

 

雪の結晶

 

 縦に見るとより結晶っぽく見えるでしょうか。

 

雪の結晶

 

 雪なので、パターン糸を白にしたものも織りましたが、こちらは地の糸とパターン糸のバランスがいまいちで、かなり間延びしてしまいました。

 ついでに、余った部分で別の模様も織ってみました。

 

バンド織りしおり

 

 白地に水色のほうが、やさしい雰囲気で気に入りました。

 最近、Excelでバンド織りの図案を制作しています。データとして残るし、コピペや書き直しもできて便利です。

 

 ちなみに読んだ本はこちら。

 

雪のひとひら

『雪のひとひら』 ポール・ギャリコ:著 矢川澄子:訳

 

フローラ

『フローラ』 エミリー・バー:著 三辺律子:訳

 

『雪のひとひら』は、言葉づかいがとても美しく、読むと心が洗われる、そんな作品でした。ひとひらの雪というはかない存在が、多くのことを教えてくれます。折にふれて読み続けていきたい。宝物の本になりました。


『フローラ』は、主人公のフローラ(表紙の女の子)がはちゃめちゃなんだけれど、愛おしいんです。フローラがんばれ!と応援しながら読んでました。感性の鋭さやみずみずしさといった、YA小説のいいところがぎゅっと詰まっています。

 どちらも冬の読書にぴったりな作品です。

 最近、オーディオブックにはまっています。洋書は「聴きながら読む」スタイルが定着しつつあるのですが、そのきっかけとなったのがこちらの作品。

 

◆Sadie by Courtney Summers

 

 犬も動物もまったく出てこない本ですが、検索でひっかかって妙に読みたくなり、オーディオブックをダウンロード。一気に読んで(聴いて)しまいました。

 セイディという、10代後半の少女が主人公。父親が誰かも知らず、母親は薬物中毒という、家庭に恵まれなかったセイディは、年の離れた妹マッティを親代わりに育てることが生きがいでした。でも、そのマッティが何者かに殺されてしまい……。犯人を見つけ、自ら裁きを下そうと心に決めたセイディは、ひとり町を離れます。

 一方、ニューヨークの放送局のプロデューサー、ウェストは、事件とセイディのことを知り、追跡調査を開始。セイディの足跡を追い、出会った人たちにインタビューし、リアルストーリーとしてポッドキャスト番組にまとめて放送していきます。果たして、ウェストはセイディを見つけることができるのか……。と、セイディとウェストの視点が交錯しながらストーリーが展開。ジャンルとしては、YAミステリーといったらいいのでしょうか。

 

 唯一心の支えだった妹を亡くし、ひとり犯人を追うセイディは、もろいナイフのよう。自ら危険に飛び込んでいき、出会った相手を、そして自分をも傷つけてしまう。物語が進むにつれ、セイディがなぜ犯人を追うのか(もちろんマッティのためでもありますが)、本当の理由が明らかになっていきます。読み終わったあとも尾を引くというか、いろいろ考えさせられる作品でした。

 

 この作品のオーディオブック版、なんといってもキャスティングと構成がすばらしい! セイディは生まれつき吃音症なのですが、そのセイディを担当したナレーターの熱演には心を打たれます。また、ウェストが語りの章では、オリジナルのポッドキャスト番組を仕立てていて、オープニング曲まで流れるという、力の入れようです。誰かにインタビューしている場面は、ちゃんと「インタビューしている雰囲気」になっていたりと、随所凝った構成で、本物のポッドキャストを聞いているようでした。オーディオブックは、ひとりのナレーターがすべて読み上げる場合と、複数のナレーターがキャラクターを演じ分ける場合とありますが、この作品は後者です。

 専門家からの評価も高いようで、Audie Awards(アウディ賞:優れたオーディオブックに授与される賞)のYA部門等のファイナリストになっています。作品自体も評価されていて、Edgar Awards(エドガー賞)のベストYA部門にもノミネート。ぜひ、受賞してほしいと思います!

→Audie Awardsの2019年の受賞作品が発表され、"Sadie"がYA部門の最優秀作品に選ばれたようです!

 

sad girl

(本の表紙の女の子には顔がありません。顔がないのが、ストーリーを暗示しているように感じました。)

 

 オーディオブックは出版翻訳のお仕事をするときにも、名前とか固有名詞の発音など参考になることが多く、欠かせない存在になりました。わたしはAudible.com(アメリカ版)を利用しています。日本版(Audible.co.jp)を使ったことがないので、違いはよくわかりませんが、洋書のラインアップはやっぱりアメリカ版のほうが豊富な気がします。アメリカ版はメンバーになると、Audibleオリジナル・オーディオブックが毎月2本、プラスでダウンロードできる(その月のリストから2本まで選べる)というサービスがありますが、日本版はどうなんでしょうか?

 バンド織りにかぎらず、日本ではあまりなじみのない海外のクラフトをやっていて直面するのは、「日本や日本語のサイトでは、なかなか本や道具、情報が手に入らない」ということ。ですので、参考にする書籍はほとんどが洋書になります。最近はAmazon等でも洋書の手芸本は手にはいりますし、海外の手芸本や手芸用品を専門に扱っているネットショップもありますが、それでもすぐ売り切れてしまったり、値段が高かったりして、直接海外から取り寄せることも多いです。

 

 バンド織りの場合、ありがたいことに、スウェーデンでバンド織りのグッズを販売しているSTOORSTÅLKAさんも、エストニアの手芸本出版社のSAARAさんも、英語のネットショップがあるので、どうにか購入することができています。とはいえ、スウェーデン語やエストニア語で書かれた本は、当然読めません……(翻訳アプリにかけてみても、支離滅裂で意味不明な文章になったり……)。でも、図案や写真は大いに参考になるので、少しずつ買い集めています。

 

 英語の手芸本なら読める、と言いたいところですが、手芸の英語にはなじみのない用語がたくさん出てくるので、戸惑います。洋裁に関する英語の文章のなかに、おもしろい言葉を見つけました。

 

 feed dogs:(ミシンの)送り歯

 

 この言葉に出くわしたとき、dog(犬)って?とすごく興味をひかれたので、調べてみました。こちらが参考にしたサイトです。

Janome Shop at Home: What are feed dogs?

 

 記事の中に、こんな文面がありました。

How did feed dogs get their name? The definition of the term “dog” when used in an engineering context is “a mechanical device for gripping or holding, esp one of the axial slots by which gear wheels or shafts are engaged to transmit torque”. The “gripping or holding” part is of course borrowed from how a dog (canine) bites.

 

 dogという言葉は、機械工学の文面では「(歯車などが)かみ合う、合わさる」といった意味で使われるのですが、犬が「噛む」様子からきている、ということのようです。 ちなみにfeedは「(機械などに)送り込む、供給する」という意味ですが、「(動物に)えさをやる」という意味のほうがなじみがあります。なので、feed dogsと言われると、わたしは「犬にえさをやる」としか読めません……。 

 

犬にえさをやる

(Feed a dog!)

 子どものころの愛読書といえば、加古里子さんの『海』とか『地球』でした。あのびっしり描きこまれた絵本に、本当にわくわくしたものです(「ことばのべんきょう」シリーズも大好きでした)。いまでも本棚の一員で、ふとしたときにページをめくるのですが、あのときと同じ感覚が味わえるんですよね。わたしの一部は、確実に「加古先生が彩った世界」でできているんだな、とあらためて感じています(加古先生、ありがとうございました。心から、ご冥福をお祈りいたします)。

 

 そういうわけで、イラスト図鑑には目がありません。こちらは、最近手に入れた一冊。

 

Nature Anatomy by Julia Rothman

 

 この手のイラストは好みが分かれるところだと思いますが、わたしはほっこりしていて好きです。頭から順番に読んでいくのではなく、ぱらぱらめくって、気になったページを読むのが楽しい。地球の内部、鉱物、自然現象、昆虫、野草、生き物と、「自然」にまつわるいろいろなものが紹介されています。煮詰まったときの、気分転換にぴったりです。

 いつか、こういう図鑑の翻訳もしてみたい。そのためには、もっと動物や自然に興味をもって、語彙や知識も増やさないといけませんね。

 著者のJulia Rothmanさんのインタビュー映像がありました。

 

 

パターンデザイナーとして世に出た方のようです。デザインしたパターンは、バスや建物のような大きなスペースも飾っているとか。

 

 最近は、動物ものが流行っていますし、図鑑や写真集の翻訳書もたくさん出版されています。書店やAmazonで見つけてしまうと、ついつい買ってしまいそうになります……。

 

ムース

(ヘラジカ。鼻に愛嬌があります。)

波乗り犬

(このくらい、波に乗りたいもんです)

 

 はい、表紙のわんこにやられました。出版年は2013年と古いですが、Amazon.comでも評判の高い作品です。"Sweet" "Heartwarming" "Touched"と、レビューにも好意的なコメントが多いので、期待しながら読みました。

 

All That Ails You: The Adventures of a Canine Caregiver by Mark J. Asher

 

 捨て犬だったリグリーが見つけた家族&終の棲家は、介護施設。「ハウスドッグ」としてシニアたちと交流しながら、幸せな日々を過ごしていた。ある日、気難しく、怒りっぽいウォルターが入居してきて、施設の雰囲気は一変。ウォルターは何に対しても文句ばかりで、リグリーのことも毛嫌いし、近づけようとしない。でもある日、施設を揺るがす大事件が起こり、ウォルターのリグリーを見る目も変わっていく――。

 

 リグリーが語り手となり、リグリーの過去や、犬としての思い、ハウスドッグとしてのプライド、そして施設で暮らすシニアたちとの交流や、それぞれの人生が語られています。ホロリとさせられる場面がたくさんありました。とくに、気難しかったウォルターが、リグリーとのふれあいを通して、周りの人たちや家族に心を開いていく様子は、お約束な展開とはいえ、じわっときて……。"Heartwarming"な雰囲気が、大好きな作品『幸せなひとりぼっち(A man called Ove)』に似ているなと感じました。

 

 この作品を翻訳するなら、リグリーの一人称は何だろう、と考えてみました。たぶん、「ぼく」ですね。ペットの犬は、体は老いても、精神的には成熟しない(飼い主という親が一生そばにいるから)、と聞いたことがあります。食いしん坊で、散歩と遊びが大好きなリグリーは、スペンサー・クインの「チェット・シリーズ」のチェットっぽい感じ(チェットも、翻訳版での一人称は「ぼく」)。

 大人向けフィクションで、擬人化した動物が語り手の場合、やりすぎると子どもっぽくなってしまって、読みづらくなることもあるので、言葉遣いが難しいんじゃないでしょうか。語りのトーンは、気持ち抑えめにしたほうがよさそう。もちろん、語り手のキャラクター次第でしょうけど。


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